農業協同組合新聞 JACOM
   
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2003年
2001/2002年

山田俊男氏

2004.12.28
山田俊男
JA全中専務 

 WTO農業交渉、「基本計画」見直し作業、JA経済事業改革の実践など今年も農政、JAグループにとって多くの課題があった。いずれも来年に引き継がれる問題でJAグループの運動、役割が問われる重要テーマである。2004年最終号ではJA全中の山田俊男専務に今年の農政課題を振り返り来年への展望を語ってもらった。
 山田専務は基本計画の見直し議論ではアジア・モンスーンの水田農業の特徴である農地の零細・分散所有をどう解決し農地の利用集積を図るが最大の課題だと指摘。ただ、企画部会の議論ではこうした共通認識が得られず課題を積み残したとした。また、JAの取り組みの柱として「担い手づくりを通じた農業構造の改革」と「組合員・地域住民の多様な期待に応えた地域貢献」が重要と強調。その成果がWTO交渉などでJAグループの主張が反映された国民合意形成につながると指摘している。聞き手は梶井功東京農工大学名誉教授。 (記事参照

大石隆法氏

2004.12.24
大石隆法
イズミヤ(株)食品商品部農産部長

 関西を中心に88店舗のスーパーマーケットを展開する。経営理念は「ええもん安い」だ。大石部長は「100円と150円のリンゴ。価格だけくらべれば100円のほうが安い。しかし、150円のリンゴは大きくて蜜も入っていて食べてうまい。そこで、お客さんに150円のほうが「値打ちだな」と満足してまた食べたいと思ってもらえた。これが私たちの追求する、ええもん安い、です」と解説する。
 JA全農大阪青果センターと連携した安全・安心、味、鮮度を重視した農産物を提供するため産地への提案型商品開発に力を入れている。川上とのつながりを密接にしてきたことで、「農産物は価格も大切だが価格以上のものがあるという意識が店頭に立つ販売担当者に広がっている」と語る。『シリーズ・全農マークは信頼の証 第4回』に登場してもらった。

卜部貞男氏

2004.12.21
卜部貞男
日本農薬(株)専務取締役

 「現在、社名に農薬を残している会社は2社だけであり、他の1社は来年7月にも社名変更されるとお聞きしておりますので、来夏以降は当社が唯一、社名に農薬を冠した会社ということになります。この意味からも、農薬会社としての責任と誇りをもち、農薬をコア事業とする中で、新しい化合物を継続的に創出させていきたい」と語る。21日の第105回定時株主総会後の取締役会で専務取締役に昇任した。1943(昭和18)年9月7日、京都市生まれ。61歳。京都府立大学農学部では、疫病の権威である桂g一教授に学んだ。フィトフィトラカプシシ(疫病菌)を懐かしげに語る。昭和43年入社で、この年、同社の売上は100億円を突破している。「私どもの仕事は農業資材の開発・製造・販売であり、これらの事業を通じ安全・安心な食の確保と緑の保全に貢献していきたい」という。今後の開発は、「安全、効果、経済性が大切」とも。「自分にないものを持っている人を尊敬する」信条が、氏の優しさを深めている。

アラン・B・ブーツ氏

2004.12.17
アラン・B・ブーツ
ファイザー(株)社長

 「私どもは、今後とも革新的な製品の開発や新薬の市場への投入をはじめ、業界の発展のためにいっそう尽くしていきます」。12月2日、都内で開いた記者懇談会で、「医薬、動物用薬品への特化」を改めて強調した。氏は世界最大の製薬企業であるファイザーの3つの日本法人の代表をつとめる。ファイザーは、150年以上にわたる長い歴史をもち、古くはペニシリンの量産に世界で初めて成功した企業としてよく知られている。懇談会には、100名を超える記者が参加したが、氏の信条とする「人と人との付き合いでもっとも重要な笑顔」を絶えず崩すことがなかった。1947年、オーストラリア生まれの57歳。ニューイングランド大学で経済学士を所得。趣味は、ゴルフ、釣り、乗馬、そして子供と遊ぶことだという。夫人がイタリア人であることから、好きな食べ物はイタリアンに集中するというが、「ナマコ」類(?)を除き日本食も大好きだという。外資系トップには珍しくチョットおちゃめなところがあるが、真摯な態度が印象に残った。

小野 正氏

2004.12.14
小野 正
JA全農大消費地販売推進部長

 経済事業改革が進むなかで、生産者がもっとも期待するのは「販売力の強化」だといえる。そうした期待に応えて品目を横断し総合的に直販事業を展開している全農大消費地販売推進部の果たす役割はますます大きくなっている。そうした立場から、白石正彦東京農大教授のインタビューに答えて、量販店・生協を含めたマーケットの動向や全農の機能を活かした取引きの拡大。「消費者に もっと近く。」を自ら実践する「食と農の祭典」や12月10日にオープンした直営店舗「JA全農のお店」吉祥寺などについて語るとともに、これからは「市場外流通がどんどん拡大する。そういうなかで、全農も直販事業をますます強化していかないといけないと思う」と今後の抱負を語った(詳細は、特集「全農販推部がめざすもの」

福永 信一氏

2004.12.10
福永 信一
Odakyu OX(小田急商事株式会社)ストア営業本部青果グループリーダー

 「Foods Entertainment おいしいおもてなし」をキャッチフレーズに、変化するライフスタイルや多様化する価値観に応えた新たな都市型スーパーのあるべき姿をめざして改革を進めるOdakyu OXは、他の食品スーパーに比べて青果物の売上高比率が高い。それは、JAS有機や特別栽培野菜を積極的に販売することで「ストア・ロイヤリティを高め、お客様の信頼が高まっている」からだと語る。今後、品揃えを充実していくうえで「他とは比べようもないスケールの全国的なネットワークをもつ」全農へ期待するとも。(詳細はシリーズ「全農マークは信頼の証」第3回

新井昌一氏

2004.12.8
新井昌一 JA共済連会長

 本紙では各界のトップの方々に農業やJAグループへの問題提起をしてもらう「シリーズ/トップインタビュー・農と共生の世紀づくりのために」をスタートさせた。第1回はJA共済連の新井昌一会長。JA共済事業の原点が「村八分にしても二分の付き合い」という農村の習慣にあるとして、共済事業の草創期に相互扶助、人間愛という哲学を先人たちが農村部に根づかせた努力を忘れてはならないと強調。事業規模が大きくなるほど「その精神を濃くするのが私の使命」と語った。
 農業、農村問題では農業の多面的機能について国民全体に理解を広めることが重要で「水や環境は川上の仕事があってこそ守られている。土から受けている恩恵を知らない社会ではあってはならない。農業者にとって将来の展望が拓ける道が必要」などと語った。(記事参照

山本伸司氏

2004.12.2
山本伸司 首都圏コープ事業連合常務理事

 「首都圏コープは、都圏の7都県8生協の事業連合です。食品を中心に、組合員に個別配達するのが特徴です。協同購入システムの欠点は、80年代に入ってから目に付くようになってきました。班の中で熱心な人だけが頑張り、他の人は熱心な人に頼るような風潮が生まれてきたのです。それなら、班というハードルを設けないで、一人でも生協と関われる仕組みが大切だと思ったのです。
 無店舗事業は、ある意味情報産業だと考えています。商品を見ないで注文する組合員へ、どのような情報を提供するか、その内容が問われています。首都圏コープでは、組合員のライフステージ別に3種類の商品案内を出しており、各年代の要求に対応して、具体的な商品を提案して生協離れを食い止めています」と、田代洋一横浜国立大学教授に語った。(記事参照

ジェームズ C.コリンズ, Jr.
2004.11.26
ジェームズ C.コリンズ, Jr. デュポン 農業製品事業プレジデント

 「デュポン ファーム ソリューション(株)を私たちのメンバーの一員として迎えることは大きな喜びです。丸和バイオケミカル(株)との協力関係をさらに強めていくことを光栄に思います」と、このほど都内のホテルで開いた新会社デュポン ファーム ソリューション(株)設立披露パーティ席上で語った。洗練された風貌の中に優しさを垣間見ることができる。新会社は、丸和バイオケミカル(株)の園芸分野での普及販売力とデュポンの有力製品を結びつけ、直販体制を構築したもの。また「私たちの願いは、世界で最もダイナミックなサイエンスカンパニーとなり、世界中の人々の生活をより良く、安全で、健康にする上で欠かせない持続可能なソリューションを創出することです」とも。現在、農業・食料および素材を含めたバイオ関連事業は、デュポンの収益の25%を占めているが、これを今後3年間で30%まで成長させたい考えだ。新規の殺虫剤、除草剤の数年後の発売を予定している。1962年9月5日、米国テキサス州ボーマント市生まれ。42歳。ジョギング、ゴルフ、料理などが趣味。子供は息子2人。親日家のひとりとも見受けられた。

松浦利明氏

2004.11.24
松浦利明 元専修大学教授

 EU農政の変遷と今後の課題について寄稿してもらった。EUでは価格支持政策から直接支払い制度に転換し、さらに受給条件を農場単位とし環境配慮した農法も生産者に求めている。一方で域内の穀物価格を引き下げてきた。ただ、EUの場合はそもそも域内農産物価格と国際価格との開きが少なく、日本とは条件が異なる。わが国の場合はコメの競争相手が低賃金のアジアのコメ生産国であることに違いがあると指摘。ただしEUの直接支払いでも補助金が適切に使用されているかどうかのチェックや支払額の上限設定などの問題がいずれ表面化するとし、支持価格の引き下げと政府の「管理化」の狭間をどう切り拓くのかに注目すべきだと指摘している。 (記事参照

坪井眞一氏

2004.11.18
坪井眞一 バイエル クロップサイエンス(株) リサーチ・フェロー

 「4人のチームは、いま思い起こすとなかなか得難いチームだったと思う。各分野に対する研究者としての能力も大切だけれども、4人それぞれが負けず嫌いで、かつ挑戦的であったことで困難を乗り越えることができ、この成功につながったのではないか」という。新規の化学構造と生物活性を持つクロロニコチニル系殺虫剤「イミダクロプリド」(商品名:アドマイヤー)で、農水省、農林水産技術情報協会が主催する『平成16年度(第5回)民間部門農林水産研究開発功績者表彰』の農林水産大臣賞を塩川絋三、利部伸三、盛家晃一の各氏とともに受賞した。「新規な骨格を持った化合物がほとんどなく閉塞感を覚える」と現在の農薬企業の研究開発を憂うなか、「異業種からの研究テーマの導入に大きな意義がある」と胸を弾ませる。1947(昭和22)年、岡山県生まれ。埼玉大学理工学部生化学科卒。57歳。渓流釣り、園芸が趣味(仕事?)。小公子(ぶどう品種)を育て、ワインづくりにも挑む。この人の瞳の奥には大宇宙があるとの感だ。

上村 勝氏

2004.11.17
上村 勝 JA筑前あさくら組合長

優良農協カントリエレベーター表彰で、同JA平成CEが農林水産大臣賞。その表彰式で「私たちは常に、生産者のみなさまから委託を受けた農産物を誠心誠意心を込めて取り扱いさせていただき、販売にあたっては生産者のみならず消費者の方々にも、いかに喜んでいただけるか。いかに安心して消費していただけるかを考えています。農業・農協を取り巻く環境が一段と厳しいなかで、地域水田農業のなかで、米麦の生産・販売流通の拠点としての役割を共乾施設としてきちんとやっていくような取り組みをしていこうと考えていますが、今日、ここでさらに決意を新たにしました」と謝辞を述べた。(記事参照

田渕直子助教授

2004.11.15
田渕直子 北星学園大学経済学部助教授

 「ボランタリズムと農協」という著書で今年のJA研究賞に輝いた。農協の高齢者福祉は自発的なボランタリズムから出発したが、事業に発展した以上はプロフェッショナリズムが求められる。そこを両立させている栃木県のJAはが野や、また自前でヘルパーを育成してボランタリズムの原点を伝えている北海道のJA当麻の調査事例を挙げた。非営利組織と一般企業の質的差異はボランタリズムの有無によると説く。全中のJA研究表彰・選考委員会は同研究を「農協のあり方論につながる論点を提起している」などと評価。一方、同研究は、農協などの生産者協同組合はNPOよりも公益性が低いとする経産省審議会の想定を批判している。北海道大学・院農学研究科博士課程単位取得。

多田 正世氏

2004.11.12
多田 正世 住友化学(株)常務執行役員(農薬工業会長)

