【特殊報】カンキツ、カキにミナミトゲヘリカメムシ 初めて確認 和歌山県2024年10月25日
和歌山県農作物病害虫防除所は、カンキツ、カキにミナミトゲヘリカメムシ(Paradasynus spinosus Hsiao)を県内で確認。これを受けて、10月25日に令和6年度病害虫発生予察特殊報第3号を発表した。
ミナミトゲヘリカメムシ成虫の形態(提供:和歌山県農作物病害虫防除所)
和歌山県農作物病害虫防除所によると、9月に由良町のウンシュウミカンほ場においてカメムシが多数発生する状況を確認。このカメムシは果実を吸汁しており、加害された果実では異常着色や落果が確認された。
健全なウンシュウミカン果実に捕獲したこの虫を放虫したところ、現地と同様の被害を再現。そこで、和歌山県立自然博物館に同定を依頼したところ、ミナミトゲヘリカメムシであることが確認された。
シュウミカン果実を加害する成虫とウンシュウミカン被害果実のす上がりのような症状
(提供:和歌山県農作物病害虫防除所)
また6月には、紀の川市のカキほ場で同虫と思われるカメムシによる「平核無」、「富有」の幼果への加害が確認されていた。
カキ果頂部を加害する成虫と被害部が褐変したカキ「平核無」の幼果(提供:和歌山県農作物病害虫防除所)
同虫は南方系のカメムシで沖縄県ではシークヮーサーの主要害虫だが、近年分布を北上させており、九州では1973年以降、鹿児島県、佐賀県、福岡県、長崎県で報告。九州・沖縄地方以外では2005年に三重県、2023年に愛媛県でカンキツやカキ果実への加害が報告されている。
形態としては、体長16~23mmの細長い大型のカメムシで、オオクモヘリカメムシに似る。前胸部の側角が鋭くとがり、背面は褐色、腹面は淡黄緑色。詳しい生態は不明だが、沖縄県のカンキツでの発生ピークは年間2回。栽培作物以外での寄主植物はシロモジ、クスノキ等のクスノキ科植物。
被害としては、ウンシュウミカンでは、他の果樹カメムシ類と同様、果実が異常着色、落果し、被害果実には口針鞘が確認される。果皮に近い果肉部にす上がりのような症状が発生する。
カキでは、果頂部に被害が集中することが特徴。加害された幼果はその部位が黒褐色となり落果する。被害部位がえぐれたように深く凹む場合もある。
他県ではスモモ、アボカドへの加害も報告されている。
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇同種の発生が確認された場合、カメムシ類に適用のある薬剤を用いて防除を行う。
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