農業協同組合新聞 JACOM
   

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所沢ダイオキシン裁判「和解」
和解金1000万円全額を三宅島と所沢市に寄付 (6/17)

金子哲原告団長
記者会見する金子哲原告団長
 所沢(埼玉県)の野菜が高濃度のダイオキシンに汚染されていると、平成11年2月1日にテレビ朝日「ニュースステーション」(当時)が報じた問題で、生産者が「農家の誇りを取り戻したい」そして「所沢の野菜は安全」だということを裁判で証明したいとテレビ朝日を相手に起こしていた裁判が、6月16日東京高裁で「和解」した。
 和解の内容は、テレビ朝日が「所沢産の葉物野菜の安全性に疑いを生じさせ、所沢市内の農家に多大な迷惑をかけたことを、心よりおわびする」と謝罪。テレビ朝日が和解金1000万円を支払うというもの(詳細は、囲みの和解条項を参照)。また、和解文書には記載されていないが、テレビ朝日は「報道ステーション」で自発的に謝罪放送をすることを約束し、16日夜の同番組内でこれまでの経緯を詳しく伝え謝罪した。
 和解成立後、記者会見した所沢市野菜生産農家原告団を代表して金子哲原告団長は「裁判所の判決を求めたいと希望する者もおりましたが、テレビ朝日の謝罪の内容が納得できるものであること、報道ステーションにおいて自主的に謝罪放送を行うという約束がなされ」「所沢の農家の名誉回復という当初の目的が達成されたものと判断し和解した」と語った。
和解書を手にする原告団
和解書を手にする原告団の右から金子、小高、市川、越坂郎の各氏
  また、和解金1000万円については「当初からこの訴訟が賠償金目的ではない」ので、「所沢市の未来を担う子どもたちに農業を通じて食農教育に役立ててもらう」と所沢市に100万円。「自然災害という点で生い立ちは異なるが、農家という同じ立場で、われわれ以上に精神的・経済的苦痛の中、一日でも早く農業に従事できるよう願い、役立てて」欲しいと三宅島に900万円寄付することにしたと語った。
 昨年10月の最高裁の差し戻しで実質的に生産者が逆転勝利していたが、この和解で5年におよぶ「間違ったものを間違いだと認めてもらうという正義感からの訴訟」(長島弁護士)が決着した。
 これを受けて、宮田勇JA全中会長は「誤った報道により被害を受け、5年におよぶ粘り強い闘いを継続し、訴訟に携われた原告団ならびにJAをはじめとする関係者の方々のこれまでの労苦に対し深く敬意を表したい」という談話を発表した。

 関連情報

和解条項
1  被控訴人(テレビ朝日)は、控訴人(生産者)らに対し、平成11年2月1日にテレビジョン放送をしたニュース番組である「ニュースステーション」における所沢産の野菜等のダイオキシン類汚染に焦点を当てた特集において、ダイオキシン類汚染の測定値を表示したフリップの記載の誤りやその説明内容に不適切な部分があったことなどにより、一般の視聴者に最高値3.80pgTEQ/gを示したのがほうれん草を中心とした葉物野菜であるとの誤解を与え、所沢産の葉物野菜の安全性に疑いを生じさせ、所沢市内の農家に多大な迷惑をかけたことを、心よりおわびする。
2  被控訴人は、控訴人らに対し、本件和解金として1000万円を平成16年6月末日限り控訴人らが指定する次の口座に振り込む方法により支払う。(以下、省略)
(2004.6.17)


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