 住友化学は農薬事業に賭けており、全農と提携できたことは大変心強く思っている。このことで、日本の農業に貢献できる本当の意味でのベースができたと語った。そして、新生・協友アグリに対して、新剤開発を一緒にできる技術力をもつ会社。農家ニーズに応えられるサービス提供。住友グループから商系のノウハウをもった人材を派遣したので、系統の強さを発揮し商系のノウハウを活かした会社になって欲しいと期待を語った。そのほか、現在の農薬を巡る情勢などについても率直に語った。(詳細は「特別座談会:新生農薬会社「協友アグリ」が始動」

北本 孝也氏
2004.11.10
北本 孝也 JA全農常務理事

 農薬事業で住友化学と提携し、新生農薬会社「協友アグリ」発足への背景と経過を語るとともに、同社を核にして、IPMや受託防除など農家ニーズや時代の変化に対応した取り組みを強化し、系統の事業を伸展させていきたいとの考えを述べた。また、消費者の農薬にたいする抵抗感をついて、適正使用すれば安全だということを農薬工業会などと一緒にアピールすることと、適正に使用することを的確に指導し、栽培情報などを消費者に伝える「全農安心システム」を普及して消費者に生産現場の情報を提供していくことが大事だとも語った。(詳細は「特別座談会:新生農薬会社「協友アグリ」が始動」

淺山 哲夫氏
2004.11.8
淺山 哲夫 協友アグリ(株)社長

 新会社発足にあたって住友グループから多くの剤を移管されたが、従来、JAグループが弱かった園芸分野の剤が多くあり、園芸分野での事業強化をしていく。多くの地域で期待されている。また、フェロモンや生物農薬を含めたIPM候補剤が総合的に揃っているのは、協友アグリだけだと自負しているので、同社の特色としてこの事業を進めていきたいと新会社のスタートにあたって決意を語った。さらに、系統農薬メーカーの中核として、農家ニーズに応えた提案やフォローができる営農指導に力をいれるとも。(詳細は「特別座談会:新生農薬会社「協友アグリ」が始動」で)

岸朝子さん
2004.11.5
岸朝子 食生活ジャーナリスト

NPO法人全国無洗米協会のセミナーで、食生活ジャーナリストの岸朝子氏が「おいしく食べて健康長寿」のテーマで基調講演をした。岸氏は人気TV番組「料理の鉄人」の審査員を長年務め、「おいしゅうございます」の決め台詞で全国の顔となった。岸氏は「命は食に在り」という言葉を信奉しているという。健康は食に支えられているが、「近年は、料理を作らないのではなく、作れない女性が多くなった」と述べ、その背景にコンビニやファーストフードの普及があると指摘。若者が短命になる可能性が高いと、食生活の在り方に警鐘を鳴らした。(記事参照

柳楽節雄氏
2004.10.29
柳楽節雄 (社)家の光協会常務

 『家の光』は来年、創刊80周年。12月号から誌面をリニューアルする。(社)家の光協会の柳楽節雄常務は「今こそ協同の力を確認し、協同の力を発揮する時代」と語る。
 「JAが広域化するにつれて組合員との関係が疎遠になりはじめ、一方で組合員が多様化し、そういう人たちをどうJAに結集させるのか、JAの求心力が問われているといわれます。
 家の光協会はJAの教育文化活動に貢献する役割を果たしていこうという方針で事業に取り組んできており、『家の光』はJAと組合員、地域住民とのコミュニケーション・ツールとしての機能発揮を果たすことをめざします」と強調した。(詳細は特集・『家の光』創刊80周年のインタビュー

イアン・マクファーソン氏
2004.10.27
イアン・マクファーソン カナダ・ビクトリア大学教授

 協同組合運動の理論的指導者であるマクファーソン教授の来日を機会に、本紙の企画で白石正彦・東京農大教授と対談してもらった。日本では余り知られていないカナダの農業と農協についてマクファーソン教授は興味深い実態を次々に語った。カナダではここ50年間に農場数が半分以下に激減。また農業者の高齢化が進んでいる。小麦などの専門農協が各州にあり、小麦輸出では連合体をつくって米国市場などにアクセスしている。組合員は農協に出荷するが、それがどのように販売されたかという情報は知らされず、組合員と組合役員の距離が遠くなっている。また農業生産資材は農協だけでなく、卸業者や生協の売り込み競争も激しいが、価格のほうは安くならないので、組合員はいつも不満をいっているという。

池田武文氏
2004.10.25
池田武文 京都府立大学大学院教授

 「樹体の水分状態、つまり樹木が水不足なのかそうでないかは、葉からの蒸散による水分の損失が根からの吸水によってどれほど補われているのかによって決まります」と、マツ材線虫病対策に挑むPメーカーが主催した技術講演会で講演した。根から吸収された水は、根や幹の仮道管を経由し樹体の各部に運ばれ光合成や細胞の膨圧維持などに役立っていることはよく知られている。しかし、このような働きをする水分量は根から吸収された水分の僅か5%に過ぎず、残りの95%の水は葉からの蒸散によって大気に放出されるが、「蒸発潜熱は葉や樹体の温度調節という大切な役割を果たしている」ともいい、樹体内の水の移動を妨げるのは水分通導組織内のキャビテーション(空洞形成)とエンボリズム(塞栓症)が大きく関わっているという。1955年、兵庫県生まれの49歳。九州大学大学院では林業学を専攻した。樹木に魅せられた学究の徒がここにいる。

川野重任氏
2004.10.22
川野重任 東京大学名誉教授

 農業の担い手育成や農地制度などをテーマに農政転換が基本計画の見直し議論のなかで検討されている。しかし、この見直しは一体何のために行うのか。
 川野東大名誉教授は「中間論点整理の出発点は、結局、国際化をまともに受け入れた場合に、経営的に目に見えて打撃の大きい少数大規模経営を対象に手当をしなければならないという、
当面の糊塗政策に尽きているんじゃないか」と指摘する。
 明治44年生まれ。日本の食料、農業政策に学者、農政審会長などの立場で数多くの提言を残してきた。
「食料供給が危機になるのは、不作もあるでしょうが、こちらから戦争をしなければいいというものではないと思います。周辺の国々がどうなるかわかりません。悪意がなくてもいわば、とばっちりを受ける可能性もある。平和国家を守っているから大丈夫ということではない。食料確保についてわれわれは楽観的に考えてならない」。(対談「いつの時代も国を支えるのは自国の農業」

種市一正氏
2004.10.20
種市一正 JA全農会長

 座右銘は「独掌鳴らず」。両手を打ってこそ手は鳴る、片手では鳴らない、という意味だ。会長は地元青森で農協青年部の活動が長く、県青協の会長などを務めた。事業にしろ改革にしろ運動を進めるには、話し合いの相手がいるし、仲間がいる、といった若いころからの経験にもとづく座右銘だ。水田7ヘクタール、畑6ヘクタールのほか牧草地も持つ、かなり大きな経営だ。自らコンバインにも乗る。食と農については一般的に「命は食にあるとの理解はあるが、食と農を結合させる理解はまだ弱い」とし「食と農の距離を縮めて、生産現場を理解してもらうことが大事」と語り、「どこへいっても食と農の距離を縮める発言を続けたい」と強調した(本紙企画の白石正彦・東京農大教授との対談から)。

ジェイムス・R・シンプソン氏
2004.10.18
ジェイムス・R・シンプソン 龍谷大学教授

 本紙10月10日特集号のテーマは「これで良いのか 日本の食料」。この問いかけを明確に言葉にしたのは米国人の農業経済学者、龍谷大学のシンプソン教授である。
 同教授はその著書のなかで「日本は食料自給率40%ではなく海外依存度が60%と考えるべきだ」と主張している。まさに「これでいいのか」とわれわれは改めて考えるべき指摘だろう。インタビューでは「安全な食の確保は国民の権利であると同時に、この問題が将来に影響する問題であることをしっかり認識する義務もあります。日本のことは日本が決める権利がある。食料自給の大切さについて、みなさんもネバー・ギブアップです」と強調している。

マイケル・プラグネル氏
2004.10.15
マイケル・プラグネル
シンジェンタ社 CEO(最高経営責任者)

 「2003年、農薬事業で55億ドルを確保したことは、私たちの実績だ。アグリ市場における私たちのゴールは明確であり、今後はマーケティングが鍵になる」と、10月5日、都内での記者会見で語った。シンジェンタ社は、ノバルティス社および同氏自身も取締役であったアストラゼネカ社の農業関連部門の分割・合併により2000年11月に創設されている。2003年の売上高は、農薬55億ドル、種子10億7000万ドルの実績となっており、アグリ市場においてバイエル社に水をあける。2004年の上半期実績も7%伸長した。将来は「3億ドルの経費節減をはかり、既存市場の拡大および新規市場の開拓を通じ、株主に対して8億ドル以上のキャッシュリターンを行う」という。穏やかなまなざしの中に、プロの輝きがある。1946年生まれ。オックスフォード大学で現代言語の学位を取得。INSEADでMBAの取得も。趣味は、フランス文化、芸術、スキー、読書など。

本間正義氏
2004.10.13
本間正義 東京大大学院教授

 特集「これで良いのか 日本の食料」で基調論文を寄稿してもらった。本間教授は食料政策の基本は市場がうまく機能するようインフラを整備するのが基本と指摘する。それでもなお食料への不安が国民にはあるが、それは有事の際の食料確保を国が保障していないからだとし、軍事やエネルギーなどと同様、食料安全保障も総合安全保障の一環として位置づけるべきだと主張している。また、地球規模で農業のあり方を考える時代になっていることから、日本は自国の食料自給率にこだわるのではなく「アジア全体の農業発展と食料の安定供給に資する政策展開を」と提言した。
田代洋一氏
2004.10.12
田代洋一 横浜国立大学大学院教授

 特集「これで良いのか 日本の食料」に基調論文を寄稿してもらった。テーマは「食料自給率」。
 田代教授は、わが国は食料自給率目標を掲げる唯一の国であり、その向上は「切実な国民的目標」だと強調する。また、この問題では輸入不可能な農業の多面的機能の確保や、食生活改善に向けた取り組みなど、まさに「多面的機能」にも着目すべきだと主張している。また、グローバル化の進行のなかで食の安全性問題も大きくなっており、国民の安全を守るのはWTOでは個々の国であるとの立場から、食料主権を人類の生存権として世界に訴え、その実現を誠実に追求すべきと提言している。
ローレンス ユー(Lawrence Yu)氏
2004.10.8
ローレンス ユー(Lawrence Yu)
バイエルクロップサイエンス(株)社長

 日本に来る前にこんなきれいな田んぼは見たことがない。日本の農業は美しく、農産物の品質は世界一だ。日本の農業は食糧生産だけではなく、歴史的な文化であり、国民の美しさへの気持ちの表れだから、国際基準や経済性だけで考えると、それらがなくなってしまうので、ぜひ、大切に守って欲しいと語った。自給率については、農産物輸入は国際貿易上の問題もあり、農業生産側の問題ではなく、国の政策の問題ではないか。自給率を向上させるためには、欧米のように国が経済的な援助をするべきだ。そして農協の使命は農産物を高く売ることにあるのだから、マーケティングを強化して、産地や農産物の特徴を活かしながら、国産の「安心」を消費者にアピールすべきだ。「安心は信頼」であり、国産と輸入物の「安全」が同じなら消費者は信頼できるものを買うのだから、安心にもっと力をいれるべきだとも語った(詳しくは「特集:これで良いのか 日本の食料」で)。
若林一誠氏
2004.10.5
若林一誠 JA全農米穀総合対策部長

 米政策改革初年度の今年、JAグループの米穀事業改革も本格化。なかでも「JA米」確立に向けた取り組みにより、JAへの結集を図っている。16年産のJA米委託契約予定数量は約195万トンで計画の100万トンを大きく上回った。若林部長は「JA米でなければ売れない、当たり前の取り組み、という認識が広がってきた。しっかり集荷し、300万トンの計画達成を前倒しなければならない」と話す。同時に、JA米は確実に販売できる、ことを生産者に示すため「われわれは腹をくくって対応しなければならない」と強調した。
 また、集荷については「基本に立ち返り、一生懸命手足でかせいでいただきたい」と現場に期待し、販売面では「県本部、経済連と全国本部が連携し、量販店、実需者との結びつきを一層強固にしていきたい」と今後の課題を話す。(インタビューの詳細は特集「米事業改革とJAグループ」
森澤重雄氏
2004.10.1
森澤重雄 JA全中食料農業対策部長

