鉄コー水稲直播技術で文科大臣賞2014年4月15日
JA全農技術主管の山内稔氏
鉄コーティング(鉄コー)種子を用いた水稲湛水直播技術の開発で、山内稔JA全農肥料農薬部主席技術主管(中四国肥料農薬事業所)が、平成26年度科学技術分野の文部科学大臣表彰の科学技術賞(技術部門)を受賞。4月14日に全農本所で記念講演会が催され、役職員約100人が出席した。
文部科学省では、科学技術に関する研究開発、理解増進などで顕著な成果を収めた人について、その功績を讃えることで科学技術に携わる人の意欲の向上をはかる。そのことで科学技術の水準向上に寄与することを目的に、科学技術分野の大臣表彰を行ってきている。
今回、鉄コー水稲直播技術の開発で、山内稔全農技術主管が、科学技術賞のうち、「中小企業、地場産業等において、地域経済の発展に寄与する優れた技術を開発した者を対象」とする技術部門で受賞した。
(写真)
講演する山内技術主管
◆農地集積だけでは限界
表彰式は4月15日に文科省で行われるが、それに先立ち、14日に全農の役職員を対象に「記念講演会」が開催された。
記念講演であいさつした神出元一全農専務は、この受賞は「全農、JAグループにとって大変に名誉なことである」と述べるとともに、いま国はコメの生産コストを4割下げるといっており、一部では農地の集積などで3割下げたところもあるが、「いくら農地を集積しても(コスト低減は)限界」があり、「農地集積だけではなく、もう一つ決め手がいる」。そのための「革新的な技術」がこの鉄コー水稲直播技術であり、「この表彰を糧に、一気に全国に広げていきたい」と決意を述べた。
◆直播で国際競争力を
山内技術主管は、日本でコメを直播栽培する意味や鉄コー直播技術などについて分かりやすく説明すると同時に、物財費・労働費・高収量によるコメ生産コスト4割削減を実現するためには、[1]鉄コー種子の大量生産、[2]栽培技術(営農指導員の研修と栽培技術の高度化)、[3]専用肥料や防除剤など資材の供給が必要であり、さらに農機レンタルや作業委託、試験機関や機械メーカーとの連携も重要だと指摘。
そうした個別技術を総合化し、総合力を発揮できるのは全農だけだと語った。そして「もし日本の稲作が移植から直播に切り替わったら、日本の農業が様変わり」し、稲作を省力的にすましたうえで、野菜・果樹・畜産を複合的に行い「収益をはかれる」「耕作放棄地の抑制」ができ、低コストで「国際競争力ができる」と講演を結んだ。
(関連記事)
・3大施策の深化図る JA全農が事業計画(2014.04.02)
・「1人ひとりが“懸け橋”に」全農が入会式(2014.04.02)
・鉄コー直播導入基礎講習会開催 JA全農(2014.03.31)
・集落営農から導入を 広島で鉄コ研修会(2014.02.24)
・鉄コ直播で米生産費2割削減 JA全農、普及拡大へ本腰(14.02.13)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(123) -改正食料・農業・農村基本法(9)-2024年12月21日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (40) 【防除学習帖】第279回2024年12月21日
-
農薬の正しい使い方(13)【今さら聞けない営農情報】第279回2024年12月21日
-
【2024年を振り返る】揺れた国の基 食と農を憂う(2)あってはならぬ 米騒動 JA松本ハイランド組合長 田中均氏2024年12月20日
-
【2025年本紙新年号】石破総理インタビュー 元日に掲載 「どうする? この国の進路」2024年12月20日
-
24年産米 11月相対取引価格 60kg2万3961円 前年同月比+57%2024年12月20日
-
鳥インフルエンザ 鹿児島県で今シーズン国内15例目2024年12月20日
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】「稼ぐ力」の本当の意味 「もうける」は後の方2024年12月20日
-
(415)年齢差の認識【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年12月20日
-
11月の消費者物価指数 生鮮食品の高騰続く2024年12月20日
-
鳥インフル 英サフォーク州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年12月20日
-
カレーパン販売個数でギネス世界記録に挑戦 協同組合ネット北海道2024年12月20日
-
【農協時論】農協の責務―組合員の声拾う事業運営をぜひ 元JA富里市常務理事 仲野隆三氏2024年12月20日
-
農林中金がバローホールディングスとポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約締結2024年12月20日
-
「全農みんなの子ども料理教室」目黒区で開催 JA全農2024年12月20日
-
国際協同組合年目前 生協コラボInstagramキャンペーン開始 パルシステム神奈川2024年12月20日
-
「防災・災害に関する全国都道府県別意識調査2024」こくみん共済 coop〈全労済〉2024年12月20日
-
もったいないから生まれた「本鶏だし」発売から7か月で販売数2万8000パック突破 エスビー食品2024年12月20日
-
800m離れた場所の温度がわかる 中継機能搭載「ワイヤレス温度計」発売 シンワ測定2024年12月20日
-
「キユーピーパスタソース総選挙」1位は「あえるパスタソース たらこ」2024年12月20日