【年頭あいさつ 2024】菱沼義久 一般社団法人日本農業機械化協会 会長2024年1月3日
新年あけましておめでとうございます。
2024年もJAcom農業協同組合新聞をよろしくお願い申し上げます。
JAcomでは、元日から3日まで、農林水産大臣をはじめJAグループ全国連、農業関連団体のトップなどによる年頭のあいさつを掲載しています。
一般社団法人
日本農業機械化協会
菱沼義久 会長
新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。昨年は、コロナ禍の収束による社会経済活動の正常化が期待されましたが、出口が見えないロシアのウクライナ侵攻に加え、秋以降の中東情勢の不安定化など国家や地域間の対立が拡大・頻発化し、世界経済の不確実化をもたらしています。また、依然続く円安やエネルギー供給の懸念などによる資材・燃料価格の高騰・高止まりに加え、昨年は記録的な猛暑が長期にわたり続き、一等米比率が過去最低となるなど、農業経営は一段と厳しい中にあります。こうした状況が一刻も早く改善され、安心して農業経営に取り組めるよう祈るばかりです。
さて、昨年は「食料・農業・農村基本法」改正への議論が本格化しました。この中では、農業者の減少という現実を踏まえた「農業法人を中心とした大規模な農業経営の増加」や「スマート農業・農業DXによる生産性向上」と、これらを実現するための技術開発や農業支援サービス事業体の育成の重要性が指摘されました。また「みどりの食料システム法」に基づく環境負荷低減の取り組みの重要性も同様に位置づけられました。これらの取り組みを進めていくためには、スマート農業技術を支えるロボット農機は重要な役割を果たします。今年は、従来の技術実証的なロボット農機の利活用から大きく踏み出し、より多くの地域において広範な面積での利活用に展開していく絶好のタイミングと考えます。
ロボットトラクターなどのスマート農機の利活用を推進するに当たり、重要なポイントとなるのが安全性の確保です。このため当協会は、研究機関や関係メーカーなどの参集を得て、安全方策策定のための検討を行っています。検討結果については農林水産省に提言され、農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドラインに反映されています。
一方、従来ベースの農作業安全対策も非常に重要です。農作業中の死亡事故件数は若干減少傾向に転じているものの、就業人口当たり死者数は他産業に比べ依然としてかなり高く、安全対策の強化が喫緊の課題となっており、危機感をもって対策に当たる必要があります。このため、当協会は、「農作業安全指導者向け研修」の企画・実施(R3)、農林水産省が実施する同研修へ参画(R4・R5)し、全国で数千人規模の農作業安全指導者を養成しました。彼らを核として、地域の農業者の安全意識の向上が図られることが期待されます。また、トラクターのシートベルト装着の重要性をPRするための広報啓発や声掛け活動への取り組みを通じ、一層の安全確保を図っています。
さらに、生産性向上・コストの低減のためには、特に中古農業機械査定士制度の設置・運営に尽力しています。全国どこででも実機を前に、スマートフォンやタブレットに機械の型式や年式などを入力すれば査定価格が算出できる仕組みの運用などにより、健全な中古市場育成を目指しています。
末筆となりましたが、本年も農業機械化・施設化に尽力される皆様のご発展とご健勝を心よりお祈り申し上げます。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(127)-改正食料・農業・農村基本法(13)-2025年2月1日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(44)【防除学習帖】第283回2025年2月1日
-
農薬の正しい使い方(17)【今さら聞けない営農情報】第283回2025年2月1日
-
2024年の農業就業者は180万人 前年比7万人減 総務省・労働力調査2025年1月31日
-
備蓄米の買い戻し条件付き売り渡しを諮問 農水省が食糧部会に2025年1月31日
-
殺処分対象911万羽 鳥インフルエンザ 国内48例目 愛知県で確認2025年1月31日
-
"人財"育てチームで改革(1) JAみえきた組合長 生川秀治氏【未来視座 JAトップインタビュー】2025年1月31日
-
"人財"育てチームで改革(2) JAみえきた組合長 生川秀治氏【未来視座 JAトップインタビュー】2025年1月31日
-
【世界の食料・協同組合は今】EU環境戦略の後退と戦略的対話 農中総研・平澤明彦氏2025年1月31日
-
【クローズアップ 畜産・酪農対策】生乳需給参加が事業要件 「欠陥」改正畜安法是正へ農水省方針2025年1月31日
-
(420)「いまトラ」をどう見るか【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年1月31日
-
GI取得「かづの牛」など農産物・加工品6産品 農水省2025年1月31日
-
いちご観光農園「熊本あしきた いちごの森」オープン 「ゆうべに」「恋みのり」食べ放題 JAあしきた2025年1月31日
-
シャキッと甘く 高級かんきつ「甘平」出荷始まる JAえひめ中央2025年1月31日
-
全国の魅力的な農畜産物・加工品が勢ぞろい JA全農が商談会2025年1月31日
-
岩手県から至高の牛肉を「いわて牛・いわちくフェア」2月1日から開催 JA全農2025年1月31日
-
「国産米粉メニューフェア」銀座みのりカフェ・みのる食堂で開催 JA全農2025年1月31日
-
「はこだて和牛」など味わえる「JA新はこだてフェア」2月1日から開催 JA全農2025年1月31日
-
「ニッポンの食」で応援 全日本卓球選手権大会(ダブルスの部)に特別協賛 JA全農2025年1月31日
-
蔵出しミカンの出荷始まる 食味良く大玉傾向 JAふくおか八女2025年1月31日