バイオスティミュラント資材の実証試験をJAみっかびと共同で開始 AGRI SMILE2022年2月14日
株式会社AGRI SMILEは、独自のバイオスティミュラント(BS)資材評価系を用いて、未利用資源を活用したBS資材の研究開発及び評価事業を推進している。今年度より、浜松市ファンドサポート事業費交付金による支援により、三ヶ日町農業協同組合(JAみっかび)と共同で、温州みかん生産圃場でのBS資材の評価体系構築に向けた実証試験を開始した。
資材散布の様⼦(JAみっかび提供)
地球温暖化をはじめとする気候変動により、植物に対する非生物的ストレスが増加し、収量や品質への影響が懸念されている。さらに脱炭素や環境保護の観点から、日本も欧米諸国に倣い、「みどりの食料システム戦略」において2050年までに化学農薬や化学肥料の使用量を削減する目標を掲げている。また、生産現場では肥料価格の高騰による生産コストの増大が喫緊の課題となっており、化学農薬や化学肥料を削減しながらも収量と品質を維持することが求められている。
これらの環境面、経済面の課題を乗り越え、持続的な食糧供給を果たすための技術的な解決策の一つとして、近年、BS資材という新たな農業資材カテゴリーに注目が集まっている。BS資材は植物の免疫系を活性化し、根張り・収量の向上や、乾燥/過湿耐性、耐病性、耐高/低温性、耐塩性といった効果を付与する資材。その原料は微生物や多糖類、ペプチド、有機酸、ミネラル、腐植酸など多岐に渡る。付与したい性質に応じて、BS資材を適切なタイミング・量で供する技術が確立されれば、化学肥料や農薬の使用量を削減しつつ供給責任を果たす農業の実現に貢献することが期待される。
BS資材に関しては、世界的に大きな期待が集まる一方で、その資材が植物体に影響を及ぼすメカニズム(作用機序)に関する知見はまだ不十分であり、農業現場での実証試験の結果を基にその効果や応用性を評価することが中心。新規資材の導入を目的とした試験では、再現性のある使用技術の確立に時間がかかることに加え、効果が出ても作用機序が不明瞭であることへの不安感から、現場での普及がスムーズに進まないという課題がある。
そこで同社では、研究室レベルのエビデンス獲得と圃場レベルでの現場実証を両輪で回す仕組みを構築すべく、まずは自社研究室にて複数の資材を対象に評価を開始し、有効性を確認した(未発表データ)。今回の共同実証試験では、研究室レベルで得られた知見を基に、圃場レベルでの多面的な分析によるBS資材評価体系の構築を目指す。本取り組みは浜松市ファンドサポート事業費交付金による支援により、JAみっかびと共同で温州みかんの生産圃場において2年間実施する。
BS資材の評価軸は世界的にまだ整備されていないが、本試験にでは商品となるみかん果実への影響はもとより、植物体や土壌への影響を、微生物・代謝物・元素の観点から年間を通じて解析することにより、多面的に効果を検証する。ストレス耐性や元素吸収効率に関してポジティブな効果がある場合には、余剰肥料の削減条件も試験し、環境面と経済面の両立に役立つ資材であるかを評価する。
これら複数試験を通して、研究室と生産圃場の相互連携したBS資材の評価体系を構築し、JAみっかびの生産圃場における課題解決に貢献する。さらには複数の産地や品目へ展開することにより、日本におけるBS資材の評価及び使用技術を整え、農業の持続可能性を高めることが期待される。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(138)-改正食料・農業・農村基本法(24)-2025年4月19日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(55)【防除学習帖】第294回2025年4月19日
-
農薬の正しい使い方(28)【今さら聞けない営農情報】第294回2025年4月19日
-
若者たちのスタートアップ農園 "The Circle(ザ・サークル)"【イタリア通信】2025年4月19日
-
【特殊報】コムギ縞萎縮病 県内で数十年ぶりに確認 愛知県2025年4月18日
-
3月の米相対取引価格2万5876円 備蓄米放出で前月比609円下がる 小売価格への反映どこまで2025年4月18日
-
地方卸にも備蓄米届くよう 備蓄米販売ルール改定 農水省2025年4月18日
-
主食用МA米の拡大国産米に影響 閣議了解と整合せず 江藤農相2025年4月18日
-
米産業のイノベーション競う 石川の「ひゃくまん穀」、秋田の「サキホコレ」もPR お米未来展2025年4月18日
-
「5%の賃上げ」広がりどこまで 2025年春闘〝後半戦〟へ 農産物価格にも影響か2025年4月18日
-
(431)不安定化の波及効果【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月18日
-
JA全農えひめ 直販ショップで「えひめ100みかんいよかん混合」などの飲料や柑橘、「アスパラ」など販売2025年4月18日
-
商品の力で産地応援 「ニッポンエール」詰合せ JA全農2025年4月18日
-
JA共済アプリの新機能「かぞく共有」の提供を開始 もしもにそなえて家族に契約情報を共有できる JA共済連2025年4月18日
-
地元産小粒大豆を原料に 直営工場で風味豊かな「やさと納豆」生産 JAやさと2025年4月18日
-
冬に咲く可憐な「啓翁桜」 日本一の産地から JAやまがた2025年4月18日
-
農林中金が使⽤するメールシステムに不正アクセス 第三者によるサイバー攻撃2025年4月18日
-
農水省「地域の食品産業ビジネス創出プロジェクト事業」23日まで申請受付 船井総研2025年4月18日
-
日本初のバイオ炭カンファレンス「GLOBAL BIOCHAR EXCHANGE 2025」に協賛 兼松2025年4月18日
-
森林価値の最大化に貢献 ISFCに加盟 日本製紙2025年4月18日