農研機構「乳酸菌データベース」を公開 利用者と乳酸菌のマッチングで発酵産業を支援2024年10月4日
農研機構は保有する約6000株の乳酸菌コレクションを整理し、Web上で詳細情報を検索・閲覧可能な乳酸菌データベースとして公開した。このデータベースには乳酸菌のさまざまな特性情報が格納されており、用途・目的に合致した乳酸菌を探す上で有用な情報源となる。
乳酸菌は、ヨーグルトやチーズといった発酵乳製品をはじめ、漬物、日本酒、味噌、醤油、ドライソーセージなど、幅広い発酵食品の製造に利用されている。近年、乳酸菌など発酵微生物と腸内環境を介した健康維持に注目が集まり、海外では日本食ブームによる日本産発酵食品の需要が増加。国内でも地域ごとに異なる伝統・特徴を生かした発酵食品の価値が再評価されている。
また、サイレージ用乳酸菌・微生物資材の開発、腸内細菌研究など、発酵食品製造以外の分野においても乳酸菌への関心が高まっているが、使用する乳酸菌の選抜には多大な時間やコストに加え、経験が必要で、乳酸菌利用産業の発展に向けたボトルネックとなっている。
農研機構は乳酸菌株の収集・保管事業を長期に渡り実施しており、公的機関として最大規模となる6000株超の乳酸菌コレクションNARO乳酸菌コレクションを保有。そこで今回、日本の強みである発酵技術を支援する乳酸菌データ基盤の構築を目指し、これまでに蓄積してきた各乳酸菌株の情報をデータベース化し、菌株の検索と情報閲覧が可能な「農研機構乳酸菌データベース」を公開した。
このデータベースでは、メタデータ菌種、分離源、遺伝子名などのキーワード検索と各種特性ストレス耐性、糖資化性、豆乳・牛乳発酵性などによる絞り込み検索や検索結果の並び替えに加え、菌株ごとの個別ページではより詳細な情報の閲覧が可能。新規開発を目指す発酵食品のデザイン業務を効率化し、研究・開発の実現可能性を高め、時間的・経済的コストの低減につながることが期待される。
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