農業協同組合新聞 JACOM
 
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コラム ―― ひとこと
 

中国製冷凍ギョウザ事件にひとこと

 殺虫剤に含まれる有機リン系薬物「メタミドホス」が混入した中国産冷凍ギョウザを日本の家族が食べて食中毒を起こした。中国からの輸入野菜に農薬が残留して騒いだのは昔の話、加工食品にまで毒物が拡大し恐ろしくなる。
 まず、第1に、一流企業が食の輸入に関与していることに驚く。販売元のJTフーズは、民営化以前は日本専売公社が親会社、葉タバコ栽培農家を支援していた。購買先は日本生協連、品質管理は厳しいはず。そして輸入商社は、ニチメンと日商岩井が合併した双日の子会社。有名企業を信用すれば、冷凍ギョウザに何の疑問も抱かず、買い物かごに投げ込むだろう。大手商社は、エネルギーや鉄鋼だけでなく、食品部門も大幅な収益をあげるのにかねがね疑問に思っていた。中国で安く作らせていたのだ。“顔の見える生産者”どころか言葉もわからない場所で作らせている。JT株は事件の数日前から急落し、インサイダーの疑いもあるという。大量の輸入食料が大商社・大企業のもうけの元になっている。国民を食い物にしているようだ。これを教訓に国内に食品工場をつくるべきだ。
 第2は、中国外交部に日本の外務省が抗議したことにも少し違和感を覚える。韓国では毒入りキムチ、アメリカではペットフードや練り歯磨きの有害物混入事件もあった。中国経済が物凄い勢いで伸びているが、食品製造部門は零細な家内工業もあり、心もとない。その中で、天洋食品はHACCP、即ち国際衛生管理基準をクリヤーしている優良企業が事故現場である。買ってやっているという日本人の傲慢さがみえる。自国の食べ物は自国で作れと言われそうだ。大騒ぎして時がたち、安全確認すれば、中国産冷凍ギョウザを輸入し続けるのか。
 第3は、ギョウザぐらい自分の家で作ろうよと日本の家庭に呼びかけたい。男の料理教室でギョウザの作り方を習った。簡単に作れる。ひき肉とキャベツやねぎをきざんで混ぜれば具ができる。適当に皮で具を包むだけでギョウザ1個の完成である。ひらひらを付けるのは、水を少しつけるテクニックが必要だが、お父さん、お母さんは2〜3回の経験ですぐうまくなる。それを焼けば焼きギョウザ、茹でれば水ギョウザ、新鮮でおいしい手づくり国産ギョウザが出来上がり。形が崩れても味に変わりはない。手をよく洗って準備すれば安心・安全である。肉は国産か?野菜は?とクリエイティブな会話ができる。まず、食糧は輸入に頼らない、料理は自分で手をかける家庭内の食育からスタートしよう。食料自給率もおのずと上がる。(金右衛門)

(2008.2.21)

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