持続可能な農業を実現するイノベーションパイプラインを拡充 BASF2021年4月19日
BASFは、持続可能な農業を実現するイノベーションパイプラインを拡充。生産者が抱える環境保護や経済的な課題の解決を支援し、持続可能な方法で生産された食品を求める消費者のニーズに応えるためのイノベーションを創出する研究開発活動を強化する。
デジタル化は農業の生産性向上に寄与(写真提供=ボッシュ)
同取り組みは今後10年間に市場に投入される農業向けソリューションのパイプラインは、持続可能性(サステナビリティ)に貢献する農業ソリューションの売上シェアを毎年7%増やすという目標の達成を後押しするもの。2030年までに30を超える大型研究開発プロジェクトが、同社の種子と種子処理製品、化学的・生物学的ソリューション、デジタルサービスとの包括的な提案を補完する役割を果たす。ピーク時の売上高は75億ユーロにのぼる見通し。
同社は2020年、アグロソリューション事業セグメントの研究開発に8億4000万ユーロを投資。これは同事業セグメントの売上高の約11%を占めており、2021年も高水準の研究開発投資を継続する予定。
BASFアグロソリューション事業本部プレジデントのヴァンサン・グロ氏は「イノベーション開発に加え、効果的な製品と新しいテクノロジーやサービスを組み合わせ、お客様のニーズや世界各地の様々な作物の栽培方法に沿った、包括的なソリューションを提供する」と述べている。
同社は、農業事業で2030年を期限とするサステナビリティの目標を設定。サステナビリティに貢献する農業向けソリューションの売上シェアを毎年引き上げることに加え、作物1トン当たりのCO2排出量を30%削減できるよう生産者を支援する。また、2030年までに4億ヘクタールを超える農地にデジタル技術を導入するとともに、BASF製品の安全な使用を徹底し、農業・食料システムを発展させるソリューション開発に継続的に取り組む。
包括的なソリューションの提供
2050年までに、生産者は推定97億人に食料を供給するため、生産性を50%向上することが求められている。農業のデジタル化はこの達成に大きく貢献する可能性がある。そのため同社は、他のイノベーションとともに製品ポートフォリオ全体でデジタル技術を強化。これらを組み合わせることで、生産者は生物多様性を保全しながら、既存の耕地における収量を増加させることが可能になる。
2020年11月、将来的にスマート農業ソリューションを世界的に販売することを目指し、BASFとBosch(ボッシュ)は合弁会社を設立を合意。関係する反トラスト当局の承認取得後に設立されるこの合弁会社から、年内に「SmartSpraying(スマートスプレー)」ソリューションが上市される予定。
この新しい技術は、雑草を識別して除草剤の正確な散布を実現するため、土地利用の生産性を向上させるとともに、除草剤の散布量を削減することで環境への負荷も軽減する。さらに、新たな成果ベースのビジネスモデル「xarvio HEALTHYFIELDS(ザルビオヘルシーフィールド)」は、生産者が合意した収量目標を達成できるよう、ほ場とそのシーズンに合わせ最適化された作物保護戦略を提供する。
同社は、除草剤耐性のトレイト(形質)とそのトレイトに合わせた化学的農薬の開発をさらに拡大。雑草を発芽前に抑制するソリューションと組み合わせることで、不耕起栽培が可能になり、土壌からのCO2排出量の削減、土壌流亡の軽減、腐植の集積を促進する。
新規有効成分Axalion(アクサリオン)はBASFの最新の殺虫剤のイノベーション
持続可能な方法で生産された食品への需要増大に対応
BASFは、製品ポートフォリオで持続可能なソリューションを継続的に強化するため、研究開発の初期段階において、第三者機関の検証を受けた独自の「サステナブル・ソリューション・ステアリング」の手法を適用。「農業ソリューションに対する研究開発手法は過去20年間で根本的に変化した。
