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特集:地域農業活性化と系統信用事業の役割

鼎談
新たな「JAバンクシステム」でより便利で安心・安全を提供
   広域JAの信用事業の現状と課題

中嶋武士 JA紀の里専務理事
京谷尚樹 農林中央金庫業務開発部戦略企画グループ副部長
白石正彦 東京農業大学教授

中嶋専務・京谷副部長・白石先生

 JAグループの信用事業は、新たなJAバンクシステムづくりに向けて歩みだした。その柱は、破綻未然防止システムとJA・信連・農林中金が一体となった事業推進で、組合員・利用者の期待に応えより便利で安心な事業をめざす。鍵を握るのは、日々、事業を実践している各地のJAにある。現場の取り組みをJA紀の里の中嶋専務に紹介してもらいながら、農林中金の京谷業務開発部副部長と白石東京農大教授に今後の信用事業について話し合ってもらった。

◆ファーマーズマーケット「めっけもん広場」
  地域に密着した事業が元気を生み出す−−中嶋

中嶋専務略歴
(なかしま たけし)
昭和11年和歌山県生まれ。和歌山県立那賀高校卒業。40年桃山町農協就職。平成2年同農協退職。5年紀の里農協監事。8年同農協理事、桃山町議会議員当選、11年同農協専務理事、12年桃山町議会議員2期当選、同町監査委員就任。
白石先生略歴
(しらいし まさひこ)
九州大学大学院修了。農学博士。東京農業大学国際食糧情報学部教授。昭和53年〜54年英国オックスフォード大学農業経済研究所客員研究員、平成5〜7年ICA新協同組合
原則検討委員会委員、平成10年ドイツ・マーブルク大学経済学部客員教授、日本協同組合学会会長。

 白石 先日、第1回JAバンク全国大会が開かれましたが、系統信用事業も大きく変わろうとしています。この取り組みは1991年の第19回JA大会で、JAの広域合併をすすめJAが自己責任経営によって事業機能を高度化し、一方、連合組織を2段階にするなど簡素にしたサポート体制をつくるという決議から始まっています。それから10年経ちJA数は1100程度となり、連合組織の整備も共済連の統合実現など成果が見られます。
 そのなかで信用事業では、昨年の農林中央金庫法の改正を受けて農林中央金庫の位置づけも変わり、協同運動としての農協の信用事業は新たなJAバンクシステムとして生まれ変わろうとしているわけです。以上のような改革の狙いは、基本はやはり組合員、地域の利用者に支持されしかも地域経済に貢献するところにあります。今日はお二人から信用事業の現状と今後の革新方向についてお聞かせいただければと考えています。
 最初にJA紀の里の組織、事業の概要とそのなかでの信用事業の現状についてお話いただけますか。

 中嶋 JA紀の里は、平成4年に和歌山県下の第1号の広域合併JAとして、5JAで発足しました。
 信用事業では13年度は貯金高目標を1210億円としましたが実績は目標を上回る1220億円となっています。しかし、貸し付けが伸びず、250億円、貯貸率約20%程度で、期首より10億円ほどダウンしています。今後は貯貸率30%をめざしてがんばろうと考えているところです。
 共済事業では新契約目標は達成しますがなかなか保有高が伸びませんね。やはり満期や失効解約などがあるからです。
 私たちの地域では、もも、柿、みかん、はっさくが4大産品ですが、とくにみかんやはっさくなど価格低迷の影響で農産物販売額目標を120億円としていますが、未達成になる可能性もある状況です。
 そのほか、介護事業や観光、資産管理事業などにも取り組んでいますが、私たちの予想を超える実績を上げているのが、ファーマーズマーケット「めっけもん広場」ですね。
 オープンしたのは平成12年の11月で、ネーミングは地域住民から広く募集して地域の保育園の先生が考えためっけもん広場が採用されました。
 年間売上予想は、まあ5、6億円かなと考えていたんですが、初年度で2倍の売り上げになり、考えていた以上の反響で、大変たくさんのお客さんが来てくれますから、今は、駐車場の拡張工事も行っているとこころです。
 昨年の11月には岩手県のJA花巻市のファーマーズマーケット「母ちゃんハウスだぁすこ」と姉妹提携をしてわれわれの果実などを岩手で売り、岩手のものをこちらで売るという取り組みで品揃えも豊富にしようとしています。
 ペイオフ解禁を控え、信用事業も厳しい状況ですが、「めっけもん広場」によって、JAの存在がよく知られるようになり、信用事業の展開にも役立っていますね。地域に密着した事業が強みということでしょうか。自己資本比率も17.6%となっています。

