バレイショ植付と同時防除 国内初の専用機発売2014年6月25日
やまびこ、シンジェンタが共同開発
植溝内土壌散布専用機「アミーゴ」
やまびこ、シンジェンタの両社はバレイショの植え付けと同時に殺菌剤を土壌散布するための専用機「アミーゴ」を共同開発した。発売は12月ごろの予定。
◆英国で普及する「インファロー」技術
植溝内土壌散布という、この防除技術は、「インファロー(In-Furrow)」と呼ばれ欧州では一般的な技術だ。シンジェンタの開発した殺菌剤「アミスター」が、バレイショの重要病害である黒あざ病に対して高い防除効果を示すことから開発された技術で、2006年に開発された。バレイショ栽培の盛んな英国では、すでに生食用で栽培面積の75%、加工用でも25%で導入されるなど普及がすすんでいる。
バレイショの植え付けと同時に、植溝の土壌にアミスター20フロアブルを散布することで、薬剤無処理では6割ほどになる黒あざ病の発病率を、1割程度にまで抑えることができる。
生産者にとっては、植え付け後の薬剤散布が不要となるためコスト削減、省力化につながる。病気の発生を抑えることで、地下茎の生育が旺盛になり、粒ぞろいが良くなるため規格外品を減らすことができる。また、加工する食品メーカーにとっても、質の良いバレイショを安定的に仕入れることができるといったメリットがある。
(写真)
「アミーゴ」の散布風景
◆バレイショの有利販売を実現
この技術には専用の散布機が必要となるが、両社は、日本の農業環境や風土にあった国産専用機の開発を2年前にスタート。今回、アミスター20フロアブルが国内では初となる植溝内土壌散布の農薬登録を取得し、また散布機についても北海道内での試験で効果が実証されたため、実用化が決まった。
会見でシンジェンタの篠原聡明社長は、「欧米の栽培技術を日本に持ち込むのは難しいが、やまびこ社が救世主のように現れてくれた。生産者の手取り向上に貢献できる新技術だと確信している。北海道だけでなく全国に広めたい」と、普及拡大に期待を寄せた。
やまびこの菅野俊彦上席執行役員営業本部長は、「(前身の)共立が永年研究してきた防除技術が礎となり開発することができた。これからも新たな防除機械の開発をすすめ、生産者の労力削減に貢献したい」と語った。
両社は、「アミーゴ」とアミスター20フロアブルを使うことでコスト削減と、商品の高付加価値化による有利販売などを実現できるとして、協力して普及拡大をめざす。
「アミーゴ」は最大4条植えまで対応でき、国内外のトラクタやプランターなどあらゆる型にとりつけることができる。販売価格は70万2000円(税込)。販売はJAや販売店、代理店など。
やまびこでは年度内販売目標を道内で100台としている。
また、7月10日から北海道・帯広で開催される第33回国際農業機械展で実機の展示やPRを行う予定だ。
(写真)
アミーゴ、アミスターの普及拡大をめざすシンジェンタ篠原社長(左)と、やまびこ菅野執行役員
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