愛知の「ミライ菜園」NEDO「SBIR推進プログラム(連結型)」に採択2024年9月27日
農業DXスタートアップ のミライ菜園(名古屋市中村区)は、内閣府(京都府との共同提案)を研究開発課題のニーズ元とした新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2024年度「SBIR 推進プログラム」(連結型)に係る公募に採択されたことを発表した。
ネギの病気。左から、さび病、黒斑病、ボトリチス葉枯症
ネギの栽培においては、べと病、さび病、黒斑病、黒腐れ菌核病と、季節ごとにリスクの高い病害が存在する。特に葉ネギでは、葉が商品となることから、病害によって出荷可否が左右され、大きな問題となっている。こうした病害に対し、農薬散布で対処することが多いが、昨今は脱炭素や環境負荷低減などの観点から、農薬の使用量削減も求められ、過度に農薬に頼らずに安定した収穫を確保する対策が必要となっている。
農薬の使用量を削減しながら安定した収穫量を維持するには、適切なタイミングでの農薬散布(防除)が重要。同社は、この課題に対し、病害虫の発生タイミングをリアルタイムで知らせる予報AIシステムを開発する。
防除DXアプリ「TENRYO」の操作画面。発生危険度を一覧で表示するほかマップ表示も可能
同社は、全国各地の20年分の気象データとアプリユーザーから集まる発生履歴を照らし合わせ、独自のAIで病害虫の発生を「予報」する防除DXアプリ「TENRYO」(旧名称:MIRAI)を開発中。現在、キャベツ、ブロッコリー、トマト、タマネギ、キュウリ、イチゴ、ダイコンの7種の農作物に対応しており、同研究の成果を活かし、今後は「ネギ」への対応も予定している。
2022年からは愛知県、群馬県のJAと連携し、約50軒の農家で実証実験を実施。AI予報を活用した防除により、若手ブロッコリー農家の収量が15%増加、ベテランキャベツ農家の収量が4%増加するなど、開発段階から大きな成果を上げている。
同社は、この研究を通じてAIによる最適な防除を実現し、「環境負荷低減」と「安定した収穫」を両立させた持続可能な農業の実現に貢献する。
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