◆新たなJAバンクシステム
  一体的事業運営を推進し経営健全化と安全性確保へ−−京谷

京谷副部長略歴
(きょうや なおき)
昭和28年福井県生まれ。京都大学経済学部卒業。昭和52年農林中央金庫入庫。平成9年長崎支店長、11年債券投資部副部長、12年公共事業部地域開発室長兼副部長、業務開発部資産相談室長兼副部長、13年同部副部長兼資産サポート部参事。

 白石 ファーマーズマーケットが元気を生み出しているということですね。それでは、京谷副部長から新たなJAバンクシステムについてお話していただけますか。

 京谷 1昨年の第22回JA大会決議は、組合員と地域に支持されることがキーワードだったわけですが、これを受けて我々は業務革新によって利用者から選ばれる信用事業を構築することを具体的な目標にしました。
 また昨年は、JAバンク法(農林中金及び特定農協等による信用事業再編強化法)が誕生し、農林中央金庫法も改正され目的規定が明記され、経営管理委員会を導入することなどが規定されました。これによって、どこが変わったかいえば農林中央金庫も、JA、信連とともにJAバンクの一員になったことです。JAバンクという表現は、平成10年から使っていますが、それまではJAバンクとはJAと信連だけを指し、農林中金は別だったわけです。
 さらにJAバンクとしては一体的な事業運営に取り組むために、経営管理委員会のもとにJAバンク中央本部を設置し、基本的な事業運営の方針などを決めることになりました。これを「基本方針」として昨年末に定めました。
 これは法的に農林中央金庫にJA、信連への指導事業が位置づけられたことから定めたもので、この基本方針では、「JAバンクシステム」の基本的方向、「JAバンク会員」の役割を定め、さらに「JAバンク会員」の責務として、農林中金に経営状況を報告することや、資金運用制限ルール、経営改善ルール、組織統合ルールなどの遵守も明確にし、ペナルティも規定しています。
 こうしたルールを遵守すれば、全国統一されたシステムの利用や、これを活用した機能・商品の取り扱いができるほか、「JAバンク」商標の使用、また、経営改善・組織統合の際、指定支援法人の支援が受けられるというメリットが享受できるわけです。
 ですから、会員であるJAには、たとえば、名刺にも「JAバンク」という商標を入れて下さいとお願いしているわけです。これによって利用者から見て全国どこでも同じサービスが受けられる金融機関であることを周知してもらうということです。
 逆に言えば、先ほどお話した基本方針を遵守しない、つまり、責務を守らないJAはメンバーから除名されることもあるということですね。
 ただ、JAバンクは、JA、信連、農林中央金庫が一体となった実質的にひとつの金融機関だということですが、銀行のような本支店の関係ではありません。それぞれが自己責任のなかで運営していくことが基本ですが、利用者の視点に立って基本的なサービスやシステム、商品は全国どこでも統一しようということです。さらにその上に立って各JAの信用事業が地域に合わせて個性を発揮してもらえればいいということです。

 白石 もうひとつ、金融機関として安心だというセーフティネットの仕組みはどうなったのでしょうか。とくに従来の相互援助制度が新たなシステムでどのように機能が変わったのかを中心にお聞かせいただけますか。

