加工りんごが1億パック突破 高密植栽培や6次産業化で儲かる農業へ アップルファクトリージャパン2023年11月22日
りんごを加工販売する株式会社アップルファクトリージャパン(青森県平川市)は、青森のりんごの栽培面積の減少や生産力の低迷が問題になる中、カットりんごの累計販売個数が1億パックを突破した。
販売好調なカットリンゴ
りんごの収穫量で日本一を誇る青森県だが、りんご産業は多くの課題を抱えている。青森県のりんご栽培面積は、1990年の約2万4000ヘクタールから、2020年には2万ヘクタールを切り、この30年で2割ほど減った。背景には農家の高齢化や新しい担い手不足があり、青森県の基幹的農業従事者の年齢構成をみると70歳以上の層がピークになっている。
りんご栽培は整枝・せん定、肥料施用、薬剤散布、草刈り、授粉、摘果(実すぐり)、袋かけ、袋はぎ、着色手入れ(葉つみ、玉まわし)収穫と手間がかかる上、肥料や農薬の価格も高騰していることから農家の負担が大きく、個人で運営している高齢者には続けるのが難しい。
同社が販売するカットりんごは、有名牛丼チェーン店、スーパー、コンビニ、自販機など全国に販路拡大することで売上は10年前と比べると約3倍、累計販売個数は1億パックを突破した。カットりんごは規格外や、色付きは良くないが味は美味しい高品質なりんごを使用。地元農家からは、従来のジュース加工用よりも高値でりんごが売れると喜ばれている。
また、原料の安定確保のため同社が設立したりんご農園では、4年前から高密植栽培を開始。高密植栽培は樹間が1メートルで列間が4メートルで、10ヘクタールあたり250本という植栽本数で、結実までの年数が短く高収量で美味しく実るという特徴がある。剪定も比較的楽に行えるため加工用りんごの栽培に適した栽培方法といえる。
原料の安定確保のため設立したりんご農園
同社は原料のりんご生産から加工販売まで手掛けることで、そのビジネスモデルは2022年「全国果樹技術・経営コンクール」において農林水産大臣賞を受賞した。
同社は若手農業従事者の育成にも力を入れており、少しでも仕事に携わることでりんご生産に興味をもつ若者が増えるよう、弘前市が運営する1日農業バイト「1dayworkアプリ」で1日単位でのアルバイトの受け入れを開始。給料をもらいながら高密植栽培という新しい栽培方法や経営の考え方まで学ぶことができる。
同社の大湯知己社長は「りんご産業は高齢化が進み難しい局面を迎えているが、個人では難しいことも、法人化や組合を作るなどすれば様々な取り組みができる。若い人たちには儲かる農業にチャレンジしてもらいたい。そのような取り組みが青森県全体の活性化に繋がると信じている」と話している。
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