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【特殊報】ナシ胴枯細菌病 県内で初めて発生を確認 島根県2025年3月3日

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島根県病害虫防除所は、ナシ胴枯細菌病の発生をが県内で初めて確認。これを受けて、3月3日に令和6年度病害虫発生予察特殊報第3号を発表した。

図1:枯死樹と図2:主幹における鉄さび色の樹液様物の漏出痕(提供:島根県病害虫防除所)

島根県病害虫防除所によると2024年11月、県西部のナシ(幸水、豊水)において、枯死する樹が散見された(図1)。また、枯死樹の主幹や主枝からは、鉄さび色の樹液様物が漏出した痕跡が確認された(図2)。枯死枝の内部は腐敗し、アルコール発酵臭を感じたため、罹病部を持ち帰り顕微鏡で観察したところ、枝内部の褐変部から細菌の漏出を確認。細菌による病害の可能性が高いと考えられた。そこで、横浜植物防疫所に病原細菌の同定を依頼したところ、Dickeya sp.によるナシ胴枯細菌病であることが判明した。

国内におけるナシ胴枯細菌病は、1972年に千葉県で初めて確認され、その後、福島県、秋田県、愛知県、高知県、鹿児島県および岐阜県から特殊報が発表されている。

病徴としては、表皮が灰黒色の水浸状になり、表皮から形成層の内部組織に樹液様物が充満する。その後、表皮の一部表面から樹液様物が漏出し、乾燥して鉄さび色に変色。樹液様物は、複数箇所から漏出する場合がある。罹病部の樹皮下は褐色腐敗し、アルコール発酵臭を発する。罹病部の上枝では早期落葉を伴うことが多く、枝の一部または全体が枯死する。

同病の類似病害として胴枯病があるが、胴枯細菌病に特有の鉄さび色の樹液様物の漏出がないため、識別が可能。

同病原細菌は土壌中に広く存在することから、風雨による泥水の跳ね返りにより樹皮の傷口から感染することや土壌中で根から感染することが示唆されているが、明確な感染経路については明らかとなっていない。

ナシの他にモモ、リンゴ等に感染する。

同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。

(1)罹病樹は伝染源となることから伐採、抜根後に焼却処分する。伐採、抜根に使用した器具は塩素系消毒剤等で消毒する。

(2)排水性の悪い園地で発病が多いとされているため、排水対策を実施する。

(3)枝幹部の傷口は塗布剤で保護する。また、キクイムシ類の食害による傷口も感染経路となる可能性があるため、適切な害虫防除も並行して行う。

疑わしい症状が発生している場合は、島根県病害虫防除所 農業技術センター 資源環境研究部 病虫科(電話)0853-22-6772)に連絡を。

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