 京谷 新たなJAバンクシステムは、破綻未然防止システムと一体的事業推進の2本の柱で展開するものです。
 今、お話した一体的事業推進については、いわばこれからいかに信用事業の収益を上げていくか、その事業改革のため取り組みということになります。
 一方、破綻未然防止策とは経営の健全化を実現するシステムです。これまで系統セーフティネット、つまり相互援助制度と貯金保険制度は万一破綻をした場合に円滑・迅速に処理していくという仕組みだったわけです。
 しかし、今度導入したのは、破綻が起こらないよう未然に防ぐためのシステムです。そのためにまず基本方針を遵守してもらい、JAバンク会員がそれぞれ体制・能力に応じた経営をしていく。そのためにJAバンク中央本部・県本部がモニタリングを実施します。
 そして、その結果、一定の基準に該当するJAは、経営内容に応じた資金運用制限を行いつつ経営改善に取り組みます。また経営改善に必要な資本注入や資金援助などのサポートを行いますが、このサポートを実施するためにJAバンク法に基づいて設置したのが指定支援法人で、財源を確保するために現行の相互援助制度の全国段階の積立金を移すほか、JAバンク会員などから一定の負担を求めることにしています。
 つまり、問題のJAがあったら、それを他のJAも応援する仕組みで、まさにワン・フォア・オール、オール・フォア・ワンの精神です。
 こうした仕組みのほかに、従来どおり貯金保険機構によって利用者の貯金が保護されます。つまり、2重、3重のセーフティネットが張られたということです。
 JAの経営状況では、昨年3月段階で自己資本比率が4%未満のJAは30ありましたが、今年3月末までにその解消に系統あげて取り組んでおり、ペイオフ解禁後に高い水準で安全性を確保し、船出することができる状況です。

◆新体制での信用事業の展開
  「JAバンク」前面に出し地域全体の事業支える−−中嶋

京谷副部長

 白石 そうした法制度の改正や農協法改正もふまえて、JAとしても信用事業面の整備が必要ですね。新たなJAバンクシステムのなかで信用事業の展開をどう考えておられますか。

 中嶋 われわれのJAでも定款の変更に着手し、組織代表は組合長と専務として、参事をなくして信用事業と経済事業専任に学経常務2人と常勤監事を置く体制に今年6月から移行しようと考えています。
 信用事業については、正組合員のなかでは理解されていますが、准組合員や員外利用者にはJAが信用事業をしていることすら知らない人もいることが課題ですね。ですから、信用事業としては今後、渉外活動を強化していくことが課題で新規訪問にも力を入れていこうと考えています。
 そのときに、訪問先で話題になるのが「めっけもん広場」が役立つだろうということですね。農協さん? ああ、あの「めっけもん広場」のと、とっつき易さがあるわけですよ。そういうきっかけから、JAの信用事業を知ってもらい、しかもJAグループの金融システムは、新たなJAバンクシステムができて、健全であり大丈夫なんだということも理解していただけるよう努力することも大切だと思いますね。
 JAバンクという商標は、JAバンク会員であるという御墨付き、水戸黄門の印籠みたいなもので、みなさん、安全ですよということでしょう。また、2つの町の指定金融機関にもなっていますが、これによって住民の信頼にもつながると考えています。

 白石 農産物の価格低迷など農業・農村の情勢は厳しいですが、そのなかでも具体的に強化していこうという分野はありますか。

 中嶋 難しい時代ではありますが、年金の振り込みや農産物販売代金が入ってくれば貸し付けも伸びると考えています。とくに住宅ローンが伸びているんですね。リフォーム・ローンや賃貸住宅の立て替え資金需要ももあります。
 それから地域の中小企業者を対象にした事業者セミナーを毎年開催していますが人気なんです。個人経営の商店主など5、60人が参加してくれて貸付資金についての説明や税務相談などをやっていますが、アンケートをとると継続してほしいという声が多い。今は、大企業には貸し付けされていますが中小企業にはなかなか貸し付けされないという状況があるようですね。ですから、農業だけでなく町の事業を支えるのもJAの責務だと考えています。それから5、6年前から法律相談、資金相談などを休日に実施する企画を支店持ち回りで行ってきました。これも人気があって、できるだけそういう機会に組合員、利用者の声を聞きながら事業を進めていこうと考えています。

◆JAバンクの取り組み方針
  「安心」「便利」「高度」めざし全国統一ブランド確立へ−−京谷

中嶋専務

 白石 なるほど、地域全体の事業を支える役割を発揮しようとされているのは注目される点ですね。
 このようにJAの現場での取り組みがさまざまなかたちで始まっていますが農林中金として、それをサポートする事業はどのようにお考えですか。

