【注意報】トマト黄化葉巻病 県内全域で多発のおそれ 千葉県2024年9月24日
千葉県農林総合研究センターは、トマト・ミニトマトにトマト黄化葉巻病(TYLCV)が県内全域で多発のおそれがあるとして、9月18日に令和6年度病害虫発生予察注意報第5号を発表した。
写真1:トマト黄化葉巻病の症状(提供:千葉県農林総合研究センター)
写真2:タバココナジラミの成虫・蛹・幼虫・卵(提供:千葉県農林総合研究センター)
千葉県農林総合研究センターによると、8月下旬に行った夏秋トマトの県内10地点の巡回調査において、トマト黄化葉巻病の平均発病株率(1ほ場あたり100株調査)は、16.20%(平年1.48%)と、過去10年と比較して最も高かった。同調査において、トマト黄化葉巻病ウイルスを媒介するタバココナジラミの成虫寄生株率(1ほ場あたり25株調査)も、46.80%(平年4.82%)と、過去10年と比較して最も高かった。
トマト黄化葉巻病は、感染してから発病までの期間が長く、健全に見えている保毒株が今後発症してくることが予想されるほか、タバココナジラミの多発による感染株急増に注意する必要がある。トマト黄化葉巻病ウイルスを保毒したタバココナジラミが次の作型のトマトほ場へ移動することによる、被害の長期化が懸念される。
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
(1)伝染源の除去
〇発病した株を治療する方法はなく、全身に保毒しているため、発病株は見つけ次第抜き取り、ビニール袋等で密閉して枯死させてから適切に処分する。
〇ハウス内外の野良生えトマトがウイルス感染した場合、同病の伝染源となるため除去する。また、野良生えトマトが発生しないよう、トマト残さは野積みにせず、埋却等適切に処分する。
〇黄化葉巻病耐病性品種は、発病していなくても、保毒して伝染源になることがあるため、タバココナジラミの防除は感受性品種と同様に行う。
(2)タバココナジラミの防除
〇タバココナジラミの施設内への侵入及び保毒虫の逸出を防ぐため、開口部に防虫ネット(目合い0.4mm以下)を展張する。
〇ネットやフィルムが破損していないか点検し、必要に応じて補修する。
〇施設の出入口を二重構造とし、入退室時にはコナジラミ類が衣服や資材に付着していないか注意する。
〇ほ場内や周辺の雑草を除去してほ場衛生に努め、コナジラミ類の生息場所を無くす。
〇コナジラミ類は多発すると防除が困難となるため、黄色粘着板を施設内に設置し、成虫を捕殺するとともに、発生初期に薬剤防除する(表)。
〇薬剤の選定にあたっては、最新の農薬登録情報を確認し、薬剤抵抗性の発達を防ぐため系統(IRACコード)が異なる薬剤のローテーション散布を行う。また、マルハナバチや天敵昆虫を利用している場合は、影響日数に注意して薬剤を選定する。
〇散布むらがあると薬剤の効果が低くなるため、植物体の全身に薬剤が十分にかかるよう丁寧に散布する。
〇栽培終了後は、雑草も含めてハウス内の全ての植物を抜根した状態でハウスを密閉して、完全に枯死させてタバココナジラミを死滅させ、次作にウイルス・コナジラミをつながない。
※トマト黄化病(ToCV)もコナジラミ類によって媒介されるため併せて発生に注意する。
表:トマト及びミニトマトでタバココナジラミに散布使用できる農薬(9月11日現在)
重要な記事
最新の記事
-
【新年特集】2025国際協同組合年座談会「協同組合が築く持続可能な社会」(1)どうする?この国の進路2025年1月22日
-
【新年特集】2025国際協同組合年座談会「協同組合が築く持続可能な社会」(2) どうする?この国の進路2025年1月22日
-
【新年特集】2025国際協同組合年座談会「協同組合が築く持続可能な社会」(3) どうする?この国の進路2025年1月22日
-
【新年特集】2025国際協同組合年座談会「協同組合が築く持続可能な社会」(4) どうする?この国の進路2025年1月22日
-
鳥インフル 英イースト・サセックス州など4州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月22日
-
【JAトップ提言2025】消費者巻き込み前進を JAぎふ組合長 岩佐哲司氏2025年1月22日
-
【JAトップ提言2025】米も「三方よし」精神で JAグリーン近江組合長 大林 茂松氏2025年1月22日
-
ポンカンの出荷が最盛を迎える JA本渡五和2025年1月22日
-
【地域を診る】地域再生は資金循環策が筋 新たな発想での世代間、産業間の共同 京都橘大学教授 岡田知弘氏2025年1月22日
-
「全日本卓球選手権大会」開幕「ニッポンの食」で応援 JA全農2025年1月22日
-
焼き芋ブームの火付け役・茨城県行方市で初の「焼き芋サミット」2025年1月22日
-
農のあるくらし日野のエリアマネジメント「令和6年度現地研修会」開催2025年1月22日
-
1月の「ショートケーキの日」岐阜県産いちご「華かがり」登場 カフェコムサ2025年1月22日
-
「知識を育て、未来を耕す」自社メディア『そだてる。』運用開始 唐沢農機サービス2025年1月22日
-
「埼玉県農商工連携フェア」2月5日に開催 埼玉県2025年1月22日
-
「エネルギー基本計画」案で政府へ意見 省エネと再エネで脱炭素加速を パルシステム連合会2025年1月22日
-
クミアイ化学工業と米国Valent社、水稲用除草剤エフィーダの米国開発で業務提携2025年1月22日
-
肉の日に合わせお得なアソート「冷凍モスライスバーガー 肉の日セット」登場 モスバーガー2025年1月22日
-
店舗、宅配ともに前年超え 12月度供給高速報 日本生協連2025年1月22日
-
地上部生長から育種ほ場のテンサイ糖収量を予測 農研機構×東京大学2025年1月22日