 「米の需給安定と米政策改革の実践」をテーマにした本紙企画の座談会で、生産現場から集落営農の法人化論や経理一元化論に反対が出た。そんな画一的な枠をはめては集落営農が育たないという。これについて森澤部長は「国がいっているのは、政策の対象としては、そこ(法人化や経理一元化)まで求める、としているだけ」「法人化は一つの手法」に過ぎないとして、集落営農の多様性を語った。その形態は「地域の中の知恵から出てくるから」非常に多くの類型があるという。一方「法人に行き着けない集落については、一方的に切ってしまうと、政策から見放されてしまう。そんなことがあってはならない」とクギをさし、集落レベルで作ったビジョンを積み上げて地域水田農業ビジョンにしていくことを強調した。(記事参照
島村宜伸新農相
2004.9.29
島村宜伸新農相

 第二次小泉改造内閣で平成9年に続き2度めの農相就任。就任会見では「国民にいちばん身近な行政の分野。私なりの全力投球でがんばりたい」。また、小泉総理からは「やる気と能力のある農業経営者には可能な限り施策を集中してこれから後継者も含めて意欲を失わないような配慮をしてほしい」と指示があったことや食の安全・安心も総理の強い関心事であることから「国民が食に関する安心と安全に不満を持たないような責任を果たすため努力していきたい」などと語った。牛肉の輸入再開については「これは政治的な問題ではなく、科学的な確信の持てる解決が基本になければならない」と強調した。
綿 隆氏
2004.9.27
綿  隆氏 大信産業(株)庄原営業所

 「15号、16号、18号と広島県北も台風に見舞われ、稲の倒伏などに影響がでています。コンピューター制御などにより農業機械の進歩には目覚ましいものがありますが、所詮、自然の力には勝てないところがあります。何でもない水田のようにみえますが、実はものすごくデリケートなんだと再認識しました」。(社)日本植物防疫協会は9月22日〜29日まで『第61回植物防疫研修会』を開催しており、氏は記念すべき4000人目の研修者。1978(昭和53)年6月29日生まれの26歳。広島県出身。農業とは無縁だったが、食料に興味をもっていたので、高知大学農学部に進む。大学では、ポストハーベスト農薬(収穫後に使用する農薬)などを学んだ。卒業後、農薬卸の大信産業へ入社。趣味は登山。農業従事者の高齢化の中で「この研修を活かし若く、しっかりした後継者を育てていけるような仕事をしたい」と目を輝かせる。ここにも、日本農業を支えるしっかりした若者がいる。
田口俊一 全農サイロ(株)社長
2004.9.24
田口俊一 全農サイロ(株)社長

 今年六月に社長に就任したばかりだが、初年度の情勢は多難だ。鳥インフルエンザで飼養頭数が減り、その上に記録破りの猛暑で家畜の食欲は減退している。飼料の需要が減れば、原料穀物をサイロに保管している全農サイロの取扱量にも響いてくる。「苦戦しています」と新社長は語る。しかし、その表情にかげりはなく、新進気鋭の取り組みで就任早々の試練に挑む構えだ。同社の業績は前期も前々期も好調だった。全農の飼料取扱量が前期まで3年間、伸び続けたからだ。「今期もなんとか前期並みに持っていきたい」と新社長は横ばいを目指す。そのためにも、さらに社員の質の向上をはかるという。同社は、すでに人材育成へ様々な研修制度を設けており、それを土台に全社の業務水準も一層高めたい考えだ。(記事参照
木本昌秀氏
2004.9.21
木本昌秀 東京大学気候システム研究センター教授

 世界最速のスパコン「地球シミュレーター」を使った地球温暖化による気候変動の予測結果をこのほど公表した。20世紀の100年間で全球平均の地表温度は0.7℃上昇したが、21世紀は温暖化が加速し今後の100年間ではこれまでの3倍以上の上昇になるという結果が出た。気温の上昇にともなって空気中の水蒸気が多くなるため雨が増えるという。梅雨時の降水量は今よりも10%程度増加。梅雨末期の局地的な集中豪雨と梅雨明け後の猛暑の頻発というのが将来の日本の夏の姿だという。こうした気候変動の時代に本格的に突入。「農業はこれまでも自然の変化に対応してきた実力がある。予測に基づいて今から対策を立てる必要がある」と木本教授は話している。
(本文は「検証・今、地球に何が起きているのか」)

今尾和実氏
2004.9.16
今尾和実 JA共済連専務理事

 JA共済事業についての農協法改正が半世紀ぶりに行われ、事業全般に抜本的な法整備がなされた。今回の改正は、資金量40兆円超、長期共済契約高380兆円というJA共済事業が社会で明確に位置づけられたものといえる。「法令遵守など一層の自覚が必要だ」と今尾専務は指摘する一方、「それだけ社会的に評価されているということ。自信をもって事業推進を」とも強調した。
 新3か年計画の柱は「絆の強化」と「仲間づくり」。これは「ひと・いえ・くるま」の総合保障としてのJA共済の利用を推進すると同時に、新たなJA共済の利用者をJAのニューパートナーとして仲間づくりの輪を広げようというものだ。「すべてのJAが、地域に貢献するJA、をうたってほしい。総合農協として底辺を広げる活動が共済事業の広がりにつながる」と今尾専務は話している。(インタビュー「改正農協法とJA共済事業」から。

北野 大(まさる)氏
2004.9.14
北野 大(まさる) 淑徳大学教授・工学博士

 「北海道の農業は、単に農業だけの問題ではなく、北海道の経済全体に関わることであり、この認識のもとに新しい技術を考えていくべき」と、9月5日、札幌市で開催された公開シンポジウム『北野大さんと一緒に考えよう! 北海道農業の未来を考える〜新たな農業技術の持つ可能性〜』で語った。日本の食糧基地として北海道には限りない躍動感がある。「生産者の顔と名前がわかり、消費者との距離を縮めた農畜産物を作りたい」という地元高校生を、北野さんは「しっかりした考えをもった彼らを応援したい」と温かく包む。1942(昭和17)年5月29日東京生まれの62歳。都立大大学院卒。(財)化学品検査協会企画管理部長を経て、現在は淑徳大学教授。「工学博士(専門は環境化学)とタレントの二足のわらじを自任」するが、持ち前の明るさからファンは多い。その北野さん。11月7日、ヤクルトホールで行われる『北野大さんの、ちゃんと知らなきゃ!! 農薬ゼミ』(主催:農薬工業会)の塾長をつとめる。(記事参照

斎木陽子氏
2004.9.9
斎木陽子 アリスタライフサイエンス(株)天敵・微生物殺虫剤担当マネージャー

 「生物農薬を進めていると化学合成農薬と対比されます。IPM(総合的病害虫管理)は、化学合成農薬を生物農薬に全て切り替えるということではなく、いろんな資材を上手に組み合わせて農業をやっていこうというものです。現在、生物農薬はイメージが先行している感がありますが、将来的には防除資材の一つとして必ず使用しなければならない時代になるでしょう」という。もともとバイオテクノロジーに興味を持っていた。東大農学部農芸化学科農薬学研究室では室伏旭(のぼる)教授に学ぶ。同研究室は、かつてジベレリンを抽出したことでも知られている。一方、「天敵は一筋縄ではいきません。一つの失敗にこだわっていては一歩も前に進むことが出来ず、失敗の積み重ねの延長線上に成功があります」とも。試行錯誤の時間を少しでも短くしていくために、新しい技術開発を進めている。氏の良さは、大局的にものを見るところだろう。

白井和生氏
2004.9.6
白井和生 (株)いなげや 一般食品部許認可商品担当課長

 東京・埼玉・神奈川など首都圏で130店舗を展開する食品スーパー(株)いなげやで米の仕入政策を担当。米の消費は年々減少傾向にあるが、不作の翌年には「米離れ」が進み、消費が大きく落ち込むと指摘。「16年産は豊作基調だが、消費は落ち込み、価格も14年産のレベルかそれ以下になるのではないか」とみている。そうしたなかで(株)いなげやでは「安くしても消費が伸びる時代ではない」「消費を伸ばすには、本当に美味しいお米を食べてもらうことだ」と考え、さらに安全・安心ニーズに応えるために「全農安心システム米」を昨年から導入。全店で1万トン強の米販売量のうち83%を「安心システム米」が占めている。今後も「食味と品質」で消費者の支持を広げていく考えだ(詳細は「シリーズ 全農マークは信頼の証第1回」を

山口 利隆氏
2004.9.3
山口 利隆 デュポン ファーム ソリューション(株)社長

 「従来、デュポン社の世界的な農薬事業の狙いは、5大作物を狙ったビジネス展開であったが、3年ほど前からいわゆるスペシャリティ(園芸作物)にも重点をおいている。これを受け、日本でも水稲用除草剤に加え園芸作物にも注力していくことになった。丸和バイオケミカルは園芸作物に強い営業力を持ち、これを統合させることでデュポンの農薬事業のいっそうの充実をはかっていきたい」と合弁会社設立の真意を語る。また、農業は「農業法人の拡大、食の安全・安心に対する関心の高まりなど農業そのものの中で変化してきている。こと園芸分野では、より質の高い技術サービスが要求されており、これに全面的に応えていきたい」とも。「農業に感謝したい」が信条。千葉大園芸学部出身の植物防疫関係者の集まり「松園会」(175会員)も頑張っている。10月1日、いよいよ山口丸が船出する。 (記事参照

上原 寿宰氏
2004.9.1
上原 寿宰 JA共済連理事長

 「No.1の安心と満足を提供するために」をテーマに今年度から進めている「3か年計画」実現へ向けての抱負とこれからのJA共済事業のあり方について、白石正彦東京農大教授のインタビューで忌憚なく語った。そのなかで、JA共済事業の原点は「組合員が何を期待しているかを知り、それに応えることにある」のだから、苦しくなったり行き詰ったときには、その原点に立ち戻って考えることだと語った。また、時代や環境、組合員のニーズが変わるということは「こちらも変わらなければいけないということ」。変わるためには「指示命令待ちではなく、それぞれの立場で問題提起し、主体的にその解決する」ことが大事だとも語った(詳細は近日掲載の特集「上原寿宰JA共済連理事長に聞く」を)。

中野 弘之氏
2004.8.30
中野 弘之 井関農機(株)社長

 来年の創立80周年に向け、今年6月からキャンペーンを展開中。長年培ってきた技術力を活かした新製品群を投入した。安全で使いやすく、しかも経済的という開発コンセプトだ。コストダウンは、一体化構造で部品を省く設計を追求し、機能も高めているという。野菜作の機械も作物や地域特性に応じて多種多様な製品を出している。一方、養液栽培システムの施設事業も拡大中だ。今はトマト栽培で、年間9ヶ月間続けて収穫できる。“野菜工場”といった感じの水耕栽培だ。また欧米、アジアへの輸出も順調に伸びている。とりわけ中国では、部品をつくっていた工場で来年から組み立てを本格化する計画。井関は一時、業績が落ち込んだが、3年前に現執行体制となって再建を成し遂げた。(記事参照

柏田 雄三氏
2004.8.26
柏田 雄三 住化タケダ園芸(株)社長

 同社には製品開発センター(浜松)という名称の研究所がある。「家庭園芸関係の会社で本格的な研究所を持っているのは当社だけ。自前の研究所だから、お客の声をスピーディに製品化できる。これが当社の大きな力になっている」と強みを語る。お客の声を聞く手段の一つには電話による「お客様相談」がある。年間1万件くらいの相談を受けるので、内容を集約すれば需要動向などがわかる。それを「小売店様講習会」での研修材料にしている。同社は一般的な家庭園芸知識の普及に力を注ぐ。ホームページでは、製品の宣伝をベースにしないで作物や害虫や症状から易しく検索できるようにしている。また全国のホームセンターや大型専門店に園芸相談員を配置し、花や野菜の作り方を直接、お客に教えている。(記事参照

山田俊男氏
2004.8.23
山田俊男 JA全中専務

 新基本計画に向けた「中間論点整理」のとりまとめにあたってJA全中の山田専務は、今後の審議会企画部会で議論すべき点を「基本的考え方」として提出した。本紙ではこのほどこの考え方とJAグループの対応についてインタビューを企画。山田専務は「わが国の農業の将来イメージについて認識を共有することが重要だ」と強調。アジア・モンスーン地帯の日本の水田農業が多様な担い手によって生産力を上げてきたことなどを指摘し、今後も持続的な家族農業経営を中心として地域での合意による農地の面的利用の集積や、集落営農などを通じた日本型の構造改革を進めるべきだと語る。また、自給率向上に向けては飼料作物など水田への新たな作物の導入、定着策の確立が不可欠だとして、秋からの検討に臨む考えを示した。

