新原理の三球温度計を開発 農研機構2020年10月27日
農研機構は10月26日、野外で日よけを使わずに正確な気温を測定できる三球温度計を開発したと発表。通風装置を使わずに信頼性の高い気温データを取得することができるため、データに基づいた農作物の管理などに役立てる。
![3つの球形センサで構成される三球温度計](https://www.jacom.or.jp/shizai/images/nous20102721_1.jpg)
一般的に野外での正確な気温測定には、日射(太陽放射)など放射の影響を避けるために百葉箱や通風筒(日よけと通気ファンを組み合わせた装置)が用いられる。しかし、農地のスペースや電源の制約からそれらを使用しない場合、放射の影響を適切に除去できず、日中に実際の気温よりも高く測定してしまうという問題があった。
そこで農研機構は、放射の影響を計算で除去することで正確に気温を求めることができる多球温度計の原理を新たに考案。この原理は球体の熱収支理論に基づき、大きさの異なる複数の小さな球の温度から正確な気温を計算する。野外実験から最適な球の数と大きさの組み合わせを調べ、その結果をもとに、3つの小さな球形センサ(直径0.25mm、1mm、4mm)から構成する三球温度計を開発した。
同温度計を用いることで、野外で百葉箱や通風筒などの設置が困難な場合にも、放射の影響を受けない正確な気温データを取得できる。データを活用した農作物の管理に役立つと同時に、通気ファンなどの電源が不要なため、商用電源が確保できない場所での気温測定など、農業以外の分野でも活用が期待される。
今回の研究成果は、2020年10月15日発行の国際科学誌Agricultural and Forest Meteorology第292号に掲載された。
なお、三球温度計の実物を文部科学省研究交流センター1Fエントランスホール(茨城県つくば市)で11月25日まで展示している。
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