出光興産がカナダのスタートアップ企業と協働 国内で有機廃棄物の堆肥化へ、初期プラント建設を目指す2023年7月18日
出光興産と同社100%子会社の出光アメリカズホールディングス(本社:米国カリフォルニア州サンノゼ、以下IAH社)は、カナダのスタートアップ企業であるAnacondaSystems社(以下、Anaconda社)と協働し、有機廃棄物を原料とした堆肥製造の事業化の検討を開始した。有機廃棄物を10日以内の短期間で堆肥化する技術を用い、大規模かつコスト競争力に優れた廃棄物処理・堆肥製造を目指す。
今回、検討を開始した堆肥製造事業は、日本国内で排出される生ごみなどの食品廃棄物、動物・植物性残渣、動物のふん尿などの有機廃棄物を短期間で安定した品質の堆肥に変換するものであり、Anaconda社が有する好気性発酵技術(発酵・分解を通じて土壌の栄養素となる堆肥を製造する技術)を用いることで、温度調整等に必要な電力等のエネルギー消費を極力抑えた上での堆肥化が可能となる。両社は今後、各自治体、設備運営・保守等を担うパートナー企業等の協力を得ながら堆肥化事業の実用化検討を進め、約200~300トン/日の有機廃棄物を処理して堆肥を製造する初期プラントを2020年代後半に建設することを目指す。
堆肥製造事業の資源循環イメージ
IAH社President and CEOの鈴木基弘氏は、「Anaconda社との協業を通じて、日本における脱炭素や安定した食糧生産、地域創生への貢献を目指すとともに、中長期的にはアジア地域への展開拡大も視野に社会課題の解決を目指していく」、Anaconda社CEOのRussell Zishiri氏は「出光との協業は、将来にわたって地域社会を支えていくものとなると考えている。低炭素社会の実現に向け、私たちの協力関係は日本のみならず、アジアのさまざまな地域、市場へ発展していくことを期待してる」とそれぞれコメントした。
鈴木基弘氏、(同右)Russell Zishiri氏
なお、本紙の取材に対し、堆肥を製品化する際の形状や流通方法については、「一般的に流通されているような粉末状、もしくはペレット化した上での製品化などを検討できればと考えている。また流通方法については今後、事業化検討に際して、関係先と協議の上、最適な方法を検討出来ればと思う」と回答している。
Anaconda社は2015年にカナダ バンクーバーで設立されたクリーンテック企業。革新的な独自の好気性発酵処理システムを用い、バンクーバーの1号プラントで商業運転を開始しており、有機廃棄物から堆肥を製造。現在毎月1万ポンド(4.5トン)を超える有機廃棄物を処理しており、4万ポンド(18トン)以上に達する可能性がある。今後、2035年までに北米で50件のプラントを建設・運営することを目指している。
「この技術を活用した処理設備は、廃棄物の発生源に近い都市部においても展開することができ、有機廃棄物の資源循環の構築を目指す日本やその他の地域・市場にとって、理にかなったもの」(Zishiri氏)としている。
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