事故防止は女性目線で 農作業安全推進会議2014年9月1日
秋の農作業安全確認運動始まる
9月1日から「秋の農作業安全確認運動」が始まった。今年のテーマは「あなたの地域から広がる、農作業安全」。農水省では、地域ごとの啓発運動を推進、支援する方針だ。8月29日には、農水省内に関係者を集めて推進会議が開かれた。
◆死亡者数、2年連続過去最小
4月に公表された平成24年の農作業死亡事故者数は350人。例年400人前後で推移してきたが、調査開始以来最少だった23年をさらに16人下回り、最小人数を更新した。
会議では、死亡者が減ったことについて「22年から事故防止の取り組みを強化したことが減少につながっているのではないか」(農水省生産局)と報告したが、しかし「まだ減少傾向とまでは言えない」と慎重な態度を示し、これからも引き続き安全作業を推進していきたいとした。
(写真)
ポスターコンクール大賞受賞の黒木さん(右)と横川信一農水大臣政務官
◆安全管理の新資格つくる
事故防止の取り組みについては、JA全中が昨年度初めて行った「農作業危険個所改善コンクール」を26年度も引き続き行い、27年1月には取り組み事例などの発表会も行う予定であることを紹介。また、農作業安全についての研修会を年2回に増やしたこと、労災加入促進の体制整備を全県域ですすめていることなどを報告した。
日本農業機械化協会は、新たな農機安全の講習体系の構築を進めている。そのなかで、安全管理に関する新しい資格認定などの制度設計をすすめていることを紹介した。早ければ27年度からの試行をめざしている。
◆事故防止には栄養ある食事を
会議では、「事故防止には女性の視点も必要だ」として、山形ガールズ農場の高橋菜穂子代表が、自社の取り組みを紹介した。
高橋さんは「農業を魅力ある職業にするためには、安全作業が必要だ」と述べ、熱中症対策として夏場は朝5時半から作業を開始し午前中で仕事が終わる勤務体系にしていること、事故防止のためには栄養バランスの良い食事が不可欠だとして野菜たっぷりの食事を摂るよう指導していること、などを報告。また、イモ類の中耕など、機械作業でも女性の力では操縦が難しく危険を伴うものもあるとして、非力な人でも動かせる農機を開発してほしいと要望した。
(写真)
自社農場の取り組みを紹介する高橋さん
◇
そのほか、会議では秋の農作業安全確認運動のポスターデザインに採用されたポスターコンテストの表彰式が行われ、大賞(=右ポスター)を受賞した鹿児島県の改良普及員である黒木栄一さんらを表彰した。
黒木さんは「農作業安全は、講習会などやっても次の日には忘れてしまうことも多い。何か印象に残るものが必要だと考え、これまでにない“萌え”キャラのポスターをつくった」と紹介。「農作業安全には、愛とユーモアが必要だ」と述べ、「若葉えり」と命名した自身のキャラクターを活用して農作業安全の啓発に貢献したいとコメントした。
(関連記事)
・「地域から広げる」秋の農作業安全確認運動(2014.08.26)
・農業技術のオリンピック盛大に 北海道・帯広(2014.08.06)
・5月の農機安全鑑定 3機種4型式が合格(2014.06.12)
・新副会長に山岡靖幸氏を選任 日農機協(2014.06.03)
・農作業死亡事故350人 調査開始以来最少(2014.04.09)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(132)-改正食料・農業・農村基本法(18)-2025年3月8日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(49)【防除学習帖】第288回2025年3月8日
-
農薬の正しい使い方(22)【今さら聞けない営農情報】第288回2025年3月8日
-
魚沼コシで目標販売価格2.8万~3.3万円 JA魚沼、生産者集会で示す 農家から歓迎と激励2025年3月7日
-
日本人と餅【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第331回2025年3月7日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】「コメ騒動」の原因と展望~再整理2025年3月7日
-
(425)世界の農業をめぐる大変化(過去60年)【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年3月7日
-
ラワンぶきのふきのとうから生まれた焼酎 JAあしょろ(北海道)2025年3月7日
-
寒暖差が育んだトマトのおいしさ凝縮 JA愛知東(愛知)2025年3月7日
-
給付還元利率 3年連続引き上げ 「制度」0.02%上げ0.95%に JA全国共済会2025年3月7日
-
「とやまGAP推進大会」に関係者約70人が参加 JA全農とやま2025年3月7日
-
新潟県産チューリップ出荷最盛期を前に「目合わせ会」 JA全農にいがた2025年3月7日
-
新潟空港で春の花と「越後姫」の紹介展示 JA全農にいがた、新潟市2025年3月7日
-
第1回ひるがの高原だいこん杯 だいこんを使った簡単レシピコンテスト JA全農岐阜2025年3月7日
-
令和7年度は事業開拓と業務効率化を推進 日本穀物検定協会2025年3月7日
-
【スマート農業の風】(12)ドローン散布とデータ農業2025年3月7日
-
小麦ブランの成分 免疫に働きかける新機能を発見 農研機構×日清製粉2025年3月7日
-
フードロス削減へ 乾燥野菜「野菜を食べる」シリーズ発売 農業総研×NTTアグリ2025年3月7日
-
外食市場調査1月度市場規模は3066億円2019年比94.6% コロナ禍以降で最も回復2025年3月7日
-
45年超の長期連用試験から畑地土壌炭素貯留効果を解明 国際農研2025年3月7日