特別項目控除前営業利益は前四半期比で増加 BASF2020年11月2日
ドイツのBASF本社は10月28日、2020年第3四半期の業績を発表した。
コロナ禍で経済に世界的な影響が続くなか、BASFグループの特別項目控除前営業利益は前四半期比で大幅に増加。2020年第3四半期の特別項目控除前営業利益は、前四半期から3億5500万ユーロ増え、5億8100万ユーロとなった。BASF取締役会会長のDr. マーティン・ブルーダーミュラー氏は、「9月に事業が好調だったことにより、大幅増を達成できた」と話している。
売上高は、前年同期比で7億4500万ユーロ減の、138億ユーロ。これは全事業セグメントの中でも特に、アグロソリューション事業セグメントとサーフェステクノロジー事業セグメントで、為替のマイナス効果が見られたことが原因といえる。米テキサス州ポートアーサーのスチームクラッカーに臨時修繕が発生したため、とりわけケミカル事業セグメントの販売量が減少したことも、減収の一因となった。主にサーフェステクノロジー事業セグメントで、貴金属の価格が上昇したため、全体的に販売価格が上昇し、減収を埋め合わせる効果があった。また、マテリアル事業セグメントでは、Solvay社から取得したポリアミド事業の統合によるポートフォリオ変更の効果が売上高にプラスの影響を及ぼした。
特別項目控除前営業利益は、前年同期比で4億7500万ユーロ減り、 5億8100万ユーロ。これは主に、ケミカル事業セグメントの寄与が大幅に低下したことによるもの。ニュートリション&ケア事業 セグメント、その他に分類される事業、マテリアル事業セグメント、アグロソリューション 事業セグメントでも大幅減となったが、インダストリアル・ソリューション事業セグメント、サーフェステクノロジー事業セグメントでは微減にとどまった。
EBIT(営業利益)に含まれる特別項目は、32億ユーロの損失だった。これは主にコロナ禍の経済的影響と事業再編により、全事業セグメントで合計28億ユーロにのぼる減損損失を認識したことが関連している。また、「グローバル・ビジネス・サービス」ユニットの再編に3億1300万ユーロが計上された。EBITは前年同期(13億ユーロ)を大きく下回り、マイナス26億ユーロだった。
減価償却費と特別項目控除前の営業利益(特別項目控除前EBITDA)は、前年同期比で4億3800万ユーロ減少し、15億ユーロ。EBITDAは 12億ユーロ減少し、10億ユーロだった。
当期純利益は、前年同期の9億1100万ユーロから、マイナス21億ユーロに減少。2020年第3四半期の1株当たりの利益は、マイナス2.31ユーロで、特別項目と無形資産償却分調整後の1株当たり利益は、0.60ユーロだった。
純利益が30億ユーロ減少したにもかかわらず、営業活動によるキャッシュフローは前年同期を1億200万ユーロ上回り、21億ユーロのプラスとなった。純利益の減少は主にキャッシュフローに影響を及ぼさない減損処理によるもの。フリーキャッシュ フローは、土地、工場、設備、無形固定資産への支出が減少したことで、事業活動によるキャッシュフローが増加した結果、前年同期の11億ユーロから14億ユーロに増加した。
地域別業績推移を見ると、欧州での売上高は、前年同期比12%減。これはその他に分類される事業とマテリアル事業セグメントで、販売量が減少したことが主な原因だった。北米の売上高は前年同期比6%減で、テキサス州ポートアーサーにあるスチーム クラッカーの臨時修繕により、特にケミカル事業セグメントでの販売量が減少したことによる。アジア太平洋地域の売上高は、大半の事業セグメントで販売量が増加した前年同期比で10%増。南米、アフリカ、中東地域の売上高は、全事業セグメント、とりわけアグロソリューション事業 セグメントにおいて為替のマイナス効果が見られたため、前年同期比9%減となった。
2020年の見通し
2020年第3四半期、世界の産業経済は、前四半期の大幅な落ち込みから回復を見せたが、世界生産の水準は依然として前年同期を3%ほど下回っている。2020年第2四半期の生産停止の影響を特に強く受けた自動車業界では、今期も前年同期の水準を2%ほど 下回った。一方、耐久消費財の需要は改善。食品やケア商品などの消耗品についてはコロナ禍で需要が増加したものもあるが、次第に通常に戻りつつある。第3四半期には力強い回復が見られたが、今年残りの数か月は勢いが落ち着くと予測される。
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