簡便性ニーズに応え急速に増加する加工米飯生産量 ――食糧庁の調査から |
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12年産米の作況は103の「やや良」だという。そして10月末の在庫見込み280万tに12年産の生産オーバー分の26万tを加えるとコメの在庫は310万tなると推定され、13年産米での生産調整面積は、ついに100万haを超え101万3000haとすると「緊急総合米対策」は打ち出した。なぜこうなるのか。輸入米の増加などいくつかの要因が考えられるが、コメの消費が落ち込んでいることが最大の要因だといえよう。JAグループでは農水省とも連携して「朝ごはん運動」などコメの消費拡大のための取り組みをさまざまに展開している。 ◆無菌包装米飯6年の4.8倍、白飯3.7倍に 加工米飯の11年(暦年)の生産量は表1のように、26万6600t強となっている。その内訳を6年から種類別にみたのが表1だ。その推移を前年対比でみたのが 図1 だが「無菌包装米飯」が8年(104.7%)以外は、7年162.6、9年144.9、10年127.8、11年153.1と大きく伸び、6年の生産量1万1000tが11年には5万3000t強と4.8倍になっている。また、図2 の構成比の推移をみると「冷凍米飯」が全体の70%前後を占めているが「レトルト米飯」とともに構成比を下げているのとは対照的に「無菌包装米飯」は毎年確実に全体に占める割合を高めており、注目される。
品目別に6年以降の生産量をみたのが表2だ。
◆商品充実で活性化するマーケット 11年の加工米飯全体の生産量は、10年対比で124.7%と5万3000t増え、6年生産量の約1.8倍となっている。11年末には「西暦2000年問題」があり、それによる買いだめなどの仮需要があったことも増加の要因の一つになった推定される。しかし、食糧庁の「食糧モニター定期調査」(12年8月)によると、若い女性の3人に1人は「米を炊飯する手間は面倒だと思う」と回答し、その理由として米を研ぐこと・炊飯ジャーの後片付け・炊飯にかかる時間があげられている。こうした簡便性を求める消費者ニーズの増大とそれに応える、商品アイテム数の増加によって市場の活性化が促進されているからとみるほうが妥当ではないだろうか。 コメの消費拡大をするためには、「コメ離れ」する消費者の簡便性・健康志向などのニーズに応える加工米飯や、研がずに炊ける簡便性と環境への優しさから急速に生産量を伸ばしている無洗米(全国無洗米協会設立参照)などの商品アイテムを充実していくことが急がれよう。 |