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造粒加工適性が大事 肥料メーカーからみた原料堆肥との向き合い方2025年3月4日

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春耕の季節が近づいて来た。農業に土づくりは欠かせない。そこで「肥料メーカーからみた原料堆肥との向き合い方」と題して朝日アグリアの小林新氏に寄稿してもらった。

1.益々活発となる国内堆肥活用銘柄の普及現状

平成24年の混合堆肥複合肥料の規格新設を皮切りとして、堆肥と多様な肥料資材の組み合わせに門戸が開かれた。直近では、全農をはじめJAグループが中心となった普及拡大により約2万4000t(2023年度全農実績)と、5年間で5倍以上の伸びとなっている。

当社は、このうち約2万t(2023年度)と、全農取扱い実績の大半を占めている状況にあるが、当社以外の肥料登録や販売拡大も進み、現在では180銘柄が上市されている〈注1〉。

2.朝日アグリアの堆肥活用の現状

朝日アグリアでは、工場の周辺を中心として47の畜産業者から約8500tの堆肥を購入している(図表1)。豚ぷん堆肥や鶏ふん堆肥は、主に当社独自のアグレット方式により「エコレット」の原料として使用しており、牛ふん堆肥は主に乾式ペレット方式により土づくり肥料を生産している。

図表1 朝日アグリアの堆肥活用状況(2023年度)

3.造粒方式によって求められる原料堆肥の品質が異なる~特に牛ふん堆肥との向き合い方~

当社における造粒技術と使用可能な有機含有率を図表2に示した。造粒加工技術によって使用可能な有機割合が異なり、一般的な化成造粒では低く、押出造粒方式に分類される乾式ペレット方式やアグレット方式では高い。

また、生産者から求められる製品規格は、使用する施肥機により異なり、通常、ばら堆肥については、マニュアスプレッダーの使用が求められるが、農業現場における普及率が低く、ブロードキャスターに適合した粒状品を求める声が多い。

水稲などの側条施肥機やBB肥料原料では、粒の硬度が高い、粉化が低い、かつ流動性や配合適性を確保するため円球性が高いことが求められ、当社の造粒加工技術のなかでは、アグレット方式が基本となる。

図表2 朝日アグリアにおける造粒加工技術

当社で使用している鶏ふん堆肥、豚ぷん堆肥については、主に密閉縦型発酵方式を採用している畜産業者から納入しており、敷料等の混入も少ないため、アグレットにおいて難なく活用できる。

しかし、牛ふん堆肥については、他の畜種に比べて様々な"顔"をもち、個性派そろいである。これは、使用する敷料の質や量、発酵方式等、飼養管理方法など、他の畜種に比べ多様性があることに起因する。

広く普及している乾式ペレット方式では、ダイスに押し込む力が強いため、多少荒い敷料が残っていても粒状加工が可能である。

一方でアグレット成型では、比較的敷料が少なく粒子が細かい牛ふん堆肥を使用している。

このように、肥料メーカーでは造粒加工に適した原料堆肥を日々探索している状況にある。

図表3 様々な個性をもつ牛ふん堆肥と造粒加工技術の向き合い方

図表4 朝日アグリア関東工場の堆肥乾燥レーン

4.肥料メーカーからみた使いやすい堆肥とは~鶏ふん堆肥と豚ぷん堆肥の場合~

肥料メーカーの受け入れ側からみた飼養環境の変遷と、生産される堆肥の品質やその周辺のトレンドについて、羽賀(2023)〈注2〉をベースに触れてみたいと思う。

まず、鶏ふん堆肥については、 採卵鶏は堆積型発酵が3割強、解放型強制発酵が約3割、密閉縦型発酵が2割となっている。また、ブロイラー系については、バイオマス発電も兼ねた焼却方式が約半分を占め、堆積方式が約3割である。

この中で、堆肥品質との関連では、鶏ふんの窒素の主体となる尿酸を、その分解産物となるアンモニアへの変化をいかに抑えるかがカギを握る。このためには、その分解をつかさどるウリカーゼ生成菌の働きを抑えることが求められる。

飼養環境と堆肥化装置との関連では、ウィンドレス鶏舎とオールインワン方式が、生ふんの水分が低位に抑えられるため、高窒素の鶏ふんが得られやすい。

発酵方式においては、縦型発酵方式が最も成分が高く、採卵鶏由来であればブロイラー系と異なり敷料がほとんど入らないことから、当社の受け入れはほぼ採卵鶏由来である。ブロイラー系については、鶏ふん燃焼灰として受け入れている。

この方式では、堆肥品温が70度程度に達して、微生物の働きが抑えられるため、高窒素の鶏ふん堆肥が得られやすい。

物性面では、乾式ペレット方式では羽軸が混入しても、造粒機置内で擦りつぶされるため問題にならないことが多いが、転動造粒方式では、製品に混入する可能性があるため、発生元で十分低位に抑えられている必要がある。

図表5 様当社が扱う鶏ふん堆肥(左)と混入していた羽軸(右)

同様に豚ぷん処理のトレンドをみてみよう。豚はふん尿分離処理の割合が約70%強と高く、増加傾向にある。分離されたふんの大部分が堆肥化され、処理方法は近年は強制発酵方式を採用する例が多い。

養鶏と同様に縦型発酵方式を採用している場合は、排水処理による汚泥を発酵槽に利用可能であり、養豚経営上のメリットが大きい(2017年11月改正により特殊肥料として原料使用可)。肥料メーカーにとっては、縦型発酵方式により生産された豚ぷん堆肥は、鶏ふん堆肥同様に、高成分、低水分、かつ敷料等が少ない造粒加工適性に優れた堆肥原料として位置づけられる。

図表6 当社が扱う豚ふん堆肥

5.その他の堆肥品質に係わる要因

養鶏、養豚から見て取れるのは、飼料の変遷である。とりわけ、昨今のリン酸原料の価格高騰の影響は、畜産業界にも大きく影響を与えている。その結果としてリン酸カルシウムの使用を抑えて、代わりにフィターゼを給餌することにより、穀類のリン酸利用効率を高める動きがある。その結果としてふんに含まれるリン酸含有率にも影響を与える可能性があり、飼料業界の動きを注視しているところである。

養牛においては、昨今のウッドショックに起因する慢性的な敷料不足や、単価の高騰に起因する戻し堆肥の活用である。これは、一旦腐熟させた堆肥をもう一度牛舎に戻し、有効活用することであり、良好な堆肥を用いた場合は、敷料の使用量低減や乳房炎の低減など畜産経営上の利点も多い。堆肥品質の面からは、ふん尿がさらに吸収されることから、高成分の牛ふん堆肥の生産にもつながる他、腐熟促進による敷料の分解促進など、肥料成分や生産性にも好影響を与える可能性がある。

【引用】
〈注1〉日本農業新聞2025年1月14日号https://www.agrinews.co.jp/news/index/281943

〈注2〉羽賀清典:家畜排泄物処理・利用の現状と地下水の硝酸性窒素汚染、肥料科学、第45号、1―41(2023)

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