青果物のおいしさを非破壊的に計測 AIによる光センサー開発 農研機構2021年6月29日
農研機構は、人が食べて感じる「食味」や「食感」を、AI技術で光センサーに学習させることで、トマトの「おいしさ」の計測に成功した。発表する試作機は、果実を光センサーの上に置くだけで、「甘味」「うまみ」「ジューシー感」「かたさ」などのおいしさの特徴を、糖度やリコピン含有量などと一緒に瞬時に表示。農産物の「おいしさ」や成分含有量を可視化するツールによって、消費者の細かなニーズに合わせた流通サービスの提供など、おいしさデータを活用した新たな「食のビジネスモデル創出」が期待される。
試作した青果物のおいしさセンサー
食の生産・流通・消費を最適化するスマートフードチェーンの構築には、食品が持つ様々な品質をデータ化する技術が必要とされている。なかでも「おいしさ」は消費者が最も重視する品質の一つだが、これまでは実際に人が食べて評価を行う官能評価によって「おいしさ」を調べるため、一度に大量の試料を調べることが難しく、評価者によって結果にバラつきが生じるなどの問題があった。一方、糖度については、果実を切らずに(非破壊的に)測定できる光センサー(近赤外糖度計)が開発され、選果場などで広く普及。農研機構はこの光センサー技術を応用して、実際に食品を食べなくても「おいしさ」を推定できる技術を開発した。
具体的には、訓練された官能評価パネリストが採点した「食味」や「食感」を、光センサーに直接AI学習させることで「おいしさ」の計測を実現。市販機(フルーツセレクター、株式会社クボタ製)をベースにした試作機を開発した。トマトの果実に光を照射することで、甘味、うまみ、ジューシー感、かたさなどの官能評価結果を推定する。さらに、果実の糖度、酸度などととともに、農研機構が開発した技術で機能性成分のリコピンを同時に測定して瞬時にチャートを表示する。
今回の研究成果で、食品のおいしさを簡便で客観的に評価できる可能性を提示。誰でも簡単においしさを測れる試作機が完成し、今後は実際に「おいしさ」の評価軸が食品の商品価値に及ぼす影響を検証する。
測定結果の表示画面例。 表示項目は10項目まで可能
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