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【特殊報】チュウゴクアミガサハゴロモ 県内で初めて確認 埼玉県2024年11月5日

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埼玉県病害虫防除所は、県内で複数の農作物にチュウゴクアミガサハゴロモの発生を初めて確認。これを受けて、10月31日に令和6年度病害虫発生予察特殊報第2号を発表した。

埼玉県病害虫防除所によると、9月から10月にかけて県内の経済栽培されている複数の農作物に、ハゴロモ類の成虫・幼虫と枝への産卵が確認された。一部の個体を採取し、農林水産省横浜植物防疫所に同定を依頼したところ、チュウゴクアミガサハゴロモであることが判明した。

同種は中国が原産地で、韓国、トルコ、フランス、ドイツおよびイタリアに外来種としての侵入が確認。国内では2017年に初確認されて以降、本州、九州及び四国の各地で発生が報告されている。また、神奈川県から8月に発表された病害虫発生予察特殊報においてブルーベリー枝への加害が報告されている。

写真1:成虫と写真2:チャ枝上で産卵中の雌成虫(提供:埼玉県病害虫防除所)

写真1:成虫と写真2:チャ枝上で産卵中の雌成虫(提供:埼玉県病害虫防除所)

写真3:幼虫(提供:埼玉県病害虫防除所)写真3:幼虫
(提供:埼玉県病害虫防除所)

チュウゴクアミガサハゴロモの成虫は、翅端までの体長は14~16mm、前翅長14mm程度。前翅は茶褐色から鉄さび色であり、前翅前縁中央部に三角形の白斑が存在する(写真1、2)。幼虫は白色で、腹部から白い糸状の蝋物質の毛束を広げる。また虫体の背面に小黒点を有し、翅芽は褐色(写真3)。

同種は広食性で、カバノキ科、クワ科、ブナ科、マメ科、モクセイ科等の様々な植物を宿主として利用することが知られる。埼玉県では、ツバキ科、バラ科、ツツジ科、カキノキ科等の樹種およびキク科の草本植物における寄生および産卵を確認している。

成虫および幼虫が枝を吸汁加害し、発生が多いと排泄物によるすす病が発生。成虫は寄主植物の枝に、多数の卵を規則正しく配列された状態で産み付けるため、枝の組織を損傷し、植物体を衰弱させる(写真4)。産卵痕は白色で毛状の蝋物質で被覆される(写真5)。

写真4:枝内の卵(矢印)と写真5:カンキツにおける産卵跡(提供:埼玉県病害虫防除所)

写真4:枝内の卵(矢印)と写真5:カンキツにおける産卵跡(提供:埼玉県病害虫防除所)

同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。

(1)10月現在、対象作物においてチュウゴクアミガサハゴロモを対象とした登録農薬はない。

(2)産卵された枝を発見した場合は放置せず、切除して土中深くに埋めるか、焼却するなどして適切に処分する。

(3)当年枝の上部に産卵される場合が多いため、樹種の特性に合わせて秋季の整枝や冬季の剪定を十分に励行し、耕種的防除につとめる。

(4)同種は多くの植木類にも産卵することが確認されている。対象作物以外の樹木類で産卵を確認した場合は、防除対策(2)のとおり適切に処分する。

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