懸念は原料のブドウ不足 全国ワインメーカー調査 2019年11月20日
東京商工リサーチは、各地の主要ワインメーカーを対象に行ったアンケートの結果を、11月19日に発表した。
調査は、10月21日~11月5日に全国の主なワインメーカー174社を対象に実施。アンケートの結果、業界や種々の経営課題が浮かび上がった。
国内の主要なワインメーカーの約7割(有効回答70社中48社、構成比68.5%)が、ワイン原料の醸造用ブドウ不足を最大の懸念材料に挙げた。背景には、後継者不足などで醸造用ブドウ生産に携わる農家が減っているという状況がある。近年はシャインマスカットなど付加価値の高い食用高級ブドウに移行する農家もみられ、原料事情は今後も厳しさを増す。
主要ワインメーカーの2019年度の出荷量については、約4割(同30社、同42.8%)のメーカーが、増産意欲はあるが、国内での醸造用ブドウの調達に苦慮していることを理由に「横ばい」を見込む。
国産ワインは、2018年10月から「果実酒等の製法品質表示基準」(ラベル産地表記、ワイン法)が厳格化された。「ご当地ワイン」のブランド価値の向上が期待されているが、一部では地場原料の確保が困難で、原料価格の高騰や原料不足から"ご当地ワイン"を減産せざるを得ないメーカーもすでに出てきている。ワイン法の適用により、消費者側は表示ラベルで内容と産地が明確に判断できる一方、これまで市場で出回っていたなじみの地元ワインが入手しにくくなる可能性も出てくるという。
今後、重点を置く経営課題については70社のうち、27社(構成比38.5%)が「国内販路の拡大・維持」を挙げた。国内のワイン消費の伸び悩みに加え、新興ワイナリーの登場や従業員10人以下の小規模メーカーが39社(構成比55.7%)と5割を超えており、新規の販路構築に人的資源の投入が難しくなっているため。
一方、大手メーカーは、自社でワインに関連するイベントなどに注力し、新規愛飲者を掘り起こし、インターネットコンテンツの充実を図っている。新興の小規模メーカーでも自社サイトを通じ、ブランド戦略の構築を急いでおり、各社とも若年層や女性に対するPR強化を図っていく。
「設備投資・増強(量産化を含める)」は24社(構成比34.3%)で、2018年調査の同14.9%から約15ポイントアップした。
また、2018年12月に発効されたTPP、2019年2月に発効された日欧EPAの影響について、6割以上が「なかった」と回答。日欧EPAでは、ワインの関税が即時撤廃されたため、発効前に海外の競合品が流入することを懸念する声もあったが、発効から半年以上が経過し、「良くない影響があった」は、回答した70社のうち9社(構成比12.9%)で1割強にとどまった。
重要な記事
最新の記事
-
埼玉県内で鳥インフルエンザ 国内11例目2024年11月25日
-
【JA部門】全農会長賞 JA山口県 「JAならでは」の提案活動で担い手満足度向上 TAC・出向く活動パワーアップ大会20242024年11月25日
-
5年ぶりの収穫祭 家族連れでにぎわう 日本農業実践学園2024年11月25日
-
鳥インフル 米イリノイ州、ハワイ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月25日
-
「JA集出荷システム」と生産者向け栽培管理アプリ 「AGRIHUB」をシステムで連携 農業デジタルプラットフォームの構築目指す JA全農2024年11月25日
-
卓球世界ユース選手権 日本代表を「ニッポンの食」でサポート JA全農2024年11月25日
-
佐賀県産「和牛とお米のフェア」みのる食堂三越銀座店で開催 JA全農2024年11月25日
-
JA全農×農林中金「酪農・和牛の魅力発信にっぽん応援マルシェ」新宿ルミネで開催2024年11月25日
-
EXILE NESMITH監修 くまもと黒毛和牛『和王』の特別メニュー提供 JA全農2024年11月25日
-
「第1回全国冷凍野菜アワード」最高金賞のJAめむろなど表彰2024年11月25日
-
「熊本県産和牛とお米のフェア」大阪の直営3店舗で12月1日から開催 JA全農2024年11月25日
-
都市農業・農地の現状と課題 練馬の野菜農家を学生が現地調査 成蹊大学2024年11月25日
-
食育イベント「つながる~Farm to Table~」に協賛 JQA2024年11月25日
-
薩州開拓農協と協業 畜産ICT活用で経営の可視化・営農指導の高度化へ デザミス2024年11月25日
-
「ノウフクの日」制定記念イベント 東京・渋谷で開催 日本農福連携協会2024年11月25日
-
省スペースで「豆苗」再生栽培「突っ張り棒」とコラボ商品発売 村上農園2024年11月25日
-
在ベトナム農業資材販売会社へ出資 住商アグロインターナショナル2024年11月25日
-
楽粒の省力検証 水稲除草剤の散布時間の比較 最大83%の時間削減も 北興化学工業2024年11月25日
-
【人事異動】北興化学工業株式会社(12月1日付)2024年11月25日
-
幼稚園・保育園など996施設に「よみきかせ絵本」寄贈 コープみらい2024年11月25日