共生細菌リケッチアに感染した天敵昆虫のメスは増殖に有利 天敵昆虫の性能強化に期待2024年10月10日
農研機構と宮崎大学は、農業害虫のコナジラミやアザミウマ等を食べる天敵昆虫タバコカスミカメに広く感染している共生細菌リケッチアが、感染したメスの子孫が多くなるような生殖への影響をタバコカスミカメに与えていることを明らかにした。この知見を活用し、共生細菌によってタバコカスミカメの増殖効率を最適化することで、天敵を利用した害虫防除技術の向上につながると期待される。
図1:天敵昆虫タバコカスミカメ
多くの昆虫では、健康な状態で細菌に感染していることが知られ、共生細菌と言われる。共生細菌の一部は、昆虫に栄養を提供する機能や、昆虫の不妊化や性比異常などの生殖操作を引き起こす機能を持っている。
コナジラミやアザミウマ等の農業害虫を食べる天敵昆虫タバコカスミカメ(図1)には、リケッチアという共生細菌が感染していることがわかっていたが、その機能は明らかになっていなかった。
農研機構と宮崎大学は、共生細菌リケッチアに感染したタバコカスミカメが、非感染のタバコカスミカメよりも子孫を残しやすく、増殖に有利であることを発見。共生細菌リケッチアの感染・非感染個体を全4通りの組み合わせで交配させると、感染オスと非感染メスを交配させた場合には卵が孵化せず、それ以外の組み合わせでは正常に孵化した(図2)。
図2:感染系統と非感染系統の交配組み合わせ
共生細菌リケッチアに感染したメスは、感染オスと非感染オスのどちらと交配しても子孫を残せるため、感染したメスの繁殖が感染していないメスに比べて有利になると考えられる。
共生細菌の機能の一つとして、共生細菌に感染したオスと非感染のメスの組み合わせのみ卵が孵化しない現象は、『細胞質不和合』と呼ばれる。共生細菌リケッチアは、コナジラミやアブラムシなど様々な昆虫から発見されているが、細胞質不和合の機能を持つリケッチアは初めて見つかった。
天敵昆虫を害虫防除に利用する際は、ほ場や栽培ハウス内で天敵が増殖し、害虫を防除するのに十分な個体数を維持することが重要。同成果により、共生細菌リケッチアに感染したタバコカスミカメが、効率的な増殖に有利であることが実験室レベルで明らかになった。
今後、ほ場や栽培ハウス等の農業現場で、共生細菌リケッチアに感染したタバコカスミカメの増殖効率や、害虫の抑制能力を実際に確認することで、現場で効率的に増殖しやすい天敵利用方法への発展が可能になる。化学農薬のみに依存しない害虫被害ゼロ農業の実現に貢献することが期待される。
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