悪性がん治療用ウイルス製剤「デリタクト」国内製造販売承認 デンカ2021年6月14日
デンカ株式会社は6月11日、東京大学医科学研究所の藤堂具紀教授と共に商用製剤生産技術の開発を進めてきたがん治療用ウイルスG47Δ製剤「デリタクト(一般名:テセルパツレブ)」について、悪性神経膠腫の治療を目的とした再生医療等製品として、国内で条件と期限付き承認に該当する製造販売承認を第一三共株式会社が取得。デンカは第一三共からの委託を受けて、五泉事業所(新潟県五泉市)で同品の生産を担う。
「デリタクト」は、藤堂教授が開発した単純ヘルペスウイルス1型 (HSV-1) を遺伝子改変したがん治療用ウイルス製剤で、今回の承認により悪性神経膠腫を対象として世界で初めて承認された。
同品はウイルスそのものを製剤化したものであるため、 商用製剤の生産には大規模なウイルス培養技術や特殊な試験技術の確立が必要とされ、長年に渡りワクチンとウイルス検査試薬の開発・製造を行ってきた同社の技術やノウハウが十分に発揮される。実用生産を通じて、未だに有効な治療法がない医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)が高い悪性神経膠腫における新たな治療の選択肢を提供する。
同社は、「デリタクト」の実用生産に向けて、2015年に製造工程の開発に着手し、約20億円を投資して五泉事業所でがん治療用ウイルス製剤の生産に必要な建屋建設と設備導入を進めてきた。このほど商用製剤生産に必要な製造プロセスを確立し、国内医療機関に必要とされる製剤数の確実な供給が可能となった。
同社は、経営計画「Denka Value-Up」でヘルスケア領域を重点分野と位置づけ、インフルエンザワクチンや各種ウイルス抗原迅速診断キットなどの感染症領域に加え、がん領域においてもさまざまな新規事業に取り組んでいる。
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