廣瀬 竹造氏
2004.8.20
廣瀬 竹造 全国農協カントリーエレベーター協議会会長
        (JA滋賀県中央会会長)

 今年は、米麦の生産・流通の拠点施設・カントリーエレベーター(CE)が導入されて40年、全国農協CE協議会が創立されて30年になる。この記念すべき年に会長に再選された氏は、これからのCEのあり方について、「安全・安心で大量・均質な良質米を供給し、そのことで地域農業を支えていく重要な施設」だと位置づけ、トレーサビリティを確立し安全・安心ニーズに応えるとともに、多品種作付けから「当面は2品種、将来的には1品種に絞る」ことでコンタミ問題に対応する必要があると語った。そしてJA経営者が「売れる米づくり」戦略をシッカリ描き、その中でCE利用計画を策定し、「事故は絶対に起こさない」と先頭にたって品質事故防止に取り組むべきだとも。さらに、担い手問題、株式会社の農業参入などについても忌憚のない意見を語った(詳細は「特集:CE品質事故防止強化月間」で)

小池 恒男氏
2004.8.18
小池 恒男 滋賀県立大学環境科学部教授

 シリーズ「財界の農業政策を斬る」では農業経済学など農業界の研究者に議論を展開してもらっているが、今回は小池恒男教授にお願いした。
 財界の農政提言では「担い手」に限定した直接支払い制度など経営支援策の導入を求めているが、担い手の条件について「その客観的な指標はアジアの農業では見いだしがたく」、消費者にとってみれば担い手・非担い手のいずれの生産によるものも「米は米」だと指摘、担い手に絞り込むことの「根拠」は見出せないと強調した。
 一方、財界提言では、最近のグリーンツーリズムやファーマーズ・マーケットの隆盛など新たな動きを賞賛しているが、こうした展開を担っているのは「まさに多様な担い手」と財界提言の矛盾を突いている。(記事参照

岡本 敬彦氏
2004.8.16
岡本 敬彦 住友化学工業(株) アグロ事業部長

 「アメリカ人にとって農業は産業そのものです。反面、フランス人にとって農業は生活そのもの、人生そのものといった印象です。海外から見て、日本人もフランス人と同じなんだということを改めて認識しました。フランス人に言わせると、アメリカ人は生活を楽しんでいません。農業は、人生を楽しむためにあるのです」。1988(昭和63)年からアメリカに5年、フランスに1年、その後、ロシア、中国、ブラジルなど延べ16年間にわたり主要農業国を歩いてきた。「GMO(遺伝子組み換え作物)にはINPUT/OUTPUT2つの領域がありますが、共通していることは自然の力をバカにできないということです。これまで、研究開発はより広いものを狙っていたのですが、今後は人・環境などへ十二分に配慮した取組がいっそう要求されてきます」とも。京都大学では商法を専攻した。食と農への思いは強く、新しい風を流していく。

岡阿彌 靖正氏
2004.8.12
岡阿彌 靖正 JA全農専務理事

 特集「改革の風を吹かそう、命と暮らしを守る21世紀の農業とJA全農の役割」で、経済事業改革のキーワードは「物流合理化を切り口にした三位一体の改革」にあることを強調。販売事業では「契約栽培的なものでリスクを少なくできれば、そういうものを拡大し、市場価格で変動するものを少なくする」方向に変わっていくだろう。生産資材などについては、価格交渉力と商品開発力で「農家にとってメリットが出せるよう動いている」と語った。また、「国民に信頼される安全・安心な食料を供給する基礎単位は、農協の生産部会や集落であり、そこに農協と一緒になって営農指導やマーケティング情報を伝えていくのが、ナショナルレベルでの供給責任」だとも語った。(記事参照

高橋 毅氏
2004.8.10
高橋 毅 日本曹達(株)常務取締役・農業化学品事業部長

 農薬業界の外資攻勢について「巨大な外資は、果樹・野菜向けのようなきめ細かなノウハウを必要とする分野が不得手。当社としても十分に太刀打ちできるし、棲み分けもできる」と見る。「当社は果樹・園芸に特化し、ニッチな分野をグローバルに展開していく」という。ニッチといっても、穀物に比べればというだけの話で世界の市場は大きい。「海外で生き残れなければ、日本でも生き残れない」との戦略で、海外販売網を整備してきた。自主独立路線のベースは研究開発だ。若いころは、農協回りをしてきた。昔も今も「農協は地域農業の司令塔である」とするが「その中身が変わってきた」という。「大型化すれば、どうしても農家とのかい離が出てくる。そこをどうカバーするかが課題」と指摘し「農家との結びつきは、やはり営農指導。そこが原点だと思う」と強調した。 (記事参照

安 澄夫氏
2004.8.6
安 澄夫 JAおんが組合長

 食料・農業・農村政策審議会委員でもある安組合長は基本計画見直しの議論では「農村の問題がほとんど言及されていない」と強調する。現在の農村は「農業者を含めた生活の場」で農業に従事している人だけで集落が構成されているわけではない。食料生産のための「農地があるという意味で農村はあるけれども、農業に携わっている人で構成されている集落というものはなくなっていくのではないか」と指摘、今回の基本計画の見直しによって「農村が将来どうなるのかが現場にとって重要なこと」と語る。
 また、食料自給率について「家庭にたとえると(外から)惣菜や弁当を買ってきたほうが確実という状況になれば家庭から台所はなくなる。農業は国にとっての台所。家庭に台所がなくなれば家庭の体をなさないように国家から農業がなくなれば国家の体をなさない」と話す。(座談会「これでいいのか? 基本計画の見直し論議」(1))

上原 寿宰氏
2004.8.3
上原 寿宰 JA共済連代表理事理事長

 7月30日のJA共済連通常総代会後の経営管理委員会で前田千尋氏の後任として理事長に選任された。昭和37年に入会、推進部(近畿地区)部長、自動車部長、総務部長、総合企画部長を経て、平成8年に参事、同11年に常務理事、同14年に代表理事専務に就任。長く普及推進などを担当してきたこともあって県域やJAの状況をよく把握していること、また「正直で率直な人柄」から、今年度からの3か年計画のスローガン「絆の強化と仲間づくり」を陣頭指揮するのにうってつけという評価もある。就任後の記者会見では「事業環境が激しく変化しているが、難局を乗り切った前田前理事長の功績を崩すことなく、新井会長のご教示もいただきながら、一所懸命がんばっていく」と決意を語った。(参考記事

種市 一正氏
2004.7.30
種市 一正 JA全農経営管理委員会会長

 JA全農経営管理委員会の副会長から会長になった。就任の会見で、経営管理委員会制度について「事業をスピーディに進める点でこの制度には効果があると思う。農家の思いをしっかり受け止めて委員会で議論し、それを理事者につないでいく。その連携を密にしたい」と語った。新会長の話には「経済事業改革のスピードを上げなくてはならない」など「スピード」という言葉が目立った。全農との統合で経済連が全農県本部となり、組織2段は進んだが、県本部も手数料を得ているなど事業のほうは今も2段ではない。「事業は今も3段ではないか」との質問には「各県それぞれの特殊性があり、一気にはいかない面がある。もっとスピードを上げて対応を考えたい」と答えた。(記事参照

塚田 和夫氏
2004.7.28
塚田 和夫 JA全中常務

 JAグループは全国大会決議で「アジアとの共生」を掲げた。各地のJAでもアジアの農協と姉妹提携を結び、さまざまな交流活動に取り組むところも増えてきた。JA全中の塚田常務は「市場での競争だけが人類の原理だったのか。一方で協同の原理もある」と強調し、国際社会との関わり方にも協同の精神に立脚した取り組みを発信しようというのが「アジアとの共生」の狙いだと話す。最近ではJA女性部などの交流も盛んで「草の根レベルの活動に広がりと深みが出てきた」。
 今年設立40周年を迎える「IDACA(アジア農協振興機関)」がアジアの農協指導者への研修を通じて相互理解を深めてきたことなどにも触れ、新たな時代の協力と相互発展のためのJAグループの課題を語ってもらった。(インタビュー・「アジアとの共生」がめざすもの

上條 恒彦さん
2004.7.23
上條 恒彦 歌手・俳優

 長野県朝日村出身の上條恒彦さんは、17年前から甲斐駒ヶ岳の見える冨士見町に暮らしている。自らも畑仕事に精を出すが農家の友人も多く日本農業の危機を「真っ正面から捉えなければならない」と話す。
 さらに農業だけではなく、「今はプロフェッショナルが必要とされる時代じゃなくなったと考えている」。そうなった原因は経済的豊かさだけを追求してきた結果と指摘。いろいろな職業がきちんと評価される社会になるよう「いかに心の部分を取り戻すか」が私たちに求められているのではないかと語った。(特集「命と暮らしを守る21世紀の農業を考える」でインタビューに登場)

井植 敏氏
2004.7.21
井植 敏 三洋電機会長

  年金支給が65歳からとなれば、60歳の定年退職者は5年間どうするか。しかも今後の退職者は団塊の世代だ。その無収入状態は消費に大打撃を与える。そこで、この世代を活用する職場、なおかつ国際競争に勝てる仕事が必要だ。しかし「そういう仕事は産業だけでは考えられないから、農業との融合で考えていく」と語る。淡路島にある三洋グループの工場は従業員の3割が兼業農家だ。だから産業と農業のビジネスユニットをつくるといったノウハウは「すでに持っている」という。退職後は現役時代と反対に農業で働く日数を多くする方法なども考えられる。「農業がベースにあってこそ産業がある」という会長の考え方から湧く発想は、農業へのクリーンエネルギー導入など実に豊富だ。 (記事参照

花元克巳氏
2004.7.16
花元克巳 JA全中副会長

 特集「命と暮らしを守る 21世紀の農業を考える」でインタビュー。花元副会長はWTO農業交渉も基本計画の見直しも「どういう日本をつくっていくのか」の国家像の議論がもっとも重要だと指摘。食料自給率の問題も「今は日本全体で日本をどう立て直すかに取り組まなければならない。そう考えれば自給率を向上させることがどれだけの国益になるのかが分かるはず。ごはんをもう一杯食べてくれれば自給率がこれだけ向上するという話ではない」と強調。自給率を向上させる取り組みが水田農業ビジョンづくりであるとして「10万の集落で将来の設計図を描く。これが今後の日本農業の基盤になる」とJAグループをあげた「設計図」づくりへの取り組みの重要性を呼びかけた。(詳細は特集「命と暮らしを守る21世紀の農業を考える」で)

マイケル・ケスター氏
2004.7.12
マイケル・ケスター(Michel Kester) シンジェンタ ジャパン(株)社長

 シンジェンタは3年半まえに合併して誕生した若い会社だが、消費者に農薬についての正しい知識を普及するなど、ユニークな活動をする企業としても知られている。昨年8月に同社日本の社長に就任したマイケル・ケスター氏に、現在の農薬開発の現状やGMOを含めたこれからのテクノロジーの果たす役割、そして日本の農業・農協について語ってもらった。その中で日本の農業が「品質に対して注力されている」ことに感動した。これからの日本農業のあり方は「フォーカスを定めてベストクオリティーなものをだしていくこと」だと語った。また「もし私が日本の農家なら、農協を信頼をします。他の国ならその国の農協を完全に信頼することはできない」とも。(詳細は特集「命と暮らしを守る21世紀の農業を考える」で)

安田 誠氏
2004.7.9
安田 誠 (株)エス・ディー・エス バイオテック 取締役営業開発部長

 「チャールズ・ダーウィン(1809−1882)によるダーウィニズムの根幹をなしているのは自然淘汰です。生物を養う資源は有限であり、子孫を残すために有利な性質をもった種属とそうでない種属とでは、必然的に優性な資質をもった方が残り繁栄します。農薬業界は競争することで消耗しプレイヤーが減ってきましたが、メーカーとして生き残っていく1つのヒントがダーウィニズムの中に隠されているような気がします」と語る。静岡大から名古屋大大学院に移り斎藤哲夫教授に学んだ。「虫」のポピュレーション(個体数)などを研究した生粋の「虫屋」だ。ダーウィンの『種の起源』は、もっとも強いものや賢いものが生き残るのではなく、もっとも変化に敏感なものが生き残ることを暗示しており、「時代の流れや環境の変化に対して、いかに敏感であるかが業界で生き残る道」ではないかという。

