中国・瓮福の代表団来日 JAの系統事業を評価2014年7月15日
何董事長らが全農を表敬訪問
中国の大手リン酸メーカー瓮福(おうふく)集団有限公司の何光亮(ハ・グヮンリャン)董事長らが来日。7月14日にはJA全農を表敬訪問した。
◆JAの系統事業学ぶ
瓮福はリン鉱石、リン酸複合肥料、硫黄、石炭化工、フッ素・ヨウ素化工などの生産、販売などを行う中国国有の大型企業だ。1994年の設立時からJA全農と取り引きを行い、日本農業に欠くことのできない肥料原料であるリン鞍などの安定供給に貢献している。
何氏は2013年11月に同社の董事長に就任。今回、就任後初めて全農を訪問した。
何氏は、リン鉱石や、2年前に全農と共同出資で設立した瓮福紫金からのリン安など、全農が20年に渡り継続して購入していることに対し謝辞を述べた。成清一臣・全農理事長もこれらの安定供給や、瓮福柴金の順調な運営に対して感謝するとともに、今後も貴重な資源であるリン酸原料を引き続き安定供給してもらえるよう、改めて協力を要請した。
全農は瓮福柴金から、初年度の12年度に計画通りの3万t、13年度に計画を1万8000t上回る5万8000tのリン安を輸入。14年度は6万tの輸入を計画している。
両代表らは、このほか日中の農業、経済情勢や全農の国産農畜産物の販売強化などについて意見交換を行った。とくに何氏は、「農産物の集荷と資材の供給が一環となった農協の、農家組合員へのサービス提供や営農指導事業」に興味を持っており、「中国国内の肥料販売事業の参考にしたい」として、JAグループの系統事業について学ぶなど、互いに交流を深めた。
(写真)
瓮福の何董事長(左)と成清・全農理事長
◆リン酸、国際競争激化
何氏はこの日の全農訪問前に、都内で講演会を開催。肥料メーカーなど関係者が多数集まった。
講演では、これまで全農が20年間でトータル200万tのリン鉱石を購入いしていることに対し、感謝を述べるとともに、「20周年を契機に、新たな戦略的合作関係を構築したい」として、さらなる連携強化に期待した。
世界のリン酸情勢については、2013年にサウジアラビア、モロッコが新工場を設立したことを紹介。両国とも自国内でのリン酸肥料の需要がほとんどなく、全製品を貿易に回している。また、今後3?5年ほどで、モロッコで450万t、チュニジアで200万tのリン酸肥料を増産する工場が新設されるほか、サウジアラビアでも第2期工期が稼働し、中国を含めて国際的な市場競争は激しさを増すだろうとの見方を示した。こうした情勢に対し、瓮福では「川上である化学肥料企業と、川下の農村が一体化する道があるのでは」などと今後の戦略の一端を述べた。
そのほか、中国の農業情勢として、力のある生産者や企業による土地の集約と大規模化が進んでいること、都市化が進み消費者が「よりクリーンな農産物を求めるようになった」ことなど、近年大きく変化していることを紹介。そうした環境変化に対して、「もっとも研究、手本となるのが日本の農協制度。日本の農協は、世界でもっとも発達した協同組合組織であり、ヨーロッパ先進国と比べてもその制度の特徴が極めて顕著だ。全国統一的組織体系をつくり、生産者の利益を代表し、生産者に最大限のサービスを提供している」と評価し、日本のJAグループの事業を学びたいと述べた。
(写真)
講演会であいさつする山崎周二・全農常務
(関連記事)
・トマト新品種に高い関心 タキイ種苗(2014.07.14)
・精米販売で日本一に 東西の全農パールライスが合併(2014.07.09)
・全農の株式会社化は共販を壊す(2014.07.07)
・高度化成(一般)秋肥価格2.9%値下げ JA全農(2014.05.30)
・【しまね協同のつばさ】中国研修で連帯感強める(2014.02.10)
重要な記事
最新の記事
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(2)今後を見据えた農協の取り組み 営農黒字化シフトへ2025年1月23日
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(3)水田に土砂、生活困惑2025年1月23日
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(4)自給運動は農協運動2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(1)2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(2)2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(3)2025年1月23日
-
元気な地域をみんなの力で 第70回JA全国女性大会2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(1)新しい仲間との出会い 次世代へつなげるバトン 青森県 JA八戸女性部 坂本順子さん2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(2)この地域を、次世代に繋ぐ、私たち 山梨県 JA南アルプス市女性部 保坂美紀子さん2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(3)私たちの力で地域をささえ愛 愛知県 JA愛知東女性部 小山彩さん2025年1月23日
-
旧正月【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第325回2025年1月23日
-
地元産米を毎月お届け 「お米サポート」スタート JAいずみの2025年1月23日
-
定着するか賃金引上げ 2025春闘スタート 鍵は価格転嫁2025年1月23日
-
鳥インフル 米アイオワ州など5州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月23日
-
鳥インフル 英シュロップシャー州、クルイド州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月23日
-
スーパー売り上げ、過去最高 野菜・米の価格影響 「米不足再来」への懸念も2025年1月23日
-
福島県産「あんぽ柿」都内レストランでオリジナルメニュー 24日から提供 JA全農福島2025年1月23日
-
主要病虫害に強い緑茶用新品種「かなえまる」標準作業手順書を公開 農研機構2025年1月23日
-
次世代シーケンサー用いた外来DNA検出法解析ツール「GenEditScan」公開 農研機構2025年1月23日
-
りんご栽培と農業の未来を考える「2025いいづなリンゴフォーラム」開催 長野県飯綱町2025年1月23日