【第35回国際農業機械展in帯広2023】農業への挑戦 北の大地から おもな出展機械レポート2023年7月19日
7月6日から10日まで北海道の帯広市で開かれた第35回国際農業機械展には国内外の農機メーカーなど114社が出展し、期間中、延べ15万5000人が訪れた。今回は主要メーカーのおもな出展品を紹介する。
北海道クボタは、GPS搭載の「М135GE」を展示。このトラクターは直線に入ると自動操舵に切り替えることができる。畦での旋回はオペレーターが行うが、旋回後は再び自動操舵に切り替えられる。
本州向けの無人運転田植え機「NW8SA-PF-A」は、ほ場を2周してマップを作成し、その後は自動で移植をする。全面植えが可能だ。
そのほか稲・麦の収穫を自動で行う業界初の自動運転アシスト機能付きコンバイン「アグリロボコンバイン」も出展。自動運転アシスト前の周囲刈りで直進キープ、らく直キープを使用することができ自動運転領域が拡大した。無人型自動運転トラクタ「アグリロボトラクタ」は作業精度と生産性向上、不慣れなオペレーターのサポートに貢献する。
ヰセキ北海道は2020年に創立60周年を迎えた。ロボットトラクターとともに展示されていたのがロボット田植え機(有人監視型)PRJ8DR。衛星利用測位システム(GNSS)で水田のかたちを把握し、使用者の監視下でリモコン操作で無人作業ができる。植え付けと同時にほ場形の取得を行うので、空走りが不要だ。
6月に発売されたトラクター「BFREX」は、約10年ぶりのフルモデルチェンジ。トランスミッションを新造し有段変速だったものを無段変速にしスムーズな加速が可能となり、乗り心地がいい。
また、ヰセキ史上最大の305馬力を誇るトラクタ「BIG‐T T8S」も展示。新しい4柱フレーム構造のキャビンでエンジンとの間に隙間も設け、視認性を良くし、かつエンジンの音や熱を伝えない静粛性に優れた構造にした。ISОBUS対応など、より快適で使いやすくなっている。長時間作業の疲労軽減につながる。そのほか自走式スプレーヤ「Pantera4504」なども展示。
ヤンマーアグリジャパンは同社最大となる130馬力トラクターのYTXプロトタイプや、114馬力の無人ロボットトラクター、開発中の電動トラクターなどを展示した。
無人ロボットトラクターは「スマートパイロット」として今後発売予定でGPSを使用しタブレットで動かすことができる。
そのほか「YT5114R」は、自動でまっすぐ作業ができる直進アシストトラクター、作業経路の作成からほ場内作業を自動で行うオートトラクター、無人作業を実現するロボットトラクターをラインアップしたモデルで誰でも熟練者並みの精度で作業ができる。次世代に農業をつなぐトラクターとして出展。
真空播種機や小豆を刈り取るロールクロップ式ヘッダー、農業女子をサポートするヤンマーアグリガールズのコーナーも設置された。また、世界で実績を誇るジョンディアから自動操舵を標準装備したトラクターも出展された。
日農機(株)は、創業以来、オリジナリティあふれる農業機械を提供してきた。今回の目玉の一つは、ビートハーベスター「680 TURBO ピタROWくん」。一戸当たりの経営規模が大きくなっているなか、秋口は天気が長続きせず、雨が降るとほ場がなかなか乾かないという問題もあるなか、効率よく作業できるように自動畔合わせ機構「ARОT」と自動操舵機構「ASCS」により、ビートの高速収穫作業を実現した。
また、豊作の年にはビートが例年より大きく成長するが、そのために収穫時に機械での詰まりを生じることもあった。大きく成長したビートでトラブルなく収穫できるようロータリーバケットのサイズを大型化するとともに、機械のトラブルをブザーで知らせる機能も付けた。
カルチベーター「みらくる 草刈るチmid.」は、一度に8畔(畦間は9)の中耕、除草ができるほか、培土機能も持つ。作付けは既存の4畦規格で行うが、十勝では急速に普及したGPSを利用しているため、植え付け位置の精度が向上した。そのため8畦の中耕・除草機でも問題なく使用することができるようになった。4畦の2倍を1度に処理できるため作業能率が飛躍的に向上する。
創立115年の東洋農機は自動制御など先端技術を取り入れたスマート農業に対応した製品を展示した。
けん引スプレーヤ「TYS‐t6HFP」は、新型の3つ折りブームを搭載。道路走行時の街路樹や、倉庫への出入りでも楽にハンドリングができる。6000Lの大容量で13セクションコントロールで散布する。
オフセットポテトハーベスタ「TОP1eCVWHV」は加工食用バレイショの収穫機。コンベヤの改良や回転数を最適化することで作業能率や作業性能が向上した。アタッチメントとして自動畦合わせ、自動レベリング、自動貯留の機能を装備できるようになった。バレイショ50俵が入る。選別コンベヤーも作業しやすいように広くした。また、人工知能を使いカメラでバレイショと石、土塊を認識、選別する技術も展示されていた。
そのほか衛星を利用してほ場のマップを作成しほ場ごとに施肥を設計して散布するブロードキャスタ「TWBN120」、光センサを利用し生育状況に合わせた高さで散布する自動ブームレベリング技術も展示された。
エム・エス・ケー農業機械は、МF5S、МF6S、МF7S、МF8Sの全シリーズをフルモデルチェンジしたトラクタを出展した。欧州におけるオフロードディーゼル排ガス規制をクリアし、燃焼効率がよくクリーンな排気のエンジンは性能向上と経済性の向上を両立する。
ボンネットが前に向かって下がっているのが特徴で視界性が良好。また、6Sは大型特殊を取得する予定で速度50kmを出せる仕様も発表した。エンジンは4気筒ながら最高200馬力を実現した。7Sと新型の8Sは6気筒の機種。305馬力までの規格をそろえている。
デザインは四角張ったレトロ調。視界が広く、キャビンにはデジタルモニターを備える。
そのほかオフセットポテトハーベスタも出展した。遠隔操作できる装備も付き、今回初めて輸入。今シーズンはほ場で実演をしていく予定だという。また、自動走行するロボットも展示。人の姿をキャッチするセンサーが付いており、果樹園などで収穫物を運搬させることも可能だ。
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