石井 誠二氏
2004.7.7
石井 誠二 (株)八百八町 代表取締役

 居酒屋チェーンの草分け的存在「つぼ八」の創業者。現在は東京の城南地区を中心に居酒屋を展開する「八百八町」の代表取締役で「地域密着」、「消費者視点」がキーワード。「われわれは動物や植物の命をもらって生きている」ことを忘れず、自然の恵みを季節感、素材感を大切にして顧客に提供するのが料理づくりのコンセプトだという。「魚の骨を抜いてほしい」と言ってきた客には「どうぞよその店に行ってください」と断ったとか。「そのぐらいの考えを持たなければいい仕事はできない」。農業についても「俺の作り方はこうだという信念」で作れば「絶対にファンがつくはず」と強調、「あきらめないで一生懸命やっていれば、必ず応援団が集まってきます」と農業者にエールを贈る。(記事参照

上遠野 冨士夫氏
2004.7.5
上遠野 冨士夫 千葉県農業総合研究センター
            生産環境部・応用昆虫研究室長

 「植物に寄生するダニ類には、ハダニやフシダニ(サビダニ)などがいます。このうち、フシダニ類の研究者は少なく、発生生態が解明されていないものや、ましてや正式名称が付いていないものもまだまだいます」という。1975(昭和50)年から15年間、千葉県の農業大学校で教鞭をとるかたわら、フシダニの生態・分類の研究に取り組んできた。その後は1990(平成2)年に農業試験場、1997(平成9)年に原種農場に移り、2001(平成13)年から現在の職務にある。同氏は、ダニ類の中でも、特に小さいフシダニ類に興味を持っており、これまでに日本産のフシダニ類に次々と名前を付けてきた。「日本では、フシダニの研究をやっている人は少なく、私の研究が少しでも後人のために役立てられたらいい」と研究者魂をのぞかせる。

宮田 勇氏
2004.7.2
宮田 勇 JA全中会長

 WTO農業交渉は7月の枠組み合意に向けて大詰めを迎えているが、本紙はこのほど宮田JA全中会長に緊急インタビューした。宮田会長は「多様な農業の共存」のために公平・公正な貿易ルールの確立が必要だとし、とくに6月23日にジュネーブで発表した韓国、スイス、ノルウェーの農業団体との声明では「自分の国で食べるものを自分たちで作る権利は不可侵だと掲げた。これは当たり前のこだと強く求めていく」と強調、関税上限の設定やアクセス数量の一律的な拡大などの貿易ルールにはあくまでも反対していくことを表明した。
 一方、日本の主張を実現するには交渉を支援する地域からの運動が重要だと指摘し「これはわれわれ農業者が生きる生きないだけの問題ではない。国民の食の安全・安心に責任を持っていくということ。理解を広める国民運動をJAグループの同志の皆さんに起こしてほしい」と呼びかけた。(記事参照

高橋 英夫氏
2004.6.30
高橋 英夫 (株)サカタのタネ社長

 「サカタのタネ」の容器や包装には需用者にわかりやすいように発芽率を%で表示している。「種の良否は、見ただけではわからない」からだという。「品質が一番大事」と強調する。同社の創始者は消費者との直接のコミュニケーションを重視し、小売部門をつくった。通販の会員組織が大きい。消費者の声やクレームを研究開発と販売に活かし続けている。苗や園芸資材など取扱品目は多いが、種子の売上げでは、世界の種子企業のうち第7位(2000年)を誇る。乾燥した土地に向く野菜の品種を開発中で、中近東への展開も視野にある。「開発には時間がかかるから先読みが必要」と語る。市場動向で今、重要なのは拡大EUと、中国を中心としたアジアだと指摘した。(記事参照

岩谷 好氏
2004.6.29
岩谷 好 農協人文化賞(一般文化部門特別賞)
       福島県・東西しらかわ農協組合長

 88歳。陸軍士官学校出身。終戦時は小笠原・母島駐屯の大隊長。九死に一生を得たが、戦後は公職追放。それが解けて農協へ。価値観転換の中で県農協青年連盟委員長もやった。昭和47年には矢吹町助役、52年に農協に戻り、中畑農協組合長。職員にいい続けていることは「農家・農民のために誇りを持って働け」。しかも「徹底しろ」というわけで例えば「農協ではコカコーラは売るな。地元の牛乳を売れ」。同農協は農林大臣賞はじめ、たくさんの表彰を受けているが、組合長室には表彰状を飾らない。「農家・農民・組合員から表彰される組合にしたいから」という。中央会専務を務めたからJA合併はやったものの、合併には懐疑的。広域JAをどう持っていくか、今も考えている(農協人文化賞受賞者の体験発表から

堀 格氏
2004.6.25
堀 格 アリスタライフサイエンス(株)日本事業部長

 「当社は、商社でもないし、純粋なメーカーでもなく、ある意味では特異な存在です。国内外にグローバルなネットワークを持っていることが大きな強みでもあり、この強みを最大限発揮した事業展開をはかっていきたい」という。天敵・生物農薬のパイオニアである同社は、このほど地域営業体制を拡充・強化する中で大型殺虫剤「オルトラン」における商系部分の段階を踏んだ直販を明らかにした。天敵・生物農薬の開発、販売などで培った現場におりたノウハウを、どれだけ化学農薬で生かせるかが1つの鍵になる。研究開発、設備などヘビーな投資を行っていない企業ゆえに「しっかりした販売基盤を構築し、製品のラインアップをはかっていかなければならない」ともいう。化学農薬と天敵・生物農薬をバランス良く供給し、総合的防除(IPM)の推進をキーワードと捉え、新しい日本の農業の発展に挑む闘志は並みのものではない。

冨士 重夫氏
2004.6.23
冨士 重夫 JA全中農政部長

 基本計画の見直しの議論では自給率の問題がまだ議論されていない。JA全中の冨士農政部長は「国は主要3課題と言っていますが、主要3課題の前提として自給率向上の問題がある」と語る。自給率引き上げには消費面での課題もあるが「世界的な穀物需給の動向や日本の国土の実態をふまえたうえで戦略的な作物を考える必要がある」と指摘。具体的には「飼料用稲、飼料米と大豆」だと主張する。そのほかの課題としては、多様で幅広い担い手を支援の対象とすべきだとし、とくに集落営農については「非常に日本らしい柔構造の組織。実績を積み上げるなかで担い手も生まれてくる。日本の農業の担い手として集落営農を考えないのは絶対にあり得ない」と強調した。梶井功東京農工大学名誉教授との対談「基本計画の見直しとJAグループの役割」に登場。
山本 美彦氏
2004.6.21
山本 美彦 農協人文化賞(一般文化部門)
        静岡県・三ヶ日農協・前信用共済部長

 三ヶ日町農協は昔から毎日始業前に組合長以下職員全員が施設を掃除する。「若いころ、私は掃除の途中にゴルフの真似をして竹のほうきを振り回していたのを上司に見つかり、叱られた」と思い出を語る。その時、上司は「農協施設のすべては組合員の大切な財産であり、それを毎日きれいにして保全し、運営して事業成果を挙げるのが職員の仕事であり、農協運動だ」と教えたが、その言葉が忘れられないという。また「今は、組合員の農協離れがいわれているが、私は農協理念の希薄化による農協の組合員離れのほうに不安を感じる」と指摘する。「今後の農協運動のキーワードは人と心であり、組合員と職員の心の中の『やる気』が原動力になる」との確信を語った(農協人文化賞受賞者の体験発表から

金子 哲氏
2004.6.17
金子 哲 所沢ダイオキシン裁判原告団長

 所沢(埼玉県)の野菜が高濃度のダイオキシンに汚染されていると、平成11年2月1日にテレビ朝日「ニュースステーション」が報じた問題で、生産者が「農家の誇りを取り戻したい」そして「所沢の野菜は安全」だということを裁判で証明したいとテレビ朝日を相手に起こしていた裁判で、テレビ朝日が「農家に多大な迷惑をかけた」と謝罪し、1000万円の和解金を払うことで、6月16日に「和解」。金子原告団長は「所沢の農家の名誉回復という当初の目的が達成されたものと判断」し和解したと語った。和解金は「当初からこの訴訟が賠償金目的ではない」所沢市と三宅島に全額寄付することにしたという。これで5年におよぶ「間違ったものを間違いだと認めてもらうという訴訟」が決着した。(詳細は、農政・農協ニュース「所沢ダイオキシン裁判「和解」」を

長谷川 蓉子氏
2004.6.16
長谷川 蓉子 農協人文化賞(一般文化部門) 青森県女性組織協議会元会長

 にぎやかな町なかの商家に育ち、東京在学中は空襲や飢餓を体験。終戦の翌年に郷里に帰り、農家に嫁いだ。やがて農協婦人部の部長に推されたが「右も左もわかりません」とあいさつしたことを思い出すという。「いつも下から突き上げられて旗を振ってきたが、命を預かる食べ物の生産者であるという意識が部員全体のものとなるように努めた」。その理念は自然食運動をはじめ、車力村ミサイル射爆場廃止や六ヶ所村核燃料サイクル施設建設反対などの運動にもつながった。その中では脅迫がましい電話も自宅にあった。しかしそんなことをやられると、かえって「負けられない」との“じょっぱり”の火が燃えた。今後も「みなさんといっしょに真実を求めて歩いていきたい」と語る(農協人文化賞受賞者の体験発表から

立川 百恵氏
2004.6.14
立川 百恵 農協人文化賞(一般文化部門)
        コープ愛媛・名誉理事長 日本生協連・元理事

 「わたしの生協が生まれたのは30年前。地方都市のことなので農協を協同組合の先輩としてラブコールを送り続けたが、組合員700人余りの生協とあって、正直いって応えてもらえない時期が続いた」と振り返る。しかし次第に産直3原則に則った取引ができるようになった。今は組合員約13万世帯の生協となり、約200億円の商品を取り扱うが「その多くを地元の農協に依存している。また協同組合間提携で「モノのやりとりだけではなく、地域社会のくらしの問題をいっしょに考えようというところまできた」と語る。緑と水を守る運動など、そのテーマは幅広い。今後は「若い協同組合人が育つように努力し、協同組合運動のよさを21世紀に大きく発展させたい」のが願いだ(農協人文化賞受賞者の体験発表から

横田 敏恭氏
2004.6.10
横田 敏恭 農水省 消費・安全局 農薬対策室長

 「運動の趣旨が浸透していく中で、中毒事故は確実に減ってきていますが、完全にゼロになったというわけではありません。単純な不注意によるものが多いのですが、事故が起きていることは否めない事実です。この事実を、私たちは真摯な態度で受け止め、地道な運動を展開していかなければなりません」と、今年で52回目を迎えた『農薬危害防止運動』に寄せて語った。運動の底流には“継続は力なり”があると言い、地道な運動の継続を強調する。マイナー作物への対応などで行動力を発揮するが、真の力は笑顔を絶やさないところにある。「農薬の安全かつ適正な使用および適切な保管管理を周知徹底させていくことが、素朴だが一番大切なこと」だという。

高橋 良蔵氏
2004.6.8
高橋 良蔵 農協人文化賞(一般文化部門)受賞、秋田県・三輪農協元理事

 乳牛40頭にコメを食わせている。生籾を麹にして与えるが、その結果「牛に発情が強くきて、受胎率がよくなった」という。水田5ヘクタールの半分で飼料用米を生産。あと半分は主食用だ。そして米粉パンの普及にも努めている。「優れた製粉機が開発され、微細な粉末ができるのだから、輸入小麦に頼るパンやうどんの原料を、栄養価の高い米粉に置き換えて、自給率を高めたい」と語る。高橋さんは六人家族の専業「水田酪農」だ。点在する減反田を借りて牧草も作る。その面積は計8ヘクタール。情熱的に飼料の自給率向上と水田再生を実践している。秋田では昭和40年代に出稼ぎ農民が激増。このころ高橋さんは劣悪な労働条件や飯場の環境を改善するため世話役活動に駆け回ったという経験もある(農協人文化賞受賞者の体験発表から)。

佐久間 成浩氏
2004.6.4
佐久間 成浩 コープさっぽろ専務理事

 コープさっぽろは、2005年度を最終年度とする経営再建計画に取り組んでいるが、店舗事業を黒字化するなど2年前倒しして03年度に目標を達成。再建のポイントは、「食料・酒・ドラッグによるSM業態に特化し、衣料品は子会社化、他のものはテナントに切り替え、一定基準以下の赤字店舗を閉鎖」したこと。そして、生鮮・惣菜などで地域一番の「おいしいお店」をコンセプトにした「買いやすい店」づくりで、組合員の支持をえたこと。「協同購入に力を入れ収益性をあげた」ことなどをあげた。さらに、道内地域生協との事業提携・統合を進め、生協グループの事業規模は、道内食品販売の約10%を占めることになったとも。また、道内の農業を応援するために「コープさっぽろ農業賞」を創設した(詳細は「シリーズ 新しい時代を創造する生協の活動と商品戦略」で)。

