(株)トーメン(東京都千代田区丸の内3−8−1)はこのほど、トラマルハナバチの商品化(商品名:『ナチュポールタイガー』)に成功、在来種商品化第一号のクロマルハナバチ(商品名:『ナチュポールブラック』)に続く第二弾の在来種として注目される。
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ナスに訪花するトラマルハナバチ |
同社では、1992年よりセイヨウオオマルハナバチ(商品名:『ナチュポール』)を輸入販売しているが、国内のマルハナバチを使うことも視野に入れる中で、日本在来種の商品開発も進めてきた。第一号としてのクロマルハナバチ、第二号としてのトラマルハナバチの登場で日本在来種に一段と弾みが出てきた。
クロマルハナバチとトラマルハナバチは同じ「マルハナバチ」だが、分類学上では別亜属に分けられ、生活様式も主に幼虫への給餌方法の点で大きく異なっている。
クロマルハナバチは、幼虫に直接エサを吐き戻して与えるのに対し、トラマルハナバチは”ポケット”と呼ばれる幼虫室の隣りにつくられた給餌口に花粉が押し込まれ、幼虫はその花粉を食べて成長する、といった極めて興味のある生態を有している。
通称、この給餌様式を行うトラマルハナバチのような種類は”ポケットメーカー”、また直接給餌を行うクロマルハナバチやセイヨウオオマルハナバチのような種類は”ノンポケットメーカー”と称されている。
前者のポケットメーカーはその保有する性質から、これまで大量増殖は困難とされてきたが、(株)トーメンではオランダのコパート社(本社:ロッテルダム)と協力して約8年かけて大量増殖に成功、販売にこぎつけた。
在来種第一号のクロマルハナバチは、セイヨウオオマルハナバチに比べて働きバチの体サイズが平均的に大きくなる反面、数があまり多くならない傾向があった。しかし、自然界の巣から得られたデータからは、トラマルハナバチはクロマルハナバチと比較するとより多くの働きバチを産出すると言われている。
また、トラマルハナバチは高地から平地まで分布範囲は広く、温度が高い時期での使用も期待されている。同社では今後、詳しい使用面積や使用期間等について調査を進めていく方針でいる。
(株)トーメンでは、先ずモニターを一般公募する形式で展開していくが、そのモニター価格は18,000円(1箱)となっており、商品名はトラからとって『ナチュポールタイガー』と銘々された。
トマトやナスの温室栽培では、ホルモン処理にかかる労力の削減や生産物の品質向上を目的に受粉昆虫マルハナバチが急速に普及している。現在では冬春トマトの70%、ナスの20%で、それまでホルモン剤で受粉されていたものが蜂による自然受粉にかわってきた。
自然受粉すると野菜は自然に成長し、人工的に大きくなるのとは異なって内側からじっくり肥大していくため味が濃く、またビタミン類も多くなることがわかってきた。ところが近年、トマトの味が向上してきた理由の一つとして、マルハナバチによる自然受粉が一因となっていることは一般的にあまり知られていない。
さらに、省力化という面でも大きな支持を得ている。トマトやナス栽培でのホルモン処理を蜂が代行してくれることにより、農家では重労働からの解放という面でもマルハナバチ使用が増えてきている。(株)トーメンのひたむきな取り組みを評価したい。
《問い合わせ先》 (株)トーメン アグロフロンティア室 電話(03)5288−3289
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