【特殊報】ルレクチエにセイヨウナシ黒斑細菌病 県内で初めて確認 新潟県2024年11月12日
新潟県病害虫防除所は、西洋なし(品種:ルレクチエ)にセイヨウナシ黒斑細菌病を県内で初めて確認。これを受けて、11月12日に令和6年度病害虫発生予察特殊報第2号を発表した。
新潟県病害虫防除所によると、5月に新潟県内の西洋なし園地(品種:ルレクチエ)において、葉に黒色の不整形斑点が認められ、一部の斑点は黄緑色のハローを伴っていた(図1、2)。
図1:葉でみられた黒色斑点、
図2:黒色斑点周囲の黄緑色のハロー(提供:新潟県農業総合研究所園芸研究センター)
新潟県農業総合研究所園芸研究センターにおいて、斑点部を検鏡したところ、細菌の漏出がみられた。同部位から分離された細菌の遺伝子診断(PCR法)を実施したところ、P.syringaeの陽性が確認された。
また、分離した細菌を西洋なし(品種:ルレクチエ)に接種したところ、葉と幼果いずれにも黒変症状が認められたほか、田平ら(2012)の報告にあるように、P.syringaepv.syringaeが最初に分離された宿主植物であるライラックへの接種においても葉の接種部周辺が褐変する症状が確認された。
以上のことから、P.syringaepv.syringaeによる県内未発生のセイヨウナシ黒斑細菌病と同定された。
国内では、2008年に山形県において、「ラ・フランス」で葉と幼果に黒色斑点を生じる病害が初めて確認され、2010年に国内新発生のセイヨウナシ黒斑細菌病として報告されている(阿部ら,2010)。
なお、同病原細菌は、幅広い宿主に病原性を示すことが知られており、日本なしではナシ花腐細菌病として報告されている(佐藤ら,1973)。
病徴として、葉では不整形の黒色斑点を生じ、斑点の大きさは5~20mm。黒色斑点の多くは黄緑色のハローを伴う。落葉はしない。葉の発病は5月以降発生し、6月上中旬にかけて増加するが、6月下旬以降は新たな発生はほとんどみられない。
「ラ・フランス」では葉の症状のほか、幼果の黒色斑点症状や、新梢及び花器の黒変・枯死症状が観察されたとの報告がある(田平ら,2012)。なお、伝染源等発生生態の詳細は明らかとなっていない。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇現在、同病に登録のある農薬は下表のとおり。なお、農薬を使用する際は必ず最新の情報を確認し、使用基準を遵守する。
既存の防除体系において、登録農薬を散布しながらも発生が抑えられない事例があることから、他の細菌性病害と同様、発病葉の除去等、耕種的防除も併用する。
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