肥料大手2社が10月合併 国内最大規模に2015年2月18日
肥料メーカー大手のコープケミカル、片倉チッカリンの2社は10月1日付で合併し、片倉コープアグリ株式会社(Katakura & Co-op Agri Corporation)となることが2月17日発表された。両社の売り上げ規模を合算すると、業界最大の肥料会社になる見込みだ。
◆新会社は「地域密着型」に
新会社は、手続き上、片倉チッカリンが吸収合併存続会社、コープケミカルが消滅会社となるが、「対等な精神に基づく」合併となる。果樹・園芸用有機複合肥料が主力の片倉チッカリンと、米麦向け化成肥料が主力で関東以北に強いコープケミカルが合併することで、すべての営農類型をカバーする全国規模の肥料会社が誕生することになる。
新会社の売上高は、両社の25年度決算を合算すると411億円となり、トップのジェイカムアグリを上回る。
合併を決めた背景には、[1]農業生産の減少や高齢化などによる肥料需要の減少、[2]生産現場での施肥コスト抑制の流れ、[3]国内企業の競争激化、[4]海外メーカーとの競争激化、[5]円安による輸入原料価格の上昇、などがあり、経営統合することで生産、販売、開発のあらゆる面で事業基盤の改善・強化を図っていく。
2月17日、都内で両社の社長が会見。合併後の新会社がめざす姿について、小池一平・コープケミカル社長は「農業は画一的ではなく地域性がなによりも大事。地域農業密着型企業として、農業の成長産業化に貢献したい」、野村豊・片倉チッカリン社長は「肥料の品質向上、コスト減を実現し、日本農業の衰退に歯止めをかけたい。零細農家にも、大規模生産法人にも、どちらにも対応できる会社をめざす。日本の優れた技術の海外輸出も積極的に進めたい」と展望を語った。
そのほか、会見では農協改革やTPP交渉が合併の決定に影響を与えたかどうかの質問が出されたが、「(農協改革とは)たまたまタイミングが重なっただけ」、TPPは「(交渉内容もその後の影響も)明らかではなく、なんとも言えない。当社は肥料メーカーとして農業生産活動に貢献していくのが目標」だと述べた。
(写真)
会見に出席した野村社長(左)、小池社長
◆筆頭株主はJA全農
現在、片倉チッカリンは全国に7工場、コープケミカルは関東、東北に5工場を持つが、立地で重なっている地域はないため、合併後も生産拠点、開発拠点、人員はすべて引き継ぐ考えだ。
また、肥料以外の飼料、化粧品、化成品、不動産事業などもすべて継続する予定だという。
現在の両社の筆頭株主は片倉チッカリンが丸紅、コープケミカルがJA全農だが、合併前に第三者割当増資を実施することで、新会社の筆頭株主はJA全農(20.9%)、2位が丸紅(20.1%)になる見込み。新会社の会長には小池一平氏、社長には野村豊氏がそれぞれ就任し、本社は東京都千代田区に置く。
新会社の5年後(平成31年度)経営目標としては、経常利益ベースで約8億円の合併効果を見込んでおり、売上高500億円、営業利益25億円、経常利益25億円、純利益15億円としている。
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