農畜資源のアップグレードで資源価値向上 農研機構2020年11月16日
農研機構11月12日、藁と家畜燃料灰を資源として利用しやすくする「RURAL(ルーラル)プロセス」を開発したと発表。家畜糞を用いた再生可能エネルギーを生産することで、資源価値の向上と持続的社会の構築を目指す。
RURALプロセスの概念図
これまで藁からバイオ燃料・化成品原料等を製造するには、酸、アルカリ、高温水蒸気などによる前処理が必要とされ、コストや大がかりな設備が必須だった。また、家畜糞を再生可能エネルギー源として燃焼利用した後に残る畜糞燃焼灰は、肥料用リン原料としての価値を持つがアルカリ性が強く、取り扱いや肥料の製造が容易ではなかった。
そこで農研機構は、藁などの作物残渣と畜糞燃焼灰に水を加えて混合・静置することで、藁の繊維の前処理(改質)と畜糞燃焼灰のアルカリ低減を同時に行う地域型のプロセス(Reciprocal Upgrading for Recycling of Ash and Lignocellulosics:RURALプロセス)を開発した。
この技術は大がかりな前処理設備を必要とせず、農家単位で混合物を山積みにして周りを覆うだけでも前処理ができるようになるもの。さらに、前処理に使用するアルカリに、地域内で生じる畜糞燃焼灰を利用することで、化石資源由来のアルカリを地域外から輸送する必要がなくなり、前処理利用によってアルカリ性が低減した畜糞燃焼灰は、リサイクル型リン肥料製造のための原料として取扱い易くなる。
また、エリアンサス、ススキ、オギススキなどのセルロース系資源作物、サトウキビバガスのような食品製造残渣、芝、河川堤防や道路等に生える雑草などへの適用も考えられる。特に湿った状態の草は放置すると腐敗するが、RURALプロセスにより腐敗が抑制されることから、貯蔵面でも有効とされる。
畜舎近傍でのエネルギー利用を想定した燃焼システムの導入が進むことで、畜糞燃焼灰の高度利用に関するニーズは一層の拡大が期待されることから、畜糞燃焼システムは再生可能エネルギー生産を通じ、持続的社会の構築に貢献できるとしている。
現在、農研機構は今回のプロセスの効率化を目指して、多様な原料の特性評価や有価物製造試験などを行っており、今後は研究成果の現地実証試験に向けた準備を進めるとしている。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(138)-改正食料・農業・農村基本法(24)-2025年4月19日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(55)【防除学習帖】第294回2025年4月19日
-
農薬の正しい使い方(28)【今さら聞けない営農情報】第294回2025年4月19日
-
若者たちのスタートアップ農園 "The Circle(ザ・サークル)"【イタリア通信】2025年4月19日
-
【特殊報】コムギ縞萎縮病 県内で数十年ぶりに確認 愛知県2025年4月18日
-
3月の米相対取引価格2万5876円 備蓄米放出で前月比609円下がる 小売価格への反映どこまで2025年4月18日
-
地方卸にも備蓄米届くよう 備蓄米販売ルール改定 農水省2025年4月18日
-
主食用МA米の拡大国産米に影響 閣議了解と整合せず 江藤農相2025年4月18日
-
米産業のイノベーション競う 石川の「ひゃくまん穀」、秋田の「サキホコレ」もPR お米未来展2025年4月18日
-
「5%の賃上げ」広がりどこまで 2025年春闘〝後半戦〟へ 農産物価格にも影響か2025年4月18日
-
(431)不安定化の波及効果【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月18日
-
JA全農えひめ 直販ショップで「えひめ100みかんいよかん混合」などの飲料や柑橘、「アスパラ」など販売2025年4月18日
-
商品の力で産地応援 「ニッポンエール」詰合せ JA全農2025年4月18日
-
JA共済アプリの新機能「かぞく共有」の提供を開始 もしもにそなえて家族に契約情報を共有できる JA共済連2025年4月18日
-
地元産小粒大豆を原料に 直営工場で風味豊かな「やさと納豆」生産 JAやさと2025年4月18日
-
冬に咲く可憐な「啓翁桜」 日本一の産地から JAやまがた2025年4月18日
-
農林中金が使⽤するメールシステムに不正アクセス 第三者によるサイバー攻撃2025年4月18日
-
農水省「地域の食品産業ビジネス創出プロジェクト事業」23日まで申請受付 船井総研2025年4月18日
-
日本初のバイオ炭カンファレンス「GLOBAL BIOCHAR EXCHANGE 2025」に協賛 兼松2025年4月18日
-
森林価値の最大化に貢献 ISFCに加盟 日本製紙2025年4月18日