ハマササゲの耐塩性機構が明らかに 作物の耐塩性開発に期待 農研機構2025年3月12日
農研機構、量子科学技術研究開発機構(QST)、筑波大学、東京大学の研究グループは、アズキの近縁種の中でも最も塩害に強いハマササゲがもつ耐塩性機構を明らかにした。今後、作物の耐塩性開発への活用が期待される。
アズキ、ナガバハマササゲ(河川型・海浜型)およびハマササゲのナトリウム蓄積様式および特性情報
農業は淡水を大量に消費し、地域によっては年当たり回復量(降雨や河川・地下水の流入量)の20倍を超えるペースで灌漑用水として利用されている。一方、海水や汽水および塩分を含む地下水はほぼ無尽蔵に存在するため、塩害に強い作物を開発し、塩水による農業を可能にすれば淡水資源問題を解決できる。
そこで研究グループは、多様性に富んでいるアズキの仲間から塩害に強い野生種を選抜し、その耐塩性機構の解明を進め、アズキの仲間でも最強の塩害耐性をもつハマササゲの耐塩性について以下の点を明らかにした。
①他の植物より多くのナトリウム排出ポンプの遺伝子(SOS1)が根で発現し、高いナトリウム排出能力を持つこと
②根の内皮に他の植物より分厚いリグニン層を形成し、水は透過させるがナトリウムは透過させない強力なバリアとしていること
③SOS1遺伝子を活性化するSOS2遺伝子の発現が昼に上昇して夜に下降することにより、ナトリウム排出は昼に行われ夜に停止すること
ナトリウム排出ポンプと内皮のバリアは共に多くの植物に共通する機構だが、その両方を大幅に強化したことが、ハマササゲが"最強の塩害耐性"を獲得した理由と考えられる。また、ナトリウムの排出を夜間行わないことで、ハマササゲはナトリウム排出に必要なエネルギーを節約できると考えられる。
こうした知見から、イネやダイズがもともと持っている能力を増幅させることで、ハマササゲのような耐塩性を再現できる可能性が見えてきた。今後、これまでに明らかにした異なるメカニズムの耐塩性も含めて活用することで、塩害に負けない作物創出の可能性が拡がる。
同研究はJST戦略的創造研究推進事業さきがけ、JSPS科学研究費助成事業、内閣府ムーンショット型研究開発制度、放射性物質環境動態・環境および生物への影響に関する学際共同研究、放射能環境動態・影響評価ネットワーク共同研究拠点(ERAN)、および福島国際研究教育機構(F-REI)の支援により行われた。
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