中国・九州地域の高冷地でも安定生産 早生・多収の秋播性二条オオムギ新品種を育成2024年10月9日
農研機構は、早生・多収で秋播性の二条オオムギ新品種「こはく二条」(系統名:西海皮84 号)を育成した。同品種は冬の間に幼穂や茎の生育が過度に進まない一方、成熟期は春播性の二条オオムギ品種と同程度の早生であるため、関東以西の平坦地だけでなく、中国・九州地域の高冷地でも安定生産が可能。国産二条オオムギの作付拡大と安定生産に貢献することが期待される。
図1:高冷地で早播き栽培した「こはく二条」の様子(左奥:こはく二条、右手前:サチホゴールデン)
焼酎の醸造に用いられることが多い二条オオムギは、加工業者から増産が強く求められている。
その対応策の一つとして、これまで二条オオムギの安定生産が難しかった需要者の拠点に近い中国・九州地域の高冷地での生産が挙げられるが、現在関東以西で普及している二条オオムギ品種は低温に当たらなくても幼穂を形成する春播性の品種。春播性の二条オオムギは冬の間に幼穂の生育が進むため、中国・九州地方であっても高冷地では冬から春先の想定外の寒さに遭遇することで凍害が発生してしまうため、減収することが課題となっていた。
そこで農研機構は、幼穂を形成するために一定期間の低温に当たる必要がある秋播性の二条オオムギと、春播性で早生・多収の二条オオムギ品種「はるか二条」を用いて交配。そこから、秋播性で冬の間に幼穂や茎の生育が過度に進まない一方で、成熟期は春播性の二条オオムギ品種と同程度の早生で、かつ「はるか二条」並に多収の二条オオムギ新品種「こはく二条」を育成した。
同品種は、秋播性で冬から春先の寒さによる被害を受けにくく(図1)、かつ早生・多収であることから(図2)、関東以西の平坦地だけでなく、中国・九州地域の高冷地でも安定生産が可能。国産二条オオムギの作付拡大と安定生産に貢献することが期待される。
図2:「こはく二条」の収量(kg/a)
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