三上 一正氏
2004.5.31
三上 一正 JA全青協会長

 16年度全国農協青年組織協議会(JA全青協)会長に就任。創立50周年の節目の年、「全国農協青年統一綱領」の見直しを検討する。「青年農業者の地域農業に果たす役割、次世代に農業を引き継ぐ役割が重要になっている。日本農業の再構築に向けた綱領にしたい」と抱負を語る。JA改革では「着実に実を結ぶような行動が必要。青年部がJAに対して改革が進んでいるかしっかり確認していきたい」という。地元は青森県のJA八甲田青年部。水稲12ヘクタールと畑6ヘクタールを経営する専業農家。33歳。5月29日から6月6日まで米国・ワシントンで開かれる第36回世界農業者大会にJAグループ代表団の一員として参加する。(記事参照

小澤 芳夫氏
2004.5.24
小澤 芳夫 全農エネルギー(株)社長

 全農石油基地の安全管理を主な仕事としている全農燃料ターミナル(株)が子会社の全農テクノ(株)などと合併して社名を変更。事業も再編成した。JA−SS(給油所)などの建設をしていたテクノの事業を広げ、SS経営もJAから受託する。小売への進出だ。今、10店ほどのSSが“リフォーム”を施工中。「セルフ方式への改造が多いが、とにかく需要はすごい」と小澤社長。赤字SSの収支改善は経済事業改革の重要課題だ。JAからは「建設投資も経営もすべて任せたい」と要請され「ビジネスにリスクはつきものだから、基本的には、それを引き受けている」という。いくつかのSSを集約する再配置などを考え、競争力強化へ選択と集中で同社のヒト、モノ、カネを投入している。(記事参照

前田 千尋氏
2004.5.20
前田 千尋 JA共済連代表理事理事長

 JA共済事業特集「絆の強化と仲間づくりで事業基盤を確立」で梶井功東京農工大名誉教授と対談し、共済事業を取り巻く環境、JA共済「3か年計画」の重点課題である「絆の強化と仲間づくり」「事業力の強化」などを語りあったが、二人の話はさらに協同組合の事業のあり方にもおよんだ。このなかで前田理事長は「何のために共済事業を行っているのかという、事業の目的・使命をキチンと理解したうえで、組合員・利用者を視点においた事業運営」をしていかなければいけないことを強調。さらに今後は「技術論や制度上の問題については生損保に負けない専門性をもちながら、農の魂を忘れずに事業展開することで、厳しい状況を乗り切っていきたい」と語った(詳細は「対談 『農の魂』を忘れずに事業を展開」を)。

山本 篤氏
2004.5.17
山本 篤 JA山口美祢代表理事組合長

 地域の米づくりのレベルアップを図るため、土づくり、田植期間、防除法など栽培法を「5つの約束」として農家に示す「金太郎飴戦略」を実践。米の均質化によって量販店、外食産業などの評価を高めるのが同JAの方針だ。山本組合長はこの取り組みによって「参加の農家に仲間意識が生まれ、実需者の評価を聞くことで米づくりへの意識も変化。高齢化が進んでいるが元気が出てきた」と語る。集落からの積み上げで水田農業ビジョンを策定し実践することが求められているが、ビジョンづくりは「小規模の農家がほとんどという地域で、どう水田を守っていくか知恵を出すことでもある」と強調した。4月28日の「地域水田農業ビジョン実践強化全国トップセミナー」で事例発表した。

高柳 友子さん
2004.5.10
高柳 友子 日本介助犬アカデミー専務理事・全国介助犬協会常任理事長

 「手や足に障害がある肢体不自由者の手足の代わりとなって日常生活動作や外出のお手伝いをする介助犬は法律的な位置づけもなく、ハッキリいえばペット扱いで、連れていることがかえって大きな社会的なハンディになって」いた。こうした状況を変えるために、議員立法による「身体傷害者補助犬法」が平成14年に施行された。この法律によっていま介助犬の恩恵を受ける人はまだ少ないが、「私たちは死ぬまでに必ず障害者になり、誰がいつ、盲導犬や介助犬、聴導犬の使用者になるか分からない」。そして、補助犬が受け入れられる社会は、バリアフリーの社会であり、誰にとっても暮らしやすい社会のはずだと語る。また、自賠責共済を行うJA共済の社会福祉事業の一環として支援をもらっていることについて感謝の言葉を述べた(記事参照)。

梅原 宏保氏
2004.5.6
梅原 宏保 (社)日本養鶏協会・日本鶏卵生産者協会会長

 鳥インフルエンザ発生によって多大な被害を蒙っている養鶏関係者が、4月28日に東京グランドホテルで「鶏供養祭および鶏肉・鶏卵の消費拡大の集い」を開催。梅原会長は「今後の再発がないことを祈念し、本来の役割を果たさずに殺されていった鶏を供養し、あわせて鳥インフルエンザによって大きな打撃を受けた鶏肉・鶏卵の消費拡大を願って」この集会を開催したと挨拶。パネルディスカッションでは、山口・大分・京都の代表からの厳しい現状や生産者との連帯を重視した京都生協の活動を報告。風評被害を防ぐために、消費者に鶏肉・鶏卵の安全・安心を分かってもらえる迅速で的確な対策が必要であること。再発防止のために「防疫マニュアル」の見直し、補償対策など万全な被害対策が必要なことが確認された。(記事参照)

柳井 邦宏氏
2004.4.28
柳井 邦宏 協同リース(株)取締役社長

 全国の農協の95%がなんらかの形でリースを利用しており、それは各種システムの端末やATM、CDから自動車、職員の制服など幅広い。最近は、高齢化する農協組合員のニーズに応えた福祉器具のリースもはじめ、現在52農協が利用、今年度中には100農協になる見通しだ。「いまの時代は所有すれば、必要でなくなったときの廃棄処分などが面倒ですから、必要な期間だけ利用できればという風潮が強く」リースには追い風だという。そしてリースすることで、設備投資の初期投資が不要で、リース料は費用計上できるので「資金を効率的に運用できる」。自動車の場合には車検や税金など事務処理をリース会社に任せることで「煩雑な事務処理から解放される」など経営の効率化に役に立つとリースのメリットを語る(詳細は「この人と語る21世紀のアグリビジネス」で)。

長岡満夫氏
2004.4.26
長岡満夫 協同乳業(株)社長

 酪農の将来について「牛乳などの市乳は、品質と新鮮さで輸入品より優位にあり、また乳製品にしてもコストダウン努力と、消費者の好みに合う製品を開発していけば生き残っていける道はある」と展望する。同社の特徴については「創業以来のDNAともいえるものに(1)酪農との共生の精神(2)品質のメイトーといわれた品質へのこだわり(3)新しいものにチャレンジする進取の精神、の3点がある」とし、創業50周年の会社だというのに、いまだに「進化の過程にある若い会社」だという。収益的にも「利益を出せる体質になりつつある」とのことだ。昨年10月秋には世界トップクラスのチーズ専門会社ボングラン社(フランス)との合弁事業で長野県に建設したチーズ工場が稼働した。(詳細は「この人と語る21世紀のアグリビジネス」)

加藤登紀子さん
2004.4.23
加藤登紀子さん 歌手

 農事組合法人「鴨川自然王国」(千葉県)という農園を拠点に歌手活動をしている。同農園と「ふるさと回帰支援センター」が5月末から開設する「帰農塾」の説明会を兼ねて開かれたシンポジウムで、加藤さんは「20年前に夫(故人)が鴨川に農地を買って有機農業を始めようとした時、私はついていけずに離婚話になったが、子どものことも考え、夫に従った」などと体験を語り、帰農による夫婦生活の変化も「また、よいのではないか」と提起した。シンポは「農とふるさと暮らしは21世紀的生き方だ!」と強調した。大都会を離れ、田舎で農的生活を送ろうという「ふるさと回帰運動」が全国的に広がっているが、帰農塾はその一環として開設される。記事参照

安東和彦氏
2004.4.19
安東和彦 技術士・樹木医

  「IR―4の事業は、経済原則に則り社会のニーズに対応した素晴らしい国家事業だ。発想や運営方法が非常に合理的かつ合目的的で、アメリカならではのもの」と語る。IR―4とは、アメリカの特定作物農薬登録推進機構のことで、このほど東京で行われた公開セミナーでは、アメリカのマイナー作物農薬登録が国家事業で行われていることが明らかになった。氏は三共(現・三共アグロ)から日本サイアナミッド(現・BASFアグロ)に転籍し、退任後の現在は技術士・樹木医、環境カウンセラーなど多くの重責に携わり業界の底辺を支えている。「アメリカでは農薬(Pesticide)という言葉を使用しておらず、その代わりに植物保護剤(Plant Protectant)を使用している」といい、日本でも「植物保護剤」の使用を提案する。記事参照

佐藤純二 農林中央金庫常務理事
2004.4.19
佐藤純二 農林中央金庫常務理事

 本紙の「元気な地域づくりとJAバンクの役割」特集の中で、農林中央金庫の佐藤純二常務は「JAバンク中期戦略」のポイントについて(1)JAバンクローンの伸長による収益力向上(2)店舗再構築を中心とした効率化によるコスト削減を挙げ「この2つが軸となる」とした。住宅ローン推進の具体的取り組みについては▽5月と10月に全国統一の休日住宅ローン相談会を開く予定▽大手住宅メーカーや地場工務店等向けの新しい営業チャネルを導入し、定着を図る▽大きな需要が見込まれる地域を中心に全国130ヵ所に「ローン営業センター」を設ける計画であると明らかにした。常務の話は、新潟大学農学部の青柳斉教授をインタビュアーとして展開した。記事参照

京谷尚樹氏
2004.4.16
京谷尚樹 農林中央金庫JAバンク企画実践部長

 信用事業の成績が優秀な2JAの担当常務との座談会(本紙企画)で進行役として、話し合いの内容を深め、発展させた。両JAはともに、今年のJAバンク全国大会で全国表彰されているため、そのことを組合員や地域に広く知らせるJAの広報活動が話題になった。京谷部長は、そうしたPRの大切さを指摘した。受賞によるグレードアップはJAに対する地域の信頼感を高める。このため受賞のPRを「今後の事業推進に大いに活かしていただきたい」と望んだ。
 まとめの言葉でも「地域密着こそJAバンクの強み」と強調した。そしてローン伸長、店舗再構築とともに地域における顧客基盤の拡充も大事と指摘。両JAの多彩な取り組み状況を引き出した。記事参照

渡邉 宏 JA福岡市常務
2004.4.12
宏 JA福岡市常務

 JA福岡市は33支店がそれぞれの地域に合った事業計画を立て、地元農業に対する住民の関心や親近感を高める活動を独自に展開していると語る。農産物の安全・安心とか遊休農地の活用などをPRし、また地域のイベントに積極的に参加して各支店の存在感を打ち出しているという。これが好評だったので、引き続き今年度からの新しいJA中期計画案でも、支店ごとの独自計画を立案する。常務は、本紙企画の「元気な地域づくりとJAバンクの役割」を語る座談会で、同JAの地域社会との共生に向けたユニークな取り組みを数々紹介した。支店活動と併せて信用事業としても定期積金で“地域農業を知っていただく”ための新商品を出したりしている。記事参照

神谷六雄 JAあいち三河常務(愛知県)
2004.4.12
神谷六雄 JAあいち三河常務(愛知県)

 総職員数477人のうち融資専任渉外が6人。仕事は住宅ローンと賃貸住宅ローンが中心だ。これとは別に信用渉外38人を33支店に配属。こうした体制で住宅ローンと個人貯金を伸ばし、同JAは今年のJAバンク全国大会で表彰された。本紙企画の座談会で神谷常務は「融資専任渉外を置いたのは平成9年」と振り返る。きっかけは研修会で講師から「これからはCS(顧客満足度)とリテールの時代。農協が生き延びていくためには特に住宅ローンだ」と聞いたことから。そして上司に提言し、今の体制へと進んだ。住宅ローン相談会を毎月2回土曜日に4会場で開き、地元の有力な住宅関連企業とも提携。また信用渉外の職員からも住宅関係の情報が入るように連携を密にしている。

