肥料 予約積み上げ 前年比140% 混合堆肥も普及 JA全農2022年10月31日
JA全農は肥料原料価格の高騰が続くなか、産地の切替や多元化などによる肥料原料の一層の安定確保に取り組むとともに、銘柄集約と農家予約の積み上げを強化し肥料の製造から農家への配送まで効率的な体制の構築にさらに力を入れる。
肥料原料の安定確保に向けてJA全農は輸出規制を継続している中国や、調達が困難になっている産地からの切り替えや多元化を進めている。
原料確保は順調で今年1月から8月の全農の輸入実績は前年比で尿素が145%、りん安は124%、塩化加里は87%となっている。塩化加里は前年実績を下回っているが、国内在庫の消化を優先させたことが要因で調達に問題はないという。
背景には日本全体で調達先の切り替えや多元化に取り組んでいることがある。尿素の輸入先は昨年はマレーシアが50%、中国が42%を占めたが、今年はマレーシアを69%に増やした。りん安は輸入の92%を中国が占めていたが、今年は緊急輸入したモロッコからが31%を示めている。
塩化加里はカナダからの輸入を64%から87%に増やしている。
このほかJA全農は規制が続く中国からは輸入機会があれば調達する前倒し輸入も継続して行っていく。
銘柄集約と農家予約の積み上げも強化する。銘柄集約ではすでに約550あった銘柄を集中購買で24に集約した。これによって肥料メーカーが大量生産し製造コストが引き下げられた分を価格に反映する取り組みだ。
2022(令和4)年度は秋・春肥の予約積み上げ目標は12万t。秋肥の予約数量は5.3万tで前年比約140%となった。春肥の予約積み上げは取りまとめ中だがJA全農は「昨年を超える予約積み上げを図りたい」としている。
3つ目の取り組みが土壌診断に基づく適正施肥と堆肥など国内地域資源の利活用促進だ。
国の「肥料価格高騰対策事業」の支援条件である化学肥料低減の取り組みを進めるため、土壌診断に基づく施肥コスト抑制対策をJAに提案する取り組みのほか、分析依頼数が増えることを見込み全国9か所の全農広域土壌分析センターで簡易分析メニューを設定するなどの対応も行う。たとえば、りん酸と加里成分のみ分析を行うなどだ。
そのほか地域ごとの土壌分析結果に基づき、PK成分を下げたBB肥料として提供する取り組みなども行う。
堆肥入り混合肥料の普及も課題だ。2021年度のJA全農の供給実績は約7000t。千葉、埼玉、滋賀、大分に堆肥入り混合肥料を製造するメーカーの工場があり周辺での利用が増えている。全農によると4肥料年度は8000tを超える供給実績となる見込みだ。
九州では初の混合堆肥複合肥料が開発され普及を始めるなど、ほぼ全県でさまざまな作物に普及が図られているという。
そのほか堆肥の直接利用を促進するため、堆肥のペレット化による広域流通や、野菜などでブランドを立ち上げ、生産・販売・購買部門の横断的な取り組みとして進める方向も検討されている。
JA全農は「目新しいものではないが、これまでの取り組みを着実に現場で具体化することを強化していきたい」と話している。
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