クロロプレンモノマー毒性評価見直しが査読プロセスに移行 デンカ2020年8月20日
アメリカ環境保護庁(EPA)は7月24日付で発行された官報のなかで、同社米国子会社のデンカ・パフォーマンス・エラストマー社(DPE)がEPAに提出したクロロプレンモノマーの健康への影響を研究する最先端の生理学的薬物動態(PBPK)モデルに基づく評価手法に関し、査読プロセスに進む旨を公表した。
本PBPKモデルが採用されれば、2010年の総合リスク情報システム(IRIS/IUR)で策定された毒性評価に抜本的な変更が加えられることになり得るという。2015年の国家大気有害物質評価(NATA)の中でEPAは、毒性評価にもとづき、歴史的にみてルイジアナ州ラプラスに所在するDPEの工場から排出されるクロロプレンモノマーが近隣住民の健康リスクを乗じさせていると指摘。同工場は1969年依頼デュポン社が操業してきたものであり、2015年11月1日にDPEが取得したもの。
DPEは本PBPKモデルを2019年にEPAに提出し、その後EPA内部で評価されてきた。2010年のIURの毒性評価の見直しに向けてPBPKモデルをさらに検証するため現在EPAは査読プロセスの第1段階にあたるパブリックコメントを募集している。
本PBPKモデルの評価結果は、有識者による疫学的研究あるいは州政府により纏められた近隣の健康データにも裏付けられており、同工場で勤務してきた1200 人以上の従業員を含む、複数のクロロプレンモノマー製造工場の勤務者を対象とした外部専門家による疫学的研究や、ルイジアナ腫瘍統計局により実施された健康統計調査とも整合。これらは全て、約50年にわたって操業している同工場の勤務者や近隣住民の健康リスクには影響がないことを示唆するものだという。
また、DPEは3500万米ドル(約40億円)以上を投資して排出量削減設備を導入し、クロロプレンモノマーの排出量を85%削減を実現。引き続きDPEは州および連邦規制当局と協力して化学物質に関するさらなる環境負荷低減に努めていく考えだ。
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