大内脩吉 日本農薬(株)社長
2004.4.9
大内脩吉 日本農薬(株)社長

 「現在の農薬産業は厳しい収益悪化状態にあり、迫りくるコストアップ要因をクリアーして、研究開発を含めた再投資の原資をいかに効率的に獲得し、世界市場で戦える新規剤を創出できるか否かにかかっている」と農薬業界の課題について、3月24日、神戸で開かれた日本農薬学会第29回大会の特別講演で語った。変化する農業に柔軟に適合し、消費者の理解と農産物の生産技術向上に役立つ環境適合型の技術製品とサービスを生み出せる農薬事業戦略の展開をはかりながら、農薬企業群の再編成を促進して、世界のマーケットで戦える産業を目指すことに尽きるとも。“顔の見える対話”が信条で、消費者の理解と市場にキメ細かくアクセスしていくマーケット力の強化が不可欠だという。(記事参照
 

千葉長氏
2004.4.7
千葉長 JA栗っこ 営農部米穀販売課 米穀検査室農産物検査員

 座談会「JA米はJAグループ結集のためのブランド」で、千葉氏は改正食糧法が施行され「米の流通制度が変わるからJA米に取り組むということではない。食の安全・安心のために取り組むだという認識が大切」と強調した。
 JAの農産物検査員でもあるが、生産者への栽培履歴記帳の推進と記帳内容の確認業務も兼務。JA米の要件を満たした米かどうかも含めて「どう生産されたかが分かったうえで検査されることはこれまでになかった。JA米の取り組みにJA検査員がきちんと関わることで非常に強力な体制ができるはず」と指摘した。記事参照

五十嵐和司 JA全農米穀販売部 集荷企画課長
2004.4.5
五十嵐和司 JA全農米穀販売部 集荷企画課長

 「JA米」の取り組みについて話し合ってもらった座談会で五十嵐課長は「JA米が日本の米のスタンダードになる自信はある」と語る。その理由は、栽培履歴記帳にはすでに多くの生産者が取り組んでいること。「消費者のために一生懸命米づくりをしなければいけないという気持ちが感じられて心強い」。
 全農の役割はそうした取り組をする生産者と消費者との「橋渡し」だとして、今後は消費者にまでいかにJA米を浸透させていくかが課題だとする。「全国の生産者、JAが結集した結果がJA米というマークです」。(記事参照
 

大林茂松氏
2004.4.1
大林茂松 JAグリーン近江 営農事業部農産販売課長

 座談会「JA米はJAグループ結集のためのブランド」に出席してもらった。同JAでは、15年産から生産者全員で栽培履歴記帳に取り組むことを目標にして推進。99%とほとんどの生産者が取り組んだ。
 大林課長は「JA米はJAの売りをつくること。生産者全員で取り組まなければ値打ちがない」と語る。栽培履歴記帳について生産者には「正確に記帳していくことで自分が正直に米を作ってきたことが証明される」と強調しているという。また、翌年の栽培に生かすことが大事で「勘に頼る米づくりから記録に頼る稲作」をすることにもなると指摘。「消費者が求めているのは食の安全、安心。全国をあげてJA米に取り組む必要があると思います」と語った。(記事参照

田代定良氏
2004.3.30
田代定良 (社)日本植物防疫協会研究所 生物科学グループリーダー

 「稲育苗箱処理剤の開発によって、農家が高齢化する中で薬剤処理の労働負担を大きく軽減することができるようになった。開発のネックだったのは、水稲病害虫防除の必要な時期に殺菌剤、殺虫剤の有効成分が適量に解放することだった。これが解決されて、これまで限定されていた後期の病害虫防除が可能となったことは画期的なこと」と語る。また、「自ら標的を検知し、必要な農薬を選択し放出するような機能を持ったインテリジェント製剤が機能性製剤開発の目的であったが、その第1段階は確実に達成されつつある」とも。長期残効型育苗箱処理剤は、コブノメイガの防除まで到達した。今後の目標は、斑点米カメムシ防除への期待だが「今後さらに進化するであろう農薬に試験圃場で出会えることを楽しみにしている」と研究者の顔をのぞかせた。

賀集 利樹さん
2004.3.26
賀集 利樹(かしゅう・としき)  JA共済新イメージキャラクター(俳優)

 JA共済の新しいイメージキャラクターとして4月1日から登場する。LAに扮し、もう一人のイメージキャラクター・仲間由紀恵さんとともに登場する新しいテレビCMも4月2日から全国で放映される。昭和54年生まれの25歳。平成13年に連続テレビドラマ「仮面ライダーアギト」の主役としてデビュー。その後、多くのドラマに出演。爽やかで飾り気のない人柄で、子どもから主婦層まで幅広い人気を得ている。JA共済連は重点課題である「ニューパートナー(次世代層)獲得に必要な“フレッシュ感”“時代感”と、彼のパーソナリティーが合致した」ことから起用を決定。「JA共済の顔、LAの顔として選ばれ嬉しかった」と記者会見で語った。(記事参照

浅田 克己 生活協同組合コープこうべ専務理事
2004.3.23
浅田 克己 生活協同組合コープこうべ専務理事

 '03年度は発展のための仕込みの年。4月からの'04年度は、兵庫県の食料品売り上げの11%を占め県内トップだが、まだ90%の人が他を利用していることに目を向け「新しい市場と需要を創造していく年にしなければいけないと考えている」。3割を占めるPB商品(産直品・コープス)は、人間でいえば「顔」であり、「その顔で個性が決まる。顔であるPBが組織の存在感を決めてしまう重みがある」と位置づける。産地との関係は、「5分5分の関係であり、向かい合うのではなく、同じ方向をどう向くかが問われている」。そして「信頼関係と同時に緊張関係をどう持つかが最大のテーマ」だとも、田代洋一横浜国大教授のインタビューで語った(詳細はシリーズ「新しい時代を創造する生協の活動と商品戦略」で)  

斎藤正氏
2004.3.19
斎藤正 駒沢大学経済学部教授

 協同金融研究会のシンポジウムで「地域活性化に果たす協同組織金融機関の責務」と題して基調講演し「グローバリゼーションは必要だが、アメリカンスタンダードは必要ない。金融も会計も日本は米穀基準一辺倒の政策展開だ。これは自殺行為とも思える」と批判。「(信金・信組・農協・労働金庫などは)協同金融スタンダードを考えるべきだ」と提起した。また「中小企業向け貸出は利ざやが多くて有望分野だが、大手銀行の貸出モデルは、やはり米国基準だ。協同金融スタンダードの確立こそが地域金融基盤を支えることになる」と強調した。同研究会は協同組織金融機関の役職員・OB、学者らで構成。シンポジウムは設立10周年記念として開いた。(記事参照

三品典俊氏
2004.3.15
三品典俊 JAみやぎ仙南 角田地区青年部長

 自由ヶ丘など、おしゃれな感じの住宅街が目立つ東京都目黒区内の小学校庭に水田が出現。つくったのは宮城県・旧角田市農協の青年部員たち−−そんな報告が3月3日の子ども農業体験活動実践フォーラム(JA全中など主催)であり、参加者は目を丸くした。JAみやぎ仙南角田地区青年部の三品典俊部長の話によると交流は14年間続き、部員たちは目黒の小学校に出向いて学童農園で体験学習を指導。一方、目黒の子どもたちも角田に出かけ、田植え、稲刈りをする。特に緑が丘小学校では先生たちが夏休みに角田で農業実習をしたりも。また目黒では学校給食用に角田のコメを使っている。室町時代に目黒の領主が角田に移り住んだ故事が縁だという。(記事参照

いわむら かずお氏
2004.3.12
いわむら かずお氏 絵本作家

 JA全中などが3月3日開いた子ども農業体験活動実践フォーラムで「農場のある美術館」と題して記念講演した。東京芸術大学工芸科卒の絵本作家。作品には世界的ロングセラーがある。1939年東京生まれだが、雑木林の中に住んで絵本を描きたくなり、29年前、家族で栃木県に居を移した。
 地方でも子どもたちが自然から疎遠になっているのを憂えて、里山の自然に囲まれた「いわむらかずお絵本の丘美術館」を那須郡馬頭町につくった。さらに美術館に隣接する農場を借り、子どもたちの農業体験の場とした。農場には牛もいる。種まき日や稲刈り日などのイベントには親子連れが集まる。農場主が全面協力して農業指導に当たっている。

柴田勝 チッソ旭肥料(株)社長
2004.3.8
柴田勝 チッソ旭肥料(株)社長

 「農協合併で組合員が多くなると営農相談の質問件数も増えるが、それに応じ切れない農協がある。もっと営農対策を充実させていただきたい。農協は技術面で新しいことを取り込んでいく大きな力を持っている。それを持続させてほしい」と要望する。農協の力が弱くなると肥料販売にも関わってくるだけに要望は切実だ。最近は各県の試験場や農業改良普及所の人手が減ってきて、肥料試験もままならないという背景もある。農協に頼んで試験の結果がOKとなっても、普及はそのエリアにとどまる。産地間競争があるから、よその農協はOKを出さない。農協同士が横の輪を広げて技術の普遍性を議論していただければありがたい、とも望んだ。(記事参照

淺山哲夫氏
2004.3.8
淺山哲夫 八洲化学工業(株) 取締役社長

 「従来の薬剤開発、技術普及、販売メーカーから、さらに一歩進めた営農支援のできるメーカーであることが要望されている。系統メーカーの一員として、農家の皆様やJAグループに対しての営農支援的な取り組みを前面に押しだしていきたい」と淺山社長。飾らない淺山社長ならではの言葉だ。「昨春には、情報の共有化と業務の効率化を目指したモバイル(営業支援)システムを立ち上げ、軌道に乗りつつある。また、品目推進プロジェクトチームを中心とした重点推進も進めたい」と語る。そして、「中核農家、JA職員および普及員などのOBを採用した普及アドバイザー制度も、その数でまもなく100名を擁するほどに充実してきた」と微笑む。系統農薬メーカーにあって、長男坊(クミ化)、次男坊(北興)、三男坊(八洲)と言われてきたが、特異的な事業展開の中で、確実に変貌を遂げようとしている三男坊を、兄貴たちはどう支えていくのか。

フリードリッヒ・ベルシャゥアー氏
2004.3.5
フリードリッヒ・ベルシャゥアー バイエル クロップサイエンス社 社長

 「私は、この新しいポジションについて、やりがいのある仕事を、そして、双方の利益を目的に皆様との協力をいっそう深めるために親しく仕事をしてゆくことを楽しみにしている」。バイエル クロップサイエンス社は2月17日、都内のホテルで同社の社長交替記念パーティを開催し、ヨッヘン・ウルフ氏の後任として4月1日付けで社長に就任するベルシャゥアー氏は席上このように語った。こと農薬事業において、シンジェンタ、ダウにしても外資系企業は総じてパートナーシップの維持・発展を強調している。この意味でバイエル クロップサイエンンス社は、「成長へのパートナーシップの持続」を前面に押し出した。今後、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。アベンティス クロップサイエンス社を買収した同社の挑戦はこれからだ。

種市 一正氏
2004.3.3
種市 一正 (社)全国食肉学校理事長(JA全農経営管理委員会副会長)

 2月27日、同校第39期生の卒業式で、米国におけるBSEの発生や鳥インフルエンザなど「わが国食肉業界が直面する諸課題は山積みしている。こうした環境のもとで、私たちに求められているものは、食肉に対する信頼性の確保と安全性の追求に対する日々の努力の積み重ねと創意工夫である。いま、業界が求めている人材は、常に情熱をもち、新たな時代を切り開く実践力をもった人間である」「卒業生も“群馬の山の分校”から“日本の食肉業界、そして、いま、世界から注目されている日本の食肉流通の第一線を支える業界人”として大いに羽ばたき・飛躍され“輝く花”となって欲しい」と卒業生への期待と激励を述べた。(記事参照

芝原哲也氏
2004.3.1
芝原哲也 アグロパートナーズ(株)代表取締役社長 

 1月1日より、ダウ・アグロサイエンスグループのディーエーエス菱商(株)が社名変更されアグロパートナーズ(株)がスタートした。「日本の農薬業界はシュリンクしている。食糧の長期安定生産は不可欠であり、お金さえだせばいつでも農産物を輸入できるという保障はない。あくまでも国産農産物が大切であり、この安定生産に向けメーカーとして最大限の支援をしていきたい」。本紙のインタビューに対し、業界の現況と新会社の抱負を芝原社長はこのように語った。アグロパートナーズは、代理店、フォーミュレーター、生産者、行政機関・団体、消費者、株主などとの強固なパートナーシップを目指したもので、業界に新しい風を吹かそうとしている。

