発売50周年「青首ダイコン」の代名詞『耐病総太り』の軌跡 タキイ種苗2024年12月11日
タキイ種苗が販売する「ダイコンタキイ交配『耐病総太り』」が、1974年の発売開始から2024年で50周年を迎えた。「青首ダイコン」の代名詞となった『耐病総太り』は、「おいしい」ダイコンのイメージ定着につながっている。
1974年の発売以来、50年間愛されているダイコン『耐病総太り』
米の『コシヒカリ』、ジャガイモの『男爵』など、日本人の食卓には欠かせない食材として長年愛され続ける品種があるが、おでんの具や漬物に欠かせないダイコンで、長く愛されている品種が1974年に発売された『耐病総太り』。
新発表記事(1974年)タキイ種苗発行『園芸新知識』より
1970年代前半までは、関東方面では練馬ダイコン、三浦ダイコンなど、首部が白い「白首ダイコン」が作りやすさの面から市場を独占。一方で、当時の「青首ダイコン」の主力だった宮重系ダイコンは、品質の良さと土質を選ばない栽培面の特性から、特に総太り型が中京や関西市場で根強い人気があったが、病気に弱く、ス入りが問題視され、市場は限定的だった。
また、当時のダイコン産地では、戦後の食糧増産や高度経済成長に伴う周年供給の動きが高まり、生産地ではその対応に苦慮。白首ダイコンで出荷を早めようとすれば病害が問題となり、青首ダイコンは地場消費中心で遠距離出荷は白首品種による対応がほとんどだった。
そんな中、タキイ種苗は、1960年代から耐病性、栽培性、食味を兼ね備えた「青首ダイコン」の品種を開発。50年前の新発表記事には、「宮重ダイコンの検討を始めていたが、まずその必要性が高く、かつ急を要する"総太り系"を手始めとして、耐病性を重点に早どり安定を図り、しかも宮重ダイコン本来の煮食としての肉質を大切にした新品種を目標に」と記されている。
その後、タキイ種苗は宮重ダイコンより一段と高い耐病性を持ち、形が早く整うという特長を備えた『耐病総太り』を、1974年に発表。周年栽培への適応性もあったことから1980年代半ばにかけて日本中で"青首ダイコンブーム"を巻き起こし、生産者の間では「青首ダイコン」=『耐病総太り』、消費者の間では「青首ダイコン」=「おいしいダイコン」のイメージを定着させた。
『耐病総太り』は漬け物やおでんなど幅広い用途に向く
ダイコン『耐病総太り』という正式名は、広く知られることはなかったが、消費者からは「青首ダイコン」として親しまれ、「おいしさ」と「作りやすさ」に「品質のよさ」が備わり、今もなお売れ続けている。
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