「福島切り捨て許さぬ」 原発で農民組合などが抗議行動2016年1月18日
「福島県の切り捨てを許さない」―。福島県のふくしま復興共同センターや同県商工団体連合会、同県農民組合は1月15日東京で、東京電力福島第1原発事故の対応について政府・東京電力(東電)に抗議行動を行うとともに、賠償方法などについて申し入れをした。約200人が参加した。
抗議行動の参加者は総理官邸前での抗議行動の後、衆議院第1議員会館で申し入れと交渉を行った。政府からは経産省、環境省、文科省、それに東電の担当者が出席した。
現在、原発事故に関して国と東電は、「居住制限区域」「避難指示、解除準備区域」の避難指示を2017年3月までに解除するとし、この地区の住民に対する精神的賠償を2018年3月で廃止するなどの方針を示している。
また、避難区域の商工業者への営業賠償や避難区域外の商工業者の風評被害賠償については、従来支払い1年分の2倍相当を一括払いするなど、次々と「福島切り捨てを打ち出している」。
こうした状況から申し入れは、▽国と東京電力に対し、営農損害の賠償について従来支払額の2倍一括払いの方針を撤回し、損害が続く限り賠償すること、▽国は「2017年3月までに避難指示解除」との方針を撤回し、社会インフラや医療環境の整備、住民合意の尊重などがなされないままで解除を行わないこと。
そして、▽国民的合意がまったく得られていない「20ミリシーベルト以下」を根拠とするあらゆる施策を直ちに改めること、▽住民の生活圏から20m以内と、人が日常的に立ち入る場所以外の森は除染を見送る方針を撤回すること、▽東電は、農業の損害賠償で従来の支払い方法を勝手に変更して、支払いを打ち切ることはやめることの5つ。
交渉では参加者から「2倍の一括賠償請求したが、半分に値切られた」「賠償請求したが、因果関係がないと、支払いを拒否された。資料を提供したら請求額の半分の金額が提示された」など、恣意的とも思われる算定に不満の声が挙がった。こうした実態に抗議するとともに、国・東電に対し、賠償額の算定基準を明らかにするように求めた。
ふくしま復興共同センターなどのこうした抗議行動と交渉は、今回で10回目。同センターの斎藤富春代表は、「原発事故は人災である。事故は収束していない。この2つがわれわれの基本。それなのに安倍政権は原発を再稼働し、原発輸出で福島を切り捨てようとしている。原発事故5年目の今年は踏ん張りどころだ」と、決意を語った。
(写真)首相官邸前で抗議する福島県の商工業者や農民、損害賠償打ち切りなどに抗議する対政府・東電との交渉
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