米の等級など 検査標準品アプリを新発売2013年8月1日
一般財団法人全国瑞穂食糧検査協会と(株)ケット科学研究所は、iPad、iPhoneなどのタブレット端末で農産物検査標準品などを見られるアプリを開発した。農産物検査員の鑑定技術向上に役立つツールとして注目される。
◆タブレット端末使った画期的サービス
コメ、麦などの等級検査は平成18年から完全民営化された。現在、JAを中心に全国約1500の登録検査機関があり、1万5000人を超える検査員が活躍している。
これらの等級検査は、毎年国が定める農産物検査標準品を基準にして行われ、その結果は生産者の所得や産地のブランド・信用などに直結する。「鑑定技術向上のためには、常日頃、標準品に触れることが重要」(中川坦・全国瑞穂食糧検査協会理事長)だが、この標準品は各登録機関に1セットずつ配布されるのみであり、すべての検査員が常に触れることは難しい。
このため、農水省は平成25年4月30日付で検査要領を改訂し、検査標準品は「写真・印刷したものも可」とした。今回開発されたアプリは、こうした制度改訂を受けて考案されたもので、近年、急速に普及しているタブレット端末を利用した画期的なサービスだ。
(写真)
iPadを持つ中川理事長(左)とiPhoneを持つ江守社長
◆タッチパネルで簡単操作
iPad用の「農産物検査標準品等」アプリは、米穀、麦類、雑穀の3種類。いずれも国が定めたすべての標準品、被害粒の限界標準品、混入見本などを網羅し、農政局・農政事務所ごと、品種・等級ごとに分かりやすく分類されている。
「標準品画像は現物と同じ色調、質感でなければならない。これの再現に苦労した」(江守元彦・ケット科学研究所社長)というように、タブレット端末ならではの高画質で細密・鮮明な画像がいつでもどこでも見られる。原寸大だけでなく拡大しても画像が崩れないほどの高解像度も特徴のひとつだ。また、実際の検査の現場でも役立つよう画像の背景色を自由に変更できるほか、被害粒に関する詳しいコメントや解説も付記されている。
使い方はいたって簡単。タッチパネルを操作するだけで、普段、PCなどに慣れていない人でもマニュアルなしで使うことができる。
iPad用「農産物検査標準品等」アプリは、米・麦・雑穀用の3種類とも各2500円。iPhone用に米、麦、雑穀のすべての被害粒の標準品だけを見られる「被害粒等限界標準品」アプリは2000円。それぞれ、年度が変わり新たな標準品が決まれば、アップデートするなどのアフターサービスで画像を更新するサービスも予定している。
8月中旬からダウンロード販売を開始。「実際の検査員やJAの営農指導員などはもちろん、コメ卸や実需者などの買い手側、生産者などの作り手側にも、わかりやすい等級見本として広まってくれれば」(中川理事長)と、期待を寄せる。
問い合わせは全国瑞穂食糧検査協会(TEL:03-3782-0011)まで。
(写真)
実際のアプリ使用イメージ
(関連記事)
・米価急落、24年産米1000円超下げ (米穀新聞記者・熊野孝文氏)(2013.05.31)
・24年産米一等比率78.3%(25年3月末現在)(2013.04.27)
・秋本孝志さん(JAあなん)、寺園誠さん(JAあいら)が満点 農産物鑑定会(2013.03.06)
・米検査、官から民へ(2000.9.5)
重要な記事
最新の記事
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(2)今後を見据えた農協の取り組み 営農黒字化シフトへ2025年1月23日
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(3)水田に土砂、生活困惑2025年1月23日
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(4)自給運動は農協運動2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(1)2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(2)2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(3)2025年1月23日
-
元気な地域をみんなの力で 第70回JA全国女性大会2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(1)新しい仲間との出会い 次世代へつなげるバトン 青森県 JA八戸女性部 坂本順子さん2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(2)この地域を、次世代に繋ぐ、私たち 山梨県 JA南アルプス市女性部 保坂美紀子さん2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(3)私たちの力で地域をささえ愛 愛知県 JA愛知東女性部 小山彩さん2025年1月23日
-
旧正月【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第325回2025年1月23日
-
地元産米を毎月お届け 「お米サポート」スタート JAいずみの2025年1月23日
-
定着するか賃金引上げ 2025春闘スタート 鍵は価格転嫁2025年1月23日
-
鳥インフル 米アイオワ州など5州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月23日
-
鳥インフル 英シュロップシャー州、クルイド州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月23日
-
スーパー売り上げ、過去最高 野菜・米の価格影響 「米不足再来」への懸念も2025年1月23日
-
福島県産「あんぽ柿」都内レストランでオリジナルメニュー 24日から提供 JA全農福島2025年1月23日
-
主要病虫害に強い緑茶用新品種「かなえまる」標準作業手順書を公開 農研機構2025年1月23日
-
次世代シーケンサー用いた外来DNA検出法解析ツール「GenEditScan」公開 農研機構2025年1月23日
-
りんご栽培と農業の未来を考える「2025いいづなリンゴフォーラム」開催 長野県飯綱町2025年1月23日