全国初 静岡市西ケ谷清掃工場の溶融スラグが肥料で「本登録」 日鉄エンジニアリング2022年6月3日
日鉄エンジニアリングは6月2日、同社のシャフト炉式ガス化溶融炉を利用して、ごみを処理し、資源物として産出される「溶融スラグ」が、一般廃棄物由来のスラグの肥料として全国で初めて本登録を受けたことを発表した。
この溶融スラグは、静岡市西ケ谷清掃工場(シャフト炉式ガス化溶融炉)で地域から排出された一般廃棄物を約1700~1800℃の高温で溶融処理により産出される資源物。高温溶融する過程で有害成分が取り除かれるため、高品質で非常に安全な製品となる。2017年の仮登録以降、5年間を通じて、安定的に良好な品質であると農林水産省に評価され本登録となった。
本登録により、同じ型式のガス化溶融炉であれば、他の施設の溶融スラグも肥料登録が可能となる。このスラグ肥料は、水稲、畑ワサビ、マコモダケの肥料などの農業分野に加え、ゴルフ場の芝生養生や水産業における藻場再生・生育などに適用分野を広げている。
同社のシャフト炉式ガス化溶融炉は、これまで他の焼却施設では埋め立てが必要となっていた焼却灰や処理ができなかった災害廃棄物なども適切に処理することが可能。最終処分量を極小化することで、廃棄物処理行政の課題に貢献している。さらに、地域の一般廃棄物(家庭ごみ)から産出された資源物(溶融スラグ)が、周辺地域で農業や水産業に利用されるというモデルは、SDGsや地域循環共生圏の構築に資するもの。同社は今後、静岡市をはじめ関係者の協力を得ながら、他の地域にも積極的に展開する。
なお、 静岡市西ケ谷清掃工場から産出される一般廃棄物由来のスラグ肥料は、2017年に農林水産省の「仮登録」を受け、2019年からJA静岡経済連を通じ「SKケイカル」として販売。このほど3月25日付で、全国で初めて農水省からスラグ肥料として「本登録」を受けた。
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