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【特殊報】サツマイモ基腐病 県内で初めて確認 福島県2024年12月4日

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福島県病害虫防除所は、サツマイモ基腐病を県内で初めて確認。これを受けて、12月4日に令和6年度病害虫発生予察特殊報第4号を発表した。

サツマイモ塊根(外観)と塊根の腐敗状況(提供:福島県病害虫防除所)

写真1 サツマイモ塊根(外観)と写真2 塊根の腐敗状況(提供:福島県病害虫防除所)

福島県病害虫防除所によると、10月に福島県南会津地方のサツマイモ栽培ほ場から収穫した塊根において、褐変症状を確認した(写真1、2)。同所において、同植物体の茎病斑部(写真3、4)から分離培養を行ったところ、サツマイモ基腐病が疑われたため、横浜植物防疫所に同定を依頼したところ、サツマイモ基腐病であることが11月に判明した。

写真3 地際部から腐敗するサツマイモの茎と写真4 病斑部の拡大(柄子殻(提供:福島県病害虫防除所)

写真3 地際部から腐敗するサツマイモの茎と写真4 病斑部の拡大(柄子殻(提供:福島県病害虫防除所)

現在のところ福島県での同病害の発生は当該のほ場に限られており、広域的な拡がりは確認されていない。なお、サツマイモ基腐病は、2018年に沖縄県で初めて確認され、沖縄県を含め35都道府県で発生が報告されている。

サツマイモ基腐病は、発病すると茎の地際部が暗褐色~黒色に変色し、茎葉では黄変、生育不良や萎れ症状が認められ、その後、症状が進行すると地上部が枯死する。発病が地下茎、藷梗(茎と塊根をつなぐ部分)、塊根へと病徴が進展するため、塊根はなり首側から褐色~暗褐色に腐敗することが多い(写真1、2)。

本ぽで茎葉が繁茂する生育旺盛期は、株の異常に気付きにくく、収穫期が近づき茎葉の生育が衰える秋頃になって一気に枯れ上がったように見えることが多い。なお、塊根が収穫時に無病徴でも、収穫後貯蔵中に腐敗することがある。

写真5 Diaporthe destruensのPDA培地上の菌叢と写真6 Diaporthe destruensの分生子(提供:福島県病害虫防除所)

写真5 Diaporthe destruensのPDA培地上の菌叢と写真6 Diaporthe destruensの分生子
(提供:福島県病害虫防除所)

発病株には、地際部の茎や塊根の基部に柄子殻と呼ばれる微小な黒粒が多数形成され、そこから胞子が漏出。胞子は降雨により生じる跳ね上がりなどにより周辺株に広がり、徐々にほ場全体に拡大する。

同病原菌は、主に感染した種いもや苗を植え付けることでほ場(苗床、本ぽ)に持ち込まれる。罹病残さ、汚染土壌を介し、感染が拡大し伝染源となる。

サツマイモ基腐病は、サツマイモを含むヒルガオ科植物でのみ発生する。

同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。

(1)採苗後~植付前
〇栽培に使用する苗は、未発病ほ場で生産された苗を導入する。また、未消毒の苗を使用する場合には、使用前に必ず登録農薬を使用して苗の浸漬処理を行う(表1)。

表1:苗消毒に使用できる薬剤

表1:苗消毒に使用できる薬剤

(2)栽培期間中
〇ほ場をよく見回り、発病株はほ場外に持ち出し適切に処分する。
〇発病株を除去した後は周辺の株に本病に登録のある農薬を散布し感染の拡大を防ぐ(表2)。また、台風などの降雨後には感染拡大の恐れがあるので、降雨前に農薬の全面散布を行う。
〇発病が見られたほ場で使用した資材や機械、長靴を別ほ場で使用する場合、十分に消毒や洗浄を行う。

表2:植付後(栽培期間中)に使用できる薬剤

表2:植付後(栽培期間中)に使用できる薬剤

(3)栽培終了後~種いも貯蔵~ほ場準備
〇被害残さは、ほ場外に持ち出し適切に処分する。
〇サツマイモ基腐病の発病ほ場からは、種いもを採取しない。
〇サツマイモ基腐病に罹病した種いもが同一コンテナ内に存在すると貯蔵中に周囲の健全種いもへ伝染するため、疑わしい種いもは必ず除去する。
〇貯蔵前に、流水で種いも表皮の土を軽く洗い流して選別を行うと、表皮の変色がわかりやすくなり、効率的に罹病塊根を除去できる。
〇同病は排水不良な場所でまん延しやすいため、ほ場の排水対策を行う。
〇発病が見られたほ場では、次作の植付前に必ず土壌消毒を実施する(表3)。

表3:植付前に使用できる薬剤(土壌処理剤)

表3:植付前に使用できる薬剤(土壌処理剤)

(4)多発生ほ場の場合
〇サツマイモの栽培を中止し、他作物を栽培する。

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