BASFの殺虫剤ポートフォリオは、「サステナブル・ソリューション・ステアリング」を適用した成功事例の一つ。農業の生産性を高め、環境負荷を低減し、社会に付加価値をもたらすソリューションの提供につながっている。同社が開発した新規殺虫剤有効成分Axalion(アクサリオンズ)は、「サステナブル・ソリューション・ステアリング」を利用した最新のイノベーションで、現在、農薬登録に向けて規制当局の承認待ち。Axalionの新しい作用機構により、生産者は土壌や水産動植物、鳥類に悪影響を与えることなく収穫量を確保できる。
Axalionを使った製品は、製品のラベルの指示に従って散布すれば、有用昆虫に対する影響は比較的小さく抑えられ、有効成分は殺虫剤の抵抗性管理にも不可欠なツールとなる。その他、BASFの製品で「サステナブル・ソリューション・ステアリング」を用いた開発事例としては、最近南北アメリカとアジアで地域に合わせて製品化された「Inscalis(インスカリス)」をベースとする殺虫剤や、世界で初めて南米とアジアで登録を取得した「Broflanilide(ブロフラニリド)」がある。
BASFの新しい種子品種は、生産者が環境に優しい方法で、十分な量の食料を手頃な価格で生産することをサポートしている。また、水耕栽培システムでレタスを栽培するなど、屋内の栽培システムの研究にも投資。水耕栽培は従来の土耕栽培に比べて狭い土地で少ない水でも栽培でき、従来の作物保護の必要性が低い。また、屋内での栽培技術であるため場所を問わず、より消費者に近い場所での栽培も可能となり、長距離輸送を回避し、関連するCO2排出量削減にもつながる。
重要な記事
最新の記事
-
埼玉県内で鳥インフルエンザ 国内11例目2024年11月25日
-
【JA部門】全農会長賞 JA山口県 「JAならでは」の提案活動で担い手満足度向上 TAC・出向く活動パワーアップ大会20242024年11月25日
-
5年ぶりの収穫祭 家族連れでにぎわう 日本農業実践学園2024年11月25日
-
鳥インフル 米イリノイ州、ハワイ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月25日
-
「JA集出荷システム」と生産者向け栽培管理アプリ 「AGRIHUB」をシステムで連携 農業デジタルプラットフォームの構築目指す JA全農2024年11月25日
-
卓球世界ユース選手権 日本代表を「ニッポンの食」でサポート JA全農2024年11月25日
-
佐賀県産「和牛とお米のフェア」みのる食堂三越銀座店で開催 JA全農2024年11月25日
-
JA全農×農林中金「酪農・和牛の魅力発信にっぽん応援マルシェ」新宿ルミネで開催2024年11月25日
-
EXILE NESMITH監修 くまもと黒毛和牛『和王』の特別メニュー提供 JA全農2024年11月25日
-
「第1回全国冷凍野菜アワード」最高金賞のJAめむろなど表彰2024年11月25日
-
「熊本県産和牛とお米のフェア」大阪の直営3店舗で12月1日から開催 JA全農2024年11月25日
-
都市農業・農地の現状と課題 練馬の野菜農家を学生が現地調査 成蹊大学2024年11月25日
-
食育イベント「つながる~Farm to Table~」に協賛 JQA2024年11月25日
-
薩州開拓農協と協業 畜産ICT活用で経営の可視化・営農指導の高度化へ デザミス2024年11月25日
-
「ノウフクの日」制定記念イベント 東京・渋谷で開催 日本農福連携協会2024年11月25日
-
省スペースで「豆苗」再生栽培「突っ張り棒」とコラボ商品発売 村上農園2024年11月25日
-
在ベトナム農業資材販売会社へ出資 住商アグロインターナショナル2024年11月25日
-
楽粒の省力検証 水稲除草剤の散布時間の比較 最大83%の時間削減も 北興化学工業2024年11月25日
-
【人事異動】北興化学工業株式会社(12月1日付)2024年11月25日
-
幼稚園・保育園など996施設に「よみきかせ絵本」寄贈 コープみらい2024年11月25日