「端境期の高騰」キャベツも 猛暑や台風、生育に影響 産地リレーつながらず2024年11月18日
農水省の食品価格動向調査で、キャベツが平年比177%の高値をつけた。群馬産が終わり、後続の愛知産、千葉産が出始める端境期とはいえ、なぜこんなに上がるのか。
去年より8割も高く
農水省の食品価格動向調査(野菜)は、各都道府県の量販店10店舗(全国470店舗)を訪問調査したもので、価格は小売価格の単純平均(消費税込み)。平年とは2019~23年の当該月の5ヵ年平均値である。11月5~6日の調査結果によると、キャベツは1キロ311円で、前週比123%、平年比177%の高値だった。
高温、台風、病害虫
たしかに11月は、群馬産が終わって愛知産、千葉産などが始まる端境期にあたる。とはいえ、ここまで価格が上がったのは、産地リレーが途切れたためだ。
すでに出荷を終えたJA嬬恋(群馬県)は、「春先は寒さの影響があったが7月から潤沢に出始め、8月は雨で腐った。出荷量は例年並みだったが、作柄は良くなかった」(営農部)という。
後続産地にあたるJA豊橋(愛知県)は、「夏場の高温、その後の台風、長雨で生育が2週間ほど遅れたのと、病害虫によるロスが多く玉も小ぶりで箱数が伸びていない」(営農販売課)。同じくJAちばみどり(千葉県)も、「いま出荷している物は雨と暑さ、病気で出来が良くない」(営農部)と話す。
低価格の象徴例として紹介
足元では高騰しているものの、キャベツも米と似て、再生産コストを賄えない低価格に泣いてきた。
10月24日の農水省「適正な価格形成に関する協議会」では、農水省が「2023年のキャベツの生産コストは21年に比べ14%上がったが売上高は5%減り、生産者の収益は33%落ち込んだ」。全農も、2015年以降ほとんどの年で、キャベツの市況価格より生産費が上回ったという衝撃のデータを示した(「キャベツ収益33%減 適正価格形成を議論 米と野菜で作業部会設置」)。
「このままではやっていけない」
嬬恋、銚子、豊橋という産地を管内に擁する各JAの担当者は、いずれも、例年のキャベツの価格では続けていくことが難しく、価格適正化が急務だと述べた。JAちばみどり営農部の担当者は、「この3、4年、販売会議で価格適正化を市場に投げかけてきた。生産者はこのままではやっていけない」と訴えた。
気候変動を背景とする猛暑や災害、病害虫と価格転嫁の困難が産地を苦しめ、それが端境期の品薄、価格高騰として消費者にはね返ってくる。キャベツがいつでも食べられるようにするためにも、「適正な価格形成」と温暖化対策は避けて通れない。
重要な記事
最新の記事
-
集落営農「くまけん」逝く 農協協会副会長・熊谷健一氏を偲んで2025年10月21日
-
【サステナ防除のすすめ】水稲除草剤 草種、生態を見極め防除を(1)2025年10月21日
-
【サステナ防除のすすめ】水稲除草剤 草種、生態を見極め防除を(2)2025年10月21日
-
【中酪ナチュラルチーズコンテスト】出場過去最多、最優秀に滋賀・山田牧場2025年10月21日
-
11月29日はノウフクの日「もっともっとノウフク2025」全国で農福連携イベント開催 農水省2025年10月21日
-
東京と大阪で"多収米"セミナー&交流会「業務用米推進プロジェクト」 グレイン・エス・ピー2025年10月21日
-
福井のお米「いちほまれ」など約80商品 11月末まで送料負担なし JAタウン2025年10月21日
-
上品な香りの福島県産シャインマスカット 100箱限定で販売 JAタウン2025年10月21日
-
「土のあるところ」都市農業シンポジウム 府中市で開催 JAマインズ2025年10月21日
-
コンセプト農機、コンセプトフォイリングセイルボートが「Red Dot Design Award 2025」を受賞 ヤンマー2025年10月21日
-
地域と未来をさつまいもでつなぐフェス「imo mamo FES 2025」福岡で開催2025年10月21日
-
茨城大学、HYKと産学連携 干し芋残渣で「米粉のまどれーぬ」共同開発 クラダシ2025年10月21日
-
まるまるひがしにほん 福井県「まるごと!敦賀若狭フェア」開催 さいたま市2025年10月21日
-
北〜東日本は暖冬傾向 西日本は平年並の寒さ「秋冬の小売需要傾向」ウェザーニューズ2025年10月21日
-
平田牧場の豚肉に丹精国鶏を加え肉感アップ 冷凍餃子がリニューアル 生活クラブ2025年10月21日
-
誰もが「つながり」持てる地域へ 新潟市でひきこもり理解広める全国キャラバン実施2025年10月21日
-
第三回「未来エッセイ2101」受賞ノミネート作品13件を選出 アグリフューチャージャパン2025年10月21日
-
千葉県香取市で農業ボランティア「第2回 香取市援農Day」開催2025年10月21日
-
食と農業を担う起業家を発掘「FOOD&AGRI FOODTECH Youth Summit 2025」初開催2025年10月21日
-
市場の食材グルメを堪能「横浜市場まつり2025」開催 横浜市2025年10月21日