日出英輔氏
2004.2.26
日出英輔氏 参議院議員

 「シリーズ・農協のあり方を探る」で話を聞いた。基本計画見直しでは、食料自給率向上と農業の多面的機能発揮の具体策が焦点だとし、そのためには「この5年間の政策を見直していく心棒のようなものを国民に示さなければ国民に不信感が生まれる」と実態をふまえた議論の大切さを強調する。
 また、今後の農協のあり方は、それぞれの事業改革とともに、「地域で何をするのかが問われている」と指摘し、農協を「農業を中心とした地域経営体」の視点で考え、地域活動を通じ組合員とより密接な関係をつくるべきではないかと提言した。

嶌 信彦氏
2004.2.24
嶌 信彦 ジャーナリスト

 「大企業がもうかれば中小企業や地方がうるおう時代ではない。日本経済が良くなれば地方もよくなると考えるのは間違いだ」と指摘する。2月18日のJAバンク全国大会で記念講演し「自分の地域は自分で守ること」と説いた。(記事参照)今後は農業と中小企業と観光を組み合わせないと地域振興はうまくいかないと説き、量産化に走らないイタリアをモデルに挙げた。
 リストラで技術者も失業しているから、農業分野だけで考えるのではなく、バイオとかIT(情報技術)など他の分野とも相談して新しいアグリビジネスを育てることが重要と、横のつながりでマーケットを広げることを説いた。また、各地に根付く数多い日本の伝統的な産品の輸出も勧めた。

太田房江 大阪府知事
2004.2.19
太田房江 大阪府知事

 2月10日に大阪市内の国際会議場で開催された「第46回全国家の光大会」で来賓あいさつ。大阪でも「大都会ならではの農業の重要性を認識し、農業も含め環境、緑の保全の大切さの観点で振興を図っていきたい」。また、「食の安全・安心府民会議」を立ち上げて、大阪から食の信頼を取り戻す運動を始めていることを紹介、「この運動でいちばん活躍しているのが女性。日本の農業は女性が担っているなと感じている」と会場の女性たちを激励した。(記事参照

ヨッヘン・ウルフ バイエル クロップサイエンス社 取締役会会長
2004.2.17
ヨッヘン・ウルフ バイエル クロップサイエンス社 取締役会会長

 「バイエル クロップサイエンス社は、JA全農と非常に関係が強くなった。この絆は、今後ますます強くなっていくだろう。食の安全・安心が叫ばれるなか、農家を導く立場にあるJA全農の役割と使命はいっそう大きくなってくる」と、4月1日付けで退任するウルフ会長はこのようにJA全農にエールを送った。アベンティス クロップサイエンス社の買収・統合は、バイエルの歴史において重要な道標となり、2社の統合は相互補完的な強みを最大限発揮できる極めて理想的なコンビネーションともいえる。ウルフ会長は、36年間にわたりバイエルグループで数々の重責を歴任した。感無量であろう。多くの趣味の中に旅行があるが、今後は仕事ではなく日本の文化に触れ楽しむためにやってきていただきたい。

森田正光さん
2004.2.16
森田正光さん お天気キャスター、気象予報士

 2月6日の第50回JA全国青年大会で記念講演。講演で地方に出かける機会も多く「田舎は食べ物が本当にうまい。協力しながら暮らす生活もある。人間関係の原点があるような気がします」と話す。日本の農業は高品質なものをつくってブランド化すべきという。その一方、1991年の台風19号でリンゴが大被害を受けたことに触れ「そのとき木から落ちずに残ったリンゴは、“お守りリンゴ”として受験生に高く売れた。異常気象は何年かに一度は必ずある。被害を防ぐことも必要だが転んでもただでは起きないという発想の転換も大切では」と話す。(記事参照

ゼーリック米通商代表
2004.2.12
ゼーリック米通商代表

 来日した米国の通商代表部(USTR)のゼーリック代表は2月11日、亀井農相と農水省で会談した。
 ゼーリック代表は、「牛肉貿易は日米双方にとって重要な問題。貿易再開について協力して話し合っていきたい」と亀井農相の述べたが、早期に貿易再開するよう具体的な要請はなかった。また、検査体制や特定危険部位の除去などについては「ステップ・バイ・ステップで進めていくことが重要」と語り、安全確保対策は段階的に進めていく考えを示した。そのほかWTO交渉の年内合意に向けて努力することを表明した。(記事参照

柳澤 英治 山印醸造(株)社長
2004.2.9
柳澤 英治 山印醸造(株)社長

 山印醸造(株)は、長野県経済連(現・JA全農長野県本部)の味噌加工所が昭和30年に独立して設立された会社。「味噌は、自然と環境の中で発酵させる日本伝統の発酵食品で、人間の胃に優しい食品」であり、漢方薬のように「持続して継続して味噌汁を飲んで」もらえば体や健康によいと味噌の素晴らしさを語る。同社は、中国の辛味噌で、麻婆豆腐に使われる豆板醤とか北京ダックを食べるときなどに使われる甘い味噌の甜麺醤や韓国のコチジャンなど、唐辛子を発酵させる「醤」(じゃん)関係にも力を入れている。今後も味噌の発酵技術を応用し、アジアのさまざまな発酵食品を「組み合わせた新たな調味料やうまいものつくっていきたいと思っています」と今後の抱負を語った(詳細は「この人と語る21世紀のアグリビジネス」で)。

金田英行 農水副大臣
2004.2.5
金田英行 農水副大臣

 昨年11月20日の就任以来、米国でのBSE、鳥インフルエンザなどの問題が続発。その対策で忙しい。「こんな事件を解決するための副大臣就任ではなかったのに……」と苦笑する。1月20日に都内で開いた(社)農協協会の「新年の集い」に駆けつけ、汗をふきながらあいさつ。「WTO、FTAの交渉という大問題がある」と、これに取り組む決意を示した。そして、日本だけでは耕作放棄地をなくしても農地が不足して、食料自給はできないから、外国の耕作地を利用する必要があり、このため農産物貿易の「新しい秩序をつくることが求められている」と説いた。一方、国際コメ年に当たって今年は「コメの大切さをPRしていく」とし、また「アジアのコメ備蓄構想は近々整備する」などと語った。

黒川あけみさん
2004.2.3 
黒川あけみさん 胡蝶蘭専業農家「黒川オーキッズ」直売店店長

 愛知県刈谷市の胡蝶蘭専業農家「黒川オーキッズ」がハウス隣接の場所に開設した直売店で店長を務める。平成8年に家族経営協定を締結。経営主の義父から、義母、夫、あけみさんに給料が支払われる経営に。協定によって家族みんなで経営しているという意識が持てるようになったという。「協定に基づいてきちんと給料が支払われればやはり仕事にやりがいも出てきますし、責任感も生まれます。農業経営に参画しているという自覚が持て経営も勉強するようになりました」と語る。(第49回JA全国女性大会特集「現地レポート・生き生き農村女性たち」に登場)

鎌田恵久代さん
2004.1.30 
鎌田恵久代さん かまだ養鶏場 農産加工部門ToTo&CoCo統括マネージャー

 岩手県花巻市の「かまだ養鶏場」の農産加工部門ToTo&CoCo統括マネージャー。JAいわて花巻のファーマーズ・マーケット「母ちゃんハウスだぁすこ」で手作りケーキを直売している。養鶏場の利点をいかし卵をふんだんに使った豊かな味が評判。自家用野菜やブルーベリーなども使ったケーキも考案。農家の生活ならではのケーキづくりをしている。直売所への出荷で自分の財布を確立。農産加工品づくりは農業と切り離されたことではなくむしろ農家にとって自然なことではという。そんな姿に3人の子どもたちも誇らしげだとか。「農業をやりたい、と思うような姿を私たち親はみせなければいけないと思っています」と語る。(「農と共生の世紀づくりは私たちの手で−第49回JA全国女性大会特集・生き生き農村女性たち」に登場)


野田文子さん
2004.1.26 
野田文子 内子 フレッシュパークからり 特産品直売所運営協議会長

 愛媛県内子町は、人口1万1500人、総面積の70%以上が山林という典型的な中山間地だ。女性や高齢者の自立促進と地域農業活性化の拠点として町が設立した「内子フレッシュパークからり」は、農産物直売所の販売高が年間4億円、併設するレストランなどを合わせると5億円を超える。出荷者の6割は女性で、出荷者1人平均年間販売高は112万円超、1000万円を超える人もいる。直売所は少量多品目だから「畑が小さくてもやり方しだいで売れる」。売れれば自分名義の口座に振り込まれ「自分で生きているから、母ちゃんたちは元気だ」。
 野田さんは家族経営協定も結び農業が楽しくなり、「直売所ができて人生が変わりました」という(詳細は「第49回JA全国女性大会」特集で)。

高橋京子さん

2004.1.21 高橋京子さん 抑制ユリ切り花栽培農家

 東京でのOL生活をあっさり捨て、郷里新潟でユリ栽培を始め、今年で4年目になる。農業には門外漢の女性が単身、新規参入を果たすという劇的ともいえるふるさと回帰だった。
 もともと山や緑が好きだったが、郷里関川村で休耕田が入手できるという話をきっかけに就農した。生家は元温泉旅館で農地を持たなかったため、まず農地取得からスタート。
 初年度は5000本の出荷だったが、3年目の昨年は2万本と飛躍的に増やして単年度の収支はトントンだ。しかし、OL時代の預金をはたいて土地代や施設費などに投資している。有限会社を設立しての経営だが、投資額はそのまま会社の借金だ。
 休耕田の水はけが悪いため暗渠を入れ、高畝をつくるという予期しない出費もかさんだ。今年はさらに規模拡大する計画だが、水田農業活性化のためにも健闘が期待される。(詳細は近日掲載の「特集 農と共生の世紀づくりは私たちの手で」)

管原敏夫 (社)日本植物防疫協会理事長
2004.1.15 管原敏夫 (社)日本植物防疫協会理事長

 (社)日本植物防疫協会は1月15日、東京都北区の滝野川会館に植物防疫関係者約400名を集め、恒例のシンポジウム『稲いもち病とカメムシ対策』を開催した。稲の防除体系が大きく変貌をとげているなか、2003年は10年ぶりに全国レベルでいもち病が多発し、その要因解析が急務となっている。また、カメムシ対策も依然として大きな課題だ。一方、これらの諸課題に対して耐病性品種や防除薬剤の開発、天敵などの研究にも新たな展開が見られはじめている。管原理事長は、「今日における稲の2大病害虫について最近の話題を交えつつ発生要因と防除対策を模索したい」と挨拶。東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターでは、『第60回植物防疫研修会』も行われており、2004年の植物防疫事業が本格的にスタートした。

杉山 忠雄 JAはが野参事
2004.1.13 杉山 忠雄 JAはが野参事

 JAはが野では、「広域合併したメリットを組合員に目に見える形で出す」ために、まず広域営農指導員体制を構築してJAトータルでの共計共販を確立して、販売事業で「合併の実」をあげてきた。そして14年11月から購買面でのメリットを出すために栃木県JAグループが提案する県域物流を導入し、約8000万円物流コストを削減した。さらに全農県本部との「共同協議方式」でJAの「仕入機能」を強化し、そのメリットを還元している。そして営農経済渉外員制度である「ACSH」もスタートさせた。こうした経済事業の改革は「誰かに言われたからではなく、組合員の目線で考えたときに、それしかないから」実行したと杉山参事は語る。(詳細は、特集「改革の風をふかそう 農と共生の世紀づくりのために」の現地ルポを)

多田正世
 2004.1.8 多田正世 農薬工業会会長

 農薬工業会は1月7日、東京都千代田区の法曹会館に業界関係者約200名を集め『農薬工業会新年賀詞交歓会』を開催した。4年ぶりに復活した賀詞交歓会だが、多田会長は席上「今後の50年の道筋を導きだすためにも、今こそ身を正し、業界全体で痛みを感じなければならない」と語る。昨年、創立50周年を迎えた同会だが、ラベル誤表示問題などで業界は揺れた。今後は原点に戻り、農薬の負のイメージを払拭していくためにもコンプライアンスにつとめ、また消費者および農産物流通業者などとの対話をいっそう深め、情報開示を行うなど新たな半世紀に向けてさらに業界と行政が一体となった取り組みを進める。


 

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