農作業死亡事故366件 1990年以来最少2013年4月8日
農水省は4月5日、平成23年の農作業死亡事故のとりまとめを公表した。年間の死亡者は366人で、平成2年の継続的な調査開始以来最少となった。
◆乗用型トラクターの事故、全体の4分の1
死亡事故を事故区分別にみると、農機作業中の事故が247件で全体の7割近い。
このうち半数の123件が乗用型トラクターで、次いで歩行型トラクター40件、運搬車31件と続く。
乗用型トラクターでもっとも多い事故は機械の転落・転倒が94件で、内訳はほ場内が70件、道路上が24件。歩行型トラクターでは、挟まれが16件、巻き込まれが10件と多い。
農機以外の事故では、農業用施設作業が20件、機械・施設以外が99件となっている。
施設では墜落・転落が11件で最多。農機・施設以外の事故では、稲ワラ焼却などによる火傷が30件、ほ場・道路からの転落が27件、作業中の病気が26件で多い。作業中の病気のうち、21件が熱中症によるものだ。
年齢別では、65歳以上が281件と全体の77%を占めている。うち、80歳以上が121件(33%)と2年連続で3割を超え、年々増加傾向にある。
月別では5月が44件で最多。次いで4月41件、6月40件、9月39件となっている。
46の道府県別(東京は調査から除く)では、北海道が21件で最多。次いで鹿児島19件、福島、茨城が16件、長野、宮崎が15件、青森、群馬、新潟が14件と続く。発生件数ゼロは11府県で前年より4件増えたが、このうち福井、大阪の2府県は過去5年間発生件数ゼロが続いている。
◆「一定の成果出た」 23年から安全確認運動強化
農水省や関係団体は、「全国農作業安全確認運動」として、安全作業への啓蒙活動を展開している。しかし年々、農業就業人口が減る一方、農作業事故で死亡する人の数は年間400件前後で横ばいが続いている。
23年は、こうした現状を踏まえ、新たに安全作業を呼びかけるステッカーを製作し全国の行政、JAなどに配布したほか、事故原因を詳しく調査したりJAや農機協の事故防止の取り組みなどを事例紹介したブックレット「防ごう! 農作業事故 地域活動マニュアル」を製作し、具体的な事故防止の呼びかけをするなど、運動の強化をスタートした年だった。
23年の死亡者数が調査依頼最少となった背景には、「こうした活動の一つの成果ではないか」(生産局農産部技術普及課)と見ている。
ただし、依然として366件、すなわち1日1件以上の事故が起きていることは事実。「(366件と減りはしたものの)手放しで喜べる数字ではない。今後も運動を強化し、年々事故件数を減らしていきたい」としている。
25年の春の農作業安全確認運動は3月1日から5月31日まで、「一人ひとりが主役 広げよう! 安全確認」をテーマに実施中。地域で自主的・継続的な農作業安全の取り組みが行われるよう、啓発活動を展開している。
(関連記事)
・農薬による人的事故・被害 36件で48人(2013.03.28)
・農機巻き込まれ事故防止の新技術 農研機構(2013.03.22)
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