スクミリンゴガイの被害軽減へ捕獲器と誘引剤 開発成果を公表 生研支援センター2025年3月26日
農研機構植物防疫研究部門を代表機関とする研究グループは、水稲を食害する淡水生の巻貝スクミリンゴガイ(通称ジャンボタニシ)を、効率的に大量捕獲する箱型の捕獲器と誘引剤が開発し普及を進めている。農林水産業や食品産業における新産業の創出や技術革新を目指す研究に資金を提供する生研支援センターは、この研究成果を紹介している。
写真1:スクミリンゴガイの産卵の様子(提供:佐世保高専(現 九州大学大学院)柳生義人氏)
スクミリンゴガイは、2000年代に農薬などの防除技術により被害はいったん沈静化したが、近年の温暖化や農業の担い手の高齢化等により細やかな水田管理が困難になり、これまで被害が集中していた九州や中国・四国地方だけでなく、滋賀県、三重県、千葉県などでも被害が広がっている。
そこで、研究グループの奈良女子大学と大栄工業は、スクミリンゴガイを効率的に大量捕獲できる箱型の捕獲器(商品名スクミッチ)と誘引剤を開発し、2024年3月に特許を取得。「スクミッチ」は2022年4月の販売開始以降、同12月までに約4500台が販売されるなど、普及が進んでいる。
箱型の捕獲器「スクミッチ」(プラスチック製、幅50×奥行き25×高さ10cm)と誘引剤のセット
(提供:大栄工業)
捕獲器1台と誘引剤は1セット約5500円(税込、2025年3月現在)で販売中。この捕獲器は、スクミリンゴガイが一度入ると逃亡しにくく、他の生物は入りにくい構造で、一度設置すると大量に捕獲できる。さらに、持ち運び用の取っ手や水が抜けやすいスリットを備え、設置や回収が容易。誘引剤は米ぬか・米こうじ・コイの餌を組み合わせ、ペレット化するなど効果が1週間以上持続するよう工夫されている。また、田植え後の水をごく浅めに管理し、この捕獲器を適切に設置すれば、農薬を使わなくても稲の被害をほぼ抑えられるという研究結果が出ている。
捕獲器「スクミッチ」は、スクミリンゴガイが一度入ると逃亡しにくい構造(提供:大栄工業)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(138)-改正食料・農業・農村基本法(24)-2025年4月19日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(55)【防除学習帖】第294回2025年4月19日
-
農薬の正しい使い方(28)【今さら聞けない営農情報】第294回2025年4月19日
-
若者たちのスタートアップ農園 "The Circle(ザ・サークル)"【イタリア通信】2025年4月19日
-
【特殊報】コムギ縞萎縮病 県内で数十年ぶりに確認 愛知県2025年4月18日
-
3月の米相対取引価格2万5876円 備蓄米放出で前月比609円下がる 小売価格への反映どこまで2025年4月18日
-
地方卸にも備蓄米届くよう 備蓄米販売ルール改定 農水省2025年4月18日
-
主食用МA米の拡大国産米に影響 閣議了解と整合せず 江藤農相2025年4月18日
-
米産業のイノベーション競う 石川の「ひゃくまん穀」、秋田の「サキホコレ」もPR お米未来展2025年4月18日
-
「5%の賃上げ」広がりどこまで 2025年春闘〝後半戦〟へ 農産物価格にも影響か2025年4月18日
-
(431)不安定化の波及効果【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月18日
-
JA全農えひめ 直販ショップで「えひめ100みかんいよかん混合」などの飲料や柑橘、「アスパラ」など販売2025年4月18日
-
商品の力で産地応援 「ニッポンエール」詰合せ JA全農2025年4月18日
-
JA共済アプリの新機能「かぞく共有」の提供を開始 もしもにそなえて家族に契約情報を共有できる JA共済連2025年4月18日
-
地元産小粒大豆を原料に 直営工場で風味豊かな「やさと納豆」生産 JAやさと2025年4月18日
-
冬に咲く可憐な「啓翁桜」 日本一の産地から JAやまがた2025年4月18日
-
農林中金が使⽤するメールシステムに不正アクセス 第三者によるサイバー攻撃2025年4月18日
-
農水省「地域の食品産業ビジネス創出プロジェクト事業」23日まで申請受付 船井総研2025年4月18日
-
日本初のバイオ炭カンファレンス「GLOBAL BIOCHAR EXCHANGE 2025」に協賛 兼松2025年4月18日
-
森林価値の最大化に貢献 ISFCに加盟 日本製紙2025年4月18日