 京谷 JAバンクの基本目標は、業務革新により利用者から選ばれるJAバンクブランドの確立とJAグループの一体的業務運営の確立です。
 そのための取り組み方針を「安心」、「便利」、「高度」という3つの概念で整理しています。「安心」というのは、先ほど話題にした「基本方針」に基づき財務基盤の確保など経営の健全性を図ろうということです。JAと付き合っていれば安心だ、と利用者から言われるようになろうということですね。
 「便利」とは、利用者満足の追求のことで「高度」とはIT戦略の本格的展開が象徴的です。
 このうち「便利」の点では、14年度は「5大作戦」の展開、農業金融のパワーアップ、総合力の発揮、を重点項目としています。
 5大作戦とは、JAの日常的な事業の展開方針を打ち出したものです。このなかに情報ネット拡充作戦がありますが、これは大型合併JAの誕生に合わせて、信連と一緒に農林中金が個々のJAに直接お話させていただきバックアップしていく機会を増やそうということです。
 それから「預かり資産NO.1作戦」も掲げていますが、今までのように貯金を集めれば良いという考え方ではなく、預かり資産という概念に変えて、貯金のほか、投信や外貨預金、401KなどJAが扱える手段で預かって利用者の多様なニーズに応えられる体制づくりをしていこうということです。今までは、投信や外貨預金はリスク商品と呼んでいたんですが、そうではなくて市場性金融商品と呼ぶことにしています。
 というのも、ペイオフ解禁後は貯金ですらリスク商品とも言えるわけですから、リスクがあることがだめなのではなくて、リスクをコントロールできないのがだめなのだ、という考え方をしようということです。リスクの所在に注目し、たとえば、外貨預金であれば、為替というリスクがある、投信では株式市場の変動というリスクがある、と捉え、いろいろなリスクに適切に対応することによってリターンも高まるという事に発想を変えていこうということです。

◆JAの総合的な事業をサポート
  利用者のニーズを優先させた「ちいき・いきいき・ローン作戦」−−京谷

白石先生

 京谷 それから、最大の柱は「ちいき・いきいき・ローン作戦」です。JAの取り巻く環境が収益面で非常に厳しいですから、どうすれば収益が改善するかを考えると、やはりローンを伸ばすことだということです。それも住宅ローンに特に重点を置いています。賃貸住宅を除いてJA全体では4兆円ほど住宅ローンに貸し付けており、毎年償還が6000億円あって新規が8000億円ありますから、差し引き2000億円伸びているわけです。伸び率にして約6%です。住宅ローンを伸ばすことが、JAの事業の収益にいちばん貢献するという観点で事業を進めていこうと考えています。それから、中嶋専務が話された休日相談サービスについては、われわれも全国展開を行っていますが、各地とも非常に好評ですね。
 もうひとつは、さまざまなローンの申し込み相談に対してクイックレスポンス体制をつくることです。われわれの組織は今まで返事が遅いため、キャッチフレーズ的には、「3日で答えるマイカーローン、1週間で答える住宅ローン」といっています。窓口での申し込みに対して、貸し出しまでの時間ではなくて、とにかく諾否の返事を早くしようということです。
 また、カードローン的な短時間で借りられるより便利なサービスの検討も始めるなどJAからの要望をふまえて商品開発をする方針です。
 それから、実践業務改革チャレンジ作戦で、JAの日常業務の改革を目指すことや、信頼の架け橋資産相談業務強化作戦で、FP(ファイナンシャルプランナー)資格取得運動、FPソフトの導入推進などを展開しています。
 そのほか農業金融については農産物価格の低迷でなかなかニーズがないのが現実ですが、そうはいっても日本のこれからの環境、食料自給率など大事な問題に関わってくることですからなんとかしてニーズを掘り起こして事業を展開し、かつそれが円滑に戻ってくるような仕組みを考えなければならないと思っています。
 また、「総合力の発揮」というのは、JAの側からみれば、信用だけでなく共済も経済もすべて総合的に事業を展開しているわけですから、JAの総合的な事業が効率的に動くようなサポートを考えようということです。金庫のグループ会社の活用や共済事業と連携して確定拠出型年金の取り組みを始めたこと、更には、IT化をふまえ経済事業面で、全農と一緒に事業を始められないか検討するなど、全国連でも信用事業を超えた可能性を探っているところです。

