"セルロースナノファイバー"耕種農業分野へ展開 中越パルプ工業×丸紅2022年7月12日
中越パルプ工業と丸紅は、中越パルプが製造するACCセルロースナノファイバー(CNF)「nanoforest」を使った新たな農業資材「nanoforest-S【アグリ】」の法人に向けた試験販売を開始。同製品は、農林水産省が策定する「みどりの食料システム戦略」で推進する総合的病害虫・雑草管理(IPM) の「物理的防除」に対応している。
「nanoforest-S【アグリ】」の特徴
世界人口の増加が予測される中、安定的で持続的な食糧生産において病虫害による損失を軽視できない。農薬などの化学的防除は耐性菌の出現や環境負荷が大きな問題となっており、化学的防除のみに頼らない病虫害の防除が重要な課題となっている。
ACCセルロースナノファイバー(CNF)は、水中対向衝突法(ACC法)により薬品を加えることなく、水の力で木質繊維(パルプ)を微細化したセルロースナノファイバー。水と結びつきやすい親水面と油と結びつきやすい疎水面を有し、「両親媒性」の特徴を示す。これを活用した「nanoforest-S【アグリ】」の主成分は、セルロース繊維と水で、殺虫・殺菌成分等の合成成分は一切含まれていない。病原菌の侵入から植物の葉表面を守る物理的防除資材で、CNFを植物葉面に散布することで微細なセルロース繊維の網(防菌ネット)が葉表面を覆い、葉の内部への病原菌の侵入を物理的に防ぎ、病害の感染を抑制する。
両社は、2018年から筑波大学を含めた3社で共同研究を始め、葉面感染を原因とする病害に対して、CNFが有益な効果を示すメカニズムを解明。同製品の使用方法の確立に向けて圃場試験と研究開発を重ね、ACCセルロースナノファイバーを活用した物理的防除による農業分野への貢献をめざす。
ACCセルロースナノファイバー「nanoforest」
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