【特殊報】ナシ果実にサクセスキクイムシによる被害 県内で初めて確認 福島県2024年12月24日
福島県病害虫防除所は、ナシ果実にサクセスキクイムシによる被害県内で初めて確認。これを受けて、12月24日に令和6年度病害虫発生予察特殊報第5号を発表した。
福島県病害虫防除所によると、8月に福島県県北地方のナシ生産者から、ごく小さな穿孔被害のある「幸水」果実が、同所に持ち込まれ、キクイムシ成虫と思われる昆虫が確認された。
横浜植物防疫所に同定を依頼したところ、サクセスキクイムシと判明。これまで福島県では、同種によるナシの被害は樹幹部への穿孔食害が確認されていたが、果実での被害は初確認となる。
サクセスキクイムシによるナシ果実の被害は、2005年に千葉県において確認され、それ以降、近隣の栃木県、新潟県、宮城県、茨城県を含む9県から特殊報が発表されている。
サクセスキクイムシの成虫は、体長約2mm、細長い円筒形で、光沢のある黒褐色をしている(写真1)。同種は、年1~2回発生。成虫で樹内越冬し、翌年4~5月頃脱出して衰弱している樹や倒木に深く穿孔し、孔道を作る。孔道の直径は約0.7mmで食入後に細かい木屑を排出。成虫がナシ果実を穿孔し(写真2、3)、日数の経過とともにその穿孔部分を中心に腐敗する。
同種は、各種針葉樹、広葉樹に寄生。果樹類ではナシのほかに、リンゴ、モモ、カキ、クリ、イチジクなどで、衰弱した枝幹部へ穿孔し、樹勢の低下や樹幹病害を併発して枯死に至らせることもある。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
(1)果実は過熟になると被害を受けやすいため、適期に収穫する。
(2)樹勢の衰えた樹は加害を受けやすいため、適正な肥培管理により樹勢の維持、回復に努める。また、穿孔が多く、衰弱の激しい樹は主幹部が残らないように伐採し、剪定した枝幹等も含めて適切に処分する。
(3)被害果を確認した場合は、周辺に枝幹の穿孔被害も発生している可能性が高いため、木屑フラス)を目印に成虫を探索する。枝幹被害を確認した場合は、成虫活動時期の4~5月にトラサイドA乳剤を樹幹部に十分散布する(表)。なお、散布液が葉にかかると薬害を生じるおそれがあるため、樹幹部のみに散布する。
表:ナシのキクイムシ類防除薬剤の使用基準
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