【特殊報】マンゴーにナンヨウキクイムシ 県内で初めて確認 宮崎県2024年9月26日
宮崎県病害虫防除・肥料検査センターは、マンゴーにナンヨウキクイムシ(Euwallacea fornicatus(Eichhoff))を県内で初めて確認。これを受けて、9月24日に令和6年度病害虫発生予察特殊報第1号を発表した。
左から図1:成虫上面(体長2.5mm)、
図2:成虫側面(提供:宮崎県病害虫防除・肥料検査センター)
宮崎県病害虫防除・肥料検査センターによると、5月中旬に県央部のハウス栽培マンゴー(品種アーウィン、樹齢30年生)において、枝が衰弱枯死する被害が発生した。枯死した枝の下部では樹皮に直径1ミリ程度の食入孔(図3)と木くず(図4)が多数確認。また、枝の内部には孔道(図5)と褐色の甲虫が確認された。
左から図3:多数の食入孔、図4:木くずの発生状況(提供:宮崎県病害虫防除・肥料検査センター)
農林水産省門司植物防疫所にこの虫の同定を依頼した結果、宮崎県では未確認のナンヨウキクイムシであることが判明した。
国内では、1973年に東京都小笠原諸島父島、2000年に鹿児島県徳之島、2007年に鹿児島県種子島、沖縄県豊見城市で同種による被害が報告されている。
図5:枝内部の同心円状の孔道(提供:宮崎県病害虫防除・肥料検査センター)
寄主植物は、マンゴー、チャ、アボカド、レイシ他、極めて広食性。通常は倒木・衰弱木などで繁殖し、健全木には穿孔しないと考えられている。分布は、日本(南西諸島、種子島、小笠原)、中国、台湾、インド、南アフリカ、アメリカ、ブラジル、オーストラリア他。
雌成虫の体長は2.5mm内外。体色は光沢のある黒色で、触角、脚は茶褐色(図1、2)。表面はまだらな黄白色の毛に覆われる。前胸背の前縁は半円状で前方3分の2は瓦状突起を備える。
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇現在、マンゴーで本種の防除に使用可能な登録薬剤はないため、以下の防除を実施する。
(1)木くずや食入孔を発見した場合は、速やかに侵入部位が見られる枝の基部で切除し、施設外に持ち出し適切に処分する。
(2)切除した切り口には、保護剤を塗布し枯れ込みを防ぐ。
(3)樹勢が衰えると本種の被害を受けやすいため、適切な栽培管理で樹勢の維持に努める。また、枯れ枝や弱った枝も加害枝と同様に、放置せず速やかに切除し、適切に処分する。
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