ポリスチレン樹脂のケミカルリサイクルの事業化に着手 デンカ2020年4月15日
デンカは、同社の持分法適用関連会社である東洋スチレンが、使用済みPS(ポリスチレン)のケミカルリサイクル事業化に向け、プラスチックリサイクルのグローバル企業であるアジリックスと日本国内市場における技術ライセンス契約を締結したことを公表した。
ポリスチレン ケミカルリサイクル循環モデル図
同社千葉工場(千葉県市原市)内に、使用済みPSを熱分解しその原料のSM(スチレンモノマー)を再生する実証設備(年間処理能力:約3000トン)建設の具体的検討に着手し、2021年度末の操業開始を目指すとしている。
プラスチックは社会生活に欠かせない素材である一方、使用後の海洋流出による生態系への悪影響や、石油由来原料の使用による温室効果ガス増加等の問題が顕在化し、国際的な重要課題となっている。
同社は「デンカグループにおいても地球環境保全に積極的に取り組んでおり、プラスチックを扱う化学メーカーの責務として、環境負荷抑制への厳格な管理とともに、省資源・省エネルギーへのたゆまぬ技術革新に努めている」と述べている。
従来のプラスチックリサイクルの手法は使用済みのプラスチックを粉砕し、再度溶融したうえで製品を成形するマテリアルリサイクルというもので、特に食品関連容器への利用には一部で制約があった。しかし、今回の方式は、ポリマーからモノマーに熱分解しやすいスチレン系樹脂の特徴を生かしたケミカルリサイクル手法であり、リサイクルスチレンモノマーから製造されたポリスチレンの用途には制限がない画期的な手法。またCO2の発生量も通常の生産方法と比較して半減させることが可能となっている。
今後、同社は東洋スチレンのケミカルリサイクル事業を全面的にバックアップするとともに、政府機関、関係団体との連携にも協力していくとしたうえで、持続可能な社会実現のため今後も新たな製品・技術の創造を通じて、地球環境の保全・保護に積極的に取り組むとしている。
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