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「鮮度が大事」カット野菜需要増2017年2月8日

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【現地ルポ:サラダクラブ五霞工場】

 野菜需要のうち加工・業務用の割合は年々増加し、現在は家計消費用より多い全体の約6割を占める。JAや生産者でも、加工・業務用へ野菜を出荷したり、しようと考えたりする人が少なくない。今回、加工・業務用のなかでも”洗わず食べられるパッケージサラダ”で国内最大の購買金額シェアを誇る(株)サラダクラブの五霞工場(茨城県)を取材した。

 機械で野菜をカットすることもあるが、人がカットすることも(株)サラダクラブはキユーピー(株)と三菱商事(株)の出資を得て1999年に設立された。年々売上高は上昇し、2015年の売上高は247億円。
 パッケージサラダを中心に販売を行っており、消費者に安全でおいしいパッケージサラダを届けている。
 パッケージサラダをつくる工場は全国で16か所(うち自社工場7か所)。工場近郊の野菜を使うことを推奨しており、鮮度の保持と輸送でのCO2排出削減に努めている。
 16の工場でおよそ1日70~80万パックのパッケージサラダを生産。商品で最も使用量が多いキャベツは、1日に約68t(およそ5万4400個)を製品化する。
 工場によって異なるが、取材した五霞工場はほぼ24時間体制で稼働し、消費者に鮮度にこだわったパッケージサラダを届けている。

◆米国生まれのパッケージサラダ

パッケージのライン出荷前 パッケージサラダの歴史は1970年後半に、米国で生食用カット野菜が開発されたことに始まる。
 米国では80年代に「マクガバン・レポート」(肉食中心の生活だと死に至る病気にかかりやすいと記したレポート)を踏まえた栄養政策の推進で野菜の摂取増を奨励したこともあり、野菜の消費量が増加。90年代後半には生食用カット野菜が主流となった。2015年に、米国の市場規模は7814億円、ヨーロッパでは2942億円となっている(サラダクラブ推計)。
 米国のカット野菜の市場拡大を目の当たりにしたキユーピー(株)と三菱商事(株)は、日本における女性の社会進出など時代の変化をみて、パッケージサラダの需要拡大に確信を抱き、サラダクラブを設立。パッケージサラダの製造を開始する。
 2015年、サラダクラブは世界7位のパッケージサラダメーカーとなった。日本国内のパッケージサラダ市場は1236億円で、そのうちの約25%が同社のシェアだ(サラダクラブ推計)。

◆トレーサビリティにこだわり

各野菜ごとに産地をパッケージに印刷 サラダクラブは消費者のサラダへのニーズを毎年テーマを決めて調査し、「サラダ白書」として発表している。
 同社商品部の日置拡也氏は、消費者の目線に立ち機能性を重視した新しい野菜(ケールなど)や種苗会社との交流から新品種を使ったサラダを企画することもあると話す。「新しい野菜の食べ方がわからない」という消費者にサラダとして提供することで親しみが湧き青果物の購入に至ることもあり、他業界からの期待も高い。
 野菜の仕入れは、生産者とサラダクラブの「顔の見える関係」を重要視し、信頼関係を構築できている産地との契約取引が基本。トレーサビリティを確保するため、使用予定を上回る数量の野菜を産地と契約し、需給調整を行う機能は、三菱商事(株)の子会社であるMCプロデュース(株)(以下、MCP)が担っている。
 野菜の品質は、サラダクラブとMCPで指標を設けている他、収穫する前に現地に赴くこともある。入荷した原料は毎回チェックしており、ニーズが合致した生産者には、来年の生産を増やしてほしいと相談することもあるという。
 なお、パプリカなど国内で安定的に確保しにくい野菜の輸入についても、トレーサビリティは確保しているという。

◆   ◇

 昨年の台風の時には契約先も被害を受け、仕入れが確保できないほどの打撃を受けた。また、青果物が高騰したことで、商品価格が変わらないパッケージサラダが消費者に注目され、需要が大幅に伸びた。
 日置氏は、「契約産地が優先的にサラダクラブへ出荷してくれた。需要が大幅に伸び契約数量ではまかないきれない部分は、サラダクラブの仕入れに理解を示し、普段からコミュニケーションが取れている市場関係者、産地の協力で、トレーサビリティの確保できる野菜を集めてくれた」と話す。
 パッケージサラダの需要は伸び続けている。これは、台風などで野菜が高騰し、代替でパッケージサラダを購入した消費者が、野菜価格が平均に戻った後も便利さでリピーターになることも一因だ。 

◆決め手は鮮度維持

入庫票が貼られた原料の段ボールコンテナ化もパッケージサラダ

 取材した五霞工場は290人の従業員が在籍(2017年1月)。勤務する男女比はほぼ均一で、平均年齢は48歳。
 1日に55アイテム、12万パックを生産。関東・信越・東北エリアへ出荷している。

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 原料の野菜は生産地での収穫後から工場受け入れ、出荷するまで低温管理(コールドチェーン)で管理している。
 工場に受け入れた野菜は傷みや温度検査をし、入庫表を付け、冷蔵庫で保管する。トレーサビリティ可能な体制を確保している。さらに近年は搬入する野菜のコンテナ化を試験的に導入。段ボールを減らし、コスト面や環境面への配慮を進めている。
異物を水流で押し流す 野菜をカットする場面では、異物除去を徹底しており、傷みや異物を目視で確認。さらに水流で異物を流す機械も導入している。特にサニーレタスなど葉が重なって異物が入りやすい品種は、2回この機械で水洗いする。その後、洗浄液で殺菌し、洗浄する。
 さらにセキュリティ管理も重視し、工場内にカメラを設置。人為的な異物混入にも留意している。
 五霞工場の横島文久工場長は、「鮮度と品質、異物のない安全な商品を重視している」と語る。
 工場内で働く従業員は、ハツラツとしていた。工場では多くの従業員が働き、様々な作業を担当している。コミュニケーションがおろそかになるとトラブルや事故にもつながるため、注意しているという。
 月に1度、部署ごとにミーティングを開くことが、品質管理の面でも重要。横島工場長は「野菜は毎日違う顔をみせる。機械は一定に処理してくれるが、目視確認などは人の感性で変わってしまうので、情報を共有している」と話す。
 生産される野菜への希望を尋ねると「加工適性のよいものだと嬉しいが、最終的には鮮度を重要視すると思う」。生産、加工、小売へと流通し、食卓に並ぶまでの間、シャキシャキと美味しい野菜を提供することが大切だ。

(写真)機械で野菜をカットすることもあるが、人がカットすることも、パッケージのライン出荷前、各野菜ごとに産地をパッケージに印刷、入庫票が貼られた原料の段ボール、コンテナ化も、パッケージサラダ、異物を水流で押し流す

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