◆新体制での信用事業の展開
  専門性と総合性発揮しJAバンクの相乗効果を期待−−白石

 白石 組合員や利用者のニーズに応えるためには、やはり最前線にいる支店長と信用担当職員の役割が非常に大きいと思います。職員がいききと地域に貢献していくための課題があると思いますが。

 中嶋 そうですね。そのために渉外体制づくりが重要だと考えています。現在は27人で信用と共済の複合渉外担当という体制になっていますが全員男性です。これからは女性スタッフもつくっていかなくてはならないと考えています。
 たしかに女性パワーの活用も重要で、今年1月に総代500人のうち女性総代の比率を15%に高めることを目標にしました。この目標を掲げて、一挙にそれまでの31名から60名になりました。こういう変化に合わせて、職員のほうも女性の渉外担当をつくっていかなくてはいけないなと考えているところです。
 また、渉外職員がいきいきとして競争できる仕組みを考えることも大事ですね。渉外は専門的知識も持っていなければなりませんが、そのほか農薬や肥料などの浅くてもいいから広くいろいろな知識がなければいけないと思っています。そういう話をきっかけに話が広がることもありますからね。明日はあの家を訪ねてみよう、その次はあの家に行ってみようという気持ちを持つような方法を考えていかなくてはならないでしょうね。
 それと最近は組合員だけじゃなくて地域住民全体を考えた事業が求められていると思いますから、農協の事業の内容をもっと知らせていく必要もあると思っています。

 京谷 人材育成の面では、われわれも専門性と効率性を共に満足させるための業務モデルの開発をしているところです。渉外業務なら渉外の仕事の仕方、目標管理のあり方などについて事業モデルパッケージをつくってすべてのJAに理解してもらい職員の仕事をバックアップしたいと考えています。

 白石 JA紀の里の「めっけもん広場」は、たんに農業者と消費者の直売を通じた交流や女性起業グループの加工品販売にとどまるものでなく、地域経済に密着した広域JAの信用事業にもインパクトを与えつつあります。組合員・利用者が主体であるJAは、地域的特徴を掘り起こしつつ、JAらしいの総合的事業機能を横に連結し、しかも専門的機能を強化して、組合員等のニーズや願いをサポートする中からJA信用事業の展望が開かれると考えます。
農林中金にはJAの総合性と専門性、さらにJAの地域個性の3つの側面から事業機能を補完する、協同組合らしいJAバンクシステムという新しい信用事業ネットワークの創造を期待したいと考えます。
本日は、ご多忙中、貴重なお話を有り難うございました。

                            
(鼎談を終えて)

 約1年前にオープンしたJA紀の里のファーマーズ・マーケット「めっけもん広場」(年間販売高14億円)は、地区内だけでなく大阪泉南を含む広域の消費者が新鮮な農産物に魅力を感じて利用するなど好評である。中嶋専務理事は、このような農と共生するJAの個性的事業活動とそのイメージをPRしつつ、これと連結して貯金や営農面融資、正准組合員の住宅・賃貸住宅ローンや地域の商工業者等への融資、自治体の指定金融機関として地域経済に貢献している信用事業革新への挑戦を語られ注目される。
他方、農林中金の京谷副部長は、いわゆる「農協改革二法」の制定を踏まえて、農林中金がJAとの距離を縮めネットワーク的補完機能を強化する具体策として、利用者の満足度を高める預かり資産NO.1作戦やちいき・いきいき・ローン作戦など「JAとの一体的事業推進」と破綻未然防止システムの運営など「系統信用事業全体での信頼性の確保」の2つの側面から系統JA信用事業の新しい基盤(信用インフラ)づくりへの挑戦を語られ注目される。
 今年4月から1千万円以上の預貯金を保護しないいわゆるペイオフ解禁を控え、JA信用事業が組合員・利用者との結びつき、信頼関係を強化する最前線は、全国に約1万3千強ある支店(金融店舗)である点を重視すべきである。各JA支店長と信用担当職員がJAらしい総合性と専門性に裏付けられた元気さと個性的な業務遂行を支援するJA本所役員のリーダーシップ、緊張感みなぎる新しいJAバンクシステム創造に向けての信連・農林中金の協同組合らしい補完機能の強化が問われている。(白石)


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