種子の市場規模 2026年に868億米ドル到達予測2021年5月12日
(株)グローバルインフォメーションは5月10日、市場調査レポート「種子の世界市場 (~2026年):タイプ (遺伝子組み換え型・従来型)・特徴 (除草剤耐性・殺虫剤耐性)・作物区分 (穀物・油糧種子&豆類・果物&野菜)・地域別」(MarketsandMarkets)を発売した。
種子の市場規模は、2021年の630億米ドルから年平均成長率(CAGR)6.6%で成長し、2026年には868億米ドルに達すると予測。食品、飲料、動物飼料、バイオ燃料業界からの種子需要の増加が、市場の成長を牽引しており、中国やインドなど最大規模の人口を占める国で食用穀物の需要が増え続けていることも種子市場の成長を後押ししている。先進国市場では、農家は作物の収穫量を維持し、収益を上げる試みを続けており、先進国と発展途上国の持続的な取り組みが、種子市場の成長を牽引している。
新型コロナウイルスによる種子市場への影響
種子は農業生産の出発点であることから、パンデミックのような危機的状況下では、種子の配送は、現在とその後の生産サイクルを支えるための必須サービスの一つ。しかし、出荷便数、運転手そしてスタッフの減少などによる国内外への輸送の滞りが、種子部門特有の問題を引き起こしている。特に一部地域では、小規模農家が農場から都市の市場に生産物を移動させることができない状況にある。新型コロナウイルスによる混乱は、各国で植え付けに必要な種子の入手を困難にし、農業生産量や作付面積の減少につながる可能性がある。
牽引要因:バイオテクノロジー作物の高い導入率
バイオテクノロジーは、天然資源を保護するために、ストレスに強く、より栄養価の高い作物品種の開発に利用されている。ISAAA(International Service for the Acquisition of Agri-Biotech Applications)によると、バイオ作物の栽培面積は1996年の170万ヘクタールから2018年には1億9170万ヘクタールへと113倍に増加。最近では最も早く採用された作物技術となっている。バイオ作物は、トウモロコシ、大豆、綿花、キャノーラなどの主要作物だけでなく、アルファルファ、テンサイ、パパイヤ、カボチャ、ナス、ジャガイモ、リンゴなどの他の作物にも拡大している。
さらに、公的機関が行っているバイオ作物の研究には、米、バナナ、ジャガイモ、小麦、ヒヨコ豆、キマメ、マスタードなどがあり、経済的に重要な形質や、途上国の食品生産者や消費者にとって有益な栄養学的な形質を備えている。
抑制要因:高額な研究開発費による種子価格の高騰
種子産業は、最も研究開発を必要とする産業の一つ。研究開発費は、戦略や技術に応じて企業ごとに異なる。農家では、不安定な気候条件と最終消費者の食料需要の高さから、遺伝子組み換え種子の採用率が高まっている。
遺伝子組み換え種子の開発にはコストがかかるため、種子の価格が高騰。限られた企業が、耐虫性や除草剤耐性など特定の形質を持つ遺伝子組み換え種子の開発に先駆的な立場にあり、そのために対象種子にプレミアムな価格を付けることができる。トマト、リンゴ、ブドウ、メロンなどの野菜や果物の品種のハイブリッド種子や有機種子も、平均的な種子